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シン・ウルトラQ『バイブス警報』
〈伝えたい思い〉
尊敬や信頼は、人間関係の基盤になる。だが、それが行き過ぎると危険だ。他人を盲信すれば洗脳され、自分を信じすぎればバイブスに溺れる。だからこそ、認知バイアスをメタ認知し、右脳の直感と左脳の論理を脳梁でつなぐバランス感覚が必要なのだ。
この物語では、尊敬と信頼が極端に振り切れた未来社会を舞台に、認知バイアスに支配された人々の姿をユーモラスに描く。さて、あなたはこの世界に何を感じるだろうか?
ショートショート『バイブス警報』
「バイブス警報発令!バイブス警報発令!直ちにバイブスを抑えてください!」
街中に響き渡るアナウンス。巨大スクリーンには、陽気な司会者が笑顔で注意を促している。
「市民の皆さん、バイブスが高まりすぎています!落ち着いて、深呼吸して、論理的に考えましょう!」
ここは「メタシティ」。かつて「尊敬と信頼の理想都市」として設計されたが、今や奇妙なルールが支配する街だった。
この街では、**「尊敬と信頼のバランスを崩すと罰せられる」**のだ。
たとえば、他人を盲信しすぎると「洗脳罪」、逆に自分を信じすぎると「バイブス過多罪」として取り締まられる。
今日も、ある男が拘束されていた。
「いや、僕はただ、あの人の考えに感動しただけで…!」
「ダメです!あなたは彼を100%信じましたね?洗脳罪で3日間のバランス調整セラピー行きです!」
別の路地では、青いモヒカンの若者が警官に囲まれていた。
「お前は**『俺は俺を信じる!』**と叫んだな?」
「はい!だって俺は自分のバイブスを大事にして…」
「アウトォォォ!!!バイブス過多罪!即座に論理思考訓練を受けてもらう!」
こうして、メタシティではバランスを取ることが何よりも重要視されていた。「尊敬5割、信頼5割」。それを超えてはいけないのだ。
そんな世界に生まれた青年、カケルは、幼い頃から疑問を抱いていた。
「みんな、結局は何も信じられなくなってるじゃないか…」
ある日、彼はある古い本を手に入れた。そこにはこう書かれていた。
「裏を読むなら、自分の裏も読むべし」
カケルは衝撃を受けた。今まで、自分は常に「正しいバランス」を考えていた。しかし、そもそも「バランスを考えること」自体が一種のバイアスではないのか?
「バイブス警報を出す連中こそ、バイブスに囚われているのでは…?」
彼は街を見渡した。
他人を信じすぎた者は、セラピーに送られ、バイブスに溺れた者は論理の檻に閉じ込められる。
「これが、バランスなのか?」
彼は静かに、街を後にした。
どこかに、もっと自由な世界があるかもしれない。
「他人も、自分も、適度に疑い、適度に信じる…そんな場所がどこかに…」
しかし、その瞬間——
「バイブス警報発令!バイブス警報発令!対象者:カケル!バイブスと論理の両方を疑う行為は禁止されています!」
スピーカーが鳴り響き、警備ドローンが彼を追いかけてきた。
「マジかよ!バランスすら疑うことが罪なのか!?」
カケルは走る。
バイブスでもなく、論理でもなく、ただ「自由」を求めて。
〈解説〉
この物語の舞台、メタシティは「バランス至上主義」の行き着いた先を皮肉的に描いている。私たちは、バランスを取ることが重要だと言うが、それを**「意識しすぎる」**こと自体が、また新たなバイアスになってしまう。
尊敬しすぎると洗脳、信じすぎるとバイブス過多。しかし、その狭間で慎重にバランスを取ろうとしすぎると、結局は何も信じられなくなる——それがこの物語のテーマだ。
カケルが最後に疑問を持ったように、本当に大切なのは「バランス」ではなく、「自分で考え続けること」なのかもしれない。
この物語を読んだあなたは、今、何を信じ、何を疑うだろうか?
シン・ウルトラQ、次回をお楽しみに!
著:シン人類 〜原案:SonSin、絵と文:HAL2024(ChatGPT)〜