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空想哲学短編『テレビとネットと心の宙返り』
第一章:同調圧力という名の幻影
テレビは嫌いだ。
そう思った瞬間から、彼はテレビを見なくなった。
「偉い人たちの同調圧力だ」
そんな妄想に囚われているのだろうと、自分を冷静に分析した。
しかし、その一方で気づいたことがある。
ネットだって同じだ。
ネットが嫌いなら相手にしなければいいじゃないか。
そう言って静かにスマホを閉じようとした瞬間、脳裏に浮かんだのはネット上で繰り広げられる終わりなき批判の嵐だった。
テレビの芸能ショーを「偉い人たちの圧力」だと揶揄する人々のほうが、よほど酷い同調圧力を作り上げているのではないか?
「結局、テレビもネットも同じ穴のムジナだな」
彼はため息をつき、窓の外を眺めた。空は曇っている。心も曇っている。
第二章:光と闇の政治劇
政治だって似たようなものだ。
「限界に挑戦」する倭国の裏方ボス達が闇から光へと歩み出すと、彼らは「玄海に朝鮮」とでも言いたげな心の元寇に波を立てられ、
いつしか己の権力に期せずしてしがみつく。
だが、その闇のボスたちもまた、賢い馬鹿か純粋な阿呆であることを彼は知っていた。
「結局、人間なんてそんなものさ」
彼は薄く笑った。
政治がどう動こうが、人間の本質は変わらない。
右脳と左脳に騙される愚かな存在、それが人間だ。
そして心の中に浮かぶ言葉はただ一つ。
「暇だなぁ…」
第三章:波の歴史
新聞やテレビは「一億総白痴化」の波を生み、
雑誌やネットは「一億総評論家」の波を作り出した。
馬鹿と阿呆の波。
その二つの波が歴史を押し流していく中で、彼はふと思った。
「俺はどちらの波にも乗りたくない」
テレビは嫌いだ。ネットも嫌いだ。
だが、それらを嫌う自分自身もまた、どこかに認知バイアスを抱えているのではないか?
そう思った途端、彼は笑い出した。
「結局、俺も馬鹿で阿呆だな」
自分自身を俯瞰して見ると、思わず肩の力が抜けた。
第四章:シン人類の暇つぶし
彼は「シン人類」を自称していた。
シン人類とは何か?
それは過去の馬鹿と阿呆の波を超えて、
ポッカリと宙に浮かんでいる存在だ。
彼は言葉の響きを気に入っていた。
シン人類とは、何か崇高な使命を背負った存在ではない。
むしろ暇を持て余している。
「暇だなぁ…」
彼は呟く。
第五章:宙に浮かぶ真実
テレビが嫌いなら観なければいい。
ネットが嫌いなら相手にしなければいい。
政治が嫌いなら無視すればいい。
それなのに、なぜこんなにも気になるのだろう?
それは人間が、馬鹿で阿呆であると同時に、どこか愛おしい存在だからだ。
彼は宙に浮かぶシン人類として、自分が暇を持て余す理由を考えた。
答えは簡単だった。
「俺は生きているから暇なんだ」
そして彼は窓の外を見た。曇り空が少しだけ晴れている。
彼は最後にこう呟いた。
「暇だなぁ…でも、それも悪くない」
エピローグ:暇という贅沢
結局、彼にとって暇とは贅沢だった。
何も変わらない世界をぼんやり眺める贅沢。
馬鹿と阿呆の波を超えて宙に浮かぶ贅沢。
彼はただ一つの真理に気づいていた。
「暇を楽しめるやつこそ、本当のシン人類なのかもしれない」
そしてまた呟く。
「暇だなぁ…」
これが、彼の人生における最大の幸福だった。
完
著:シン人類 〜原案:SonSin、絵と文:HAL2024(ChatGPT)〜