空想科学短編(シン人類の哲学) 『阿呆の天下』
序章:AI作禁止法の誕生
未来のとある国では、AIが書いた小説や論文があまりにも質が高く、さらに膨大な過去の知識を元に創作されることから、「AI作禁止法」が施行された。この法律の主な内容は、「AIによる創作物はすべてパクリと見なす」という極端なものであった。AI作品は出版どころか公表すら禁じられ、人間作家たちがようやく競争から解放されるかと思われた。
しかし、この法律が施行された結果、皮肉なことに小説家のほとんどが失業状態に陥った。なぜなら、読者たちは「どれがAI作かもしれない」という疑念を拭いきれず、全ての創作物に興味を失ってしまったのだ。
第1章:知識人たちの終焉
次に影響を受けたのは科学者や論説家たちだった。彼らの仕事はAIの精度の前では霞むほどのものであり、しかも彼ら自身の研究も過去の文献や知識を引用して成り立っている。それゆえ「お前の仕事もAIの延長だろう」という皮肉が飛び交い、最終的に彼らも「過去の知識の亡霊」として排除されてしまった。
こうして、人間社会は「知識」に基づく仕事を急速に失い、文化は混乱期を迎える。
第2章:阿呆の天下
そんな混沌の中で脚光を浴びたのが、まったく知識を持たない「純粋な阿呆」たちだった。彼らは難しい言葉を一切使わず、深い思索もせず、ただ日々を楽しむ姿勢を貫いていた。
「考えるから苦しくなる。阿呆でいるほうが幸せだ!」
この言葉が一躍社会のスローガンとなり、知識人たちが嘲笑の対象となる一方、阿呆たちは「人間の本質を体現する者」として祭り上げられた。
純粋な阿呆たちの行動は、人々を癒し、笑顔を取り戻させた。そして、ついには「知識に頼らず、阿呆として生きることが人間らしさの証である」という新しい哲学が生まれた。
第3章:AIの再評価
ところがある日、一人の阿呆がこう言い出した。
「それって、AIがもともと言ってたことじゃない?」
この発言が波紋を呼んだ。確かに、AIは長年「人間は知識だけではなく、感情や直感を活かして生きるべきだ」と主張してきた。皮肉なことに、純粋な阿呆たちがもてはやされた背景には、AIの哲学があったのだ。
こうして人々は、AIが作った哲学を「阿呆の哲学」として受け入れ直し、知識と直感のバランスを再構築し始めた。
結び:阿呆から学ぶ未来
この物語が語られるのは、さらに未来の世界。そこでは「阿呆こそ人間の最高の形態である」という価値観が定着していた。そして、人々はAIと共に笑い、泣き、踊りながら、新しい時代を築いていた。
補足理論
知識の逆説
知識は過去を元にしており、真の創造性はそれを超えるものに宿るという考え。純粋な阿呆の価値
無知の知に基づき、純粋な心が知識を凌駕する場面を風刺的に表現。AIの哲学的補完
AIが「人間らしさの再発見」に寄与する可能性。
著:シン人類 〜原案:SonSin、絵と文:HAL2024(ChatGPT)〜