【衆院選を憂う】【AIショート】気づいたつもりの森
むかしむかし、ある国に「森を見に行こう!」というキャンペーンがあった。市民たちは、政治や社会についてもっと知ろうという気持ちで、こぞって森を訪れたのだ。
「いやぁ、この木こそが正しいに違いない!」と、農家のジョーさんは叫んだ。その木には「自民樹(みんじゅ)」という看板がかかっていて、ジョーさんの祖父も、そのまた祖父も、この木を見守ってきた。医者のサム先生も「確かに自民樹は頼れる木だ」と頷いた。なにしろ、サム先生の家系は、ずっとこの木を頼りにしてきたのだ。
ところが、新しい選挙が近づくと、「いや、あの木には裏があるかもしれんぞ!」と噂が広まりはじめた。サム先生の甥が𝕏(その国の謎のSNS)で「別の木の方がいいって気づいた!」と書き込んだからだ。
ジョーさんとサム先生は、その木を批判する人々を見て、ちょっと動揺した。「確かに、この木を信じてきたけど、もしかして…」と不安になった彼らは、別の木、「リベラの木」へと移ってみた。だが、リベラの木の下で休むと、今度は「この木もなんだか怪しいぞ」と話す者たちが現れ、再び揺さぶられる。振り回されるたびに「目覚めた!」と言い、また別の木へ。
何度か木を行ったり来たりしていると、森の奥から声がした。「やれやれ、木の裏ばかり見てたら森全体が見えなくなるよ?」それは森に住む精霊だった。
「目の前の木だけに気を取られると、森の意味が見えなくなる」と精霊は言う。「たとえ、この木が信頼できるからと言って、周りの木がどう成り立ち、どんな風に育ってきたのかを知らなければ、本当の『目覚め』にはならないのさ」
ジョーさんとサム先生はようやく気づいた。「俺たち、目の前の木ばかりに気を取られて、森全体がどうなってるのかなんて気にしていなかったな…」
そんなふうにして、彼らは「気づいたつもりの森」を抜け出し、本当に森全体を見つめるための旅に出ることにした。
教訓:
「木の一本一本を見極めるのも大事だけど、森全体を忘れては、迷子になるかもね。」