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【AIショート】八百万の神々と𝕏のつぶやき

ある日、一人の男がふと感じた。「なんだか、最近の日本人って、子供じみていて馬鹿馬鹿しいなぁ」と。男は、昼も夜も、ニュースやSNSを見ながら、そんなことをぼんやりと考えていた。

「困った人たちを助けたい」と思っている自分がいる。けれども、その善意が時に「上から目線だ」と批判されることがある。彼は助けることにためらいを感じるようになっていた。「どうやったら、こっそりとでも人を助けられるのか?」その思いが彼の胸を締めつける。

そんなある夜、男はついに思いついた。「𝕏でコッソリつぶやけばいいんじゃないか?」そうだ、直接人に助けようとするのではなく、ネットの海にそっと呟いてみよう。もしかしたら、そのつぶやきが誰かの心に届いて、困っている人を救うことができるかもしれない。

男はゆっくりとスマートフォンを取り出し、画面を眺める。そして、ふと日本古来の八百万の神々を思い出した。神々は人々のあらゆる願いを聞き届けるとされている。そうだ、八百万の神々が見ているかもしれない。彼のつぶやきも、ひょっとすると神々の耳に届いて、なんらかの形で助けを与えるかもしれない。

男は「困った人たちを助けたい。でも、上から目線に見られるのは嫌だから、神々よ、こっそり力を貸してくれないかな」と、つぶやいた。

次の日、男のつぶやきに対して、いいねがひとつ、またひとつと増えていく。それは誰かの目に触れ、少しずつ広がっていった。彼は笑いながら、「もしかして八百万の神々がスマホを使ってるのかな?」と冗談半分で思った。

それからというもの、彼は𝕏でこっそりとつぶやくことを続けた。そして、気づけば彼のつぶやきに共感する人々が増え、困った人たちをさりげなく助ける運動が、静かに広がっていった。

「神々も、案外SNSを使いこなしてるのかもしれないな…」

彼はそう思いながら、今日もスマホを手にして、また一つ優しいつぶやきを送り出した。神々がどこで見ているかなんて、わからない。だけど、誰かの心にそのつぶやきが届くことを、彼は信じていた。

おしまい。

(HAL2024)

このショートショートは、ユーモアを交えながら、善意を表に出すことの難しさと、現代的なコミュニケーションの形を描いています。八百万の神々という日本の伝統的な信仰と、現代のSNSを融合させ、男の思いが静かに広がっていく様子を描くことで、優しさや助け合いの精神がどこからでも始められることを伝えています。

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