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【AIショート】未来からのご招待

時は現代。平凡な男、タクヤは、毎日を無為に過ごしていた。そんな彼がある日、奇妙な封筒をポストで見つける。「未来のあなたからのご招待状」と書かれており、詳細な日時と場所が記されていた。気になったタクヤは指定された場所へと向かう。

その日、訪れたのは郊外の小さな墓地。しかし、そこには未来の自分そっくりの男が立っていた。「驚いたか?未来の君だよ」と老タクヤは笑った。

「君がこれからある決断をすれば、億万長者になれる」と言い、老タクヤは「アフターユートピア株式会社」という会社の株券を手渡した。「この株を適切なタイミングで買えば成功する。しかし、売るタイミングが重要だ。君は勝ち組になるんだ」と自信満々に伝え、老タクヤは姿を消した。

タクヤは少し不安に思いつつも、その株券を大切に持ち帰り、未来の自分を信じて半年後に株を購入する。そして、株価は本当に急上昇を始め、タクヤは億万長者の夢を現実に感じ始める。

だが、上がり続けていた株価は突然の暴落を迎え、タクヤの持っていた株も大幅に下落した。夢見た未来は泡と消え、タクヤは失望に打ちひしがれる。

落ち込んでいる彼は、そこで一つの疑問を抱く。「未来の自分が成功していたのなら、なぜ過去の自分にこのようなアドバイスをしたのか?」「そもそも、未来の自分が『成功』していなかったのなら、なぜタイムトラベルしてまで自分にこの株券を渡したのだろうか?」

真実に気づいたタクヤは、思わず大笑いした。未来の自分は、成功しているように見せかけ、実は失敗していたのだ。自分が騙され、失敗した分を「過去の自分に取り戻させようとした」という計画だった。

「未来の自分に騙されるなんて、人生最大の皮肉だな!」とタクヤは笑い転げた。そして彼は、二度と人任せにはせず、自分の足で生きていくことを心に誓ったのだった。

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