ゲーム制作のアートとデザイン(後編)
こんにちは~アニマルウィップの鮃です。
前回公開したnoteに引き続き、ゲーム制作に重要なアートとデザインの話です。
今回アニマルウィップで制作した『ギリ、義理チョコ』でデザインをほとんど担当した鮃が、ゲームを構成するコンポーネント、説明書・箱の話を、それからゲームマーケットの宣伝のために作ったゲムマカタログ・ポスター/フライヤーの話をします。
なので、この記事はゲームを作りたい/作っている、もしくはゲーム制作の裏側の話を聞いてみたい!という方向けの記事になっています。
今回は説明書・箱とゲムマに向けての広告物の話です!
前編(コンポーネント編)はこちら!
最初に注意事項です。この記事はあくまで鮃が、今回アニマルウィップで制作した『ギリ、義理チョコ』ではこうしたよ~というもので、必ずこうすればうまくいくといったものではありません。
デザインやアートワークで困ったら自分の持っているボードゲームやボドゲカフェに行って実際に手に取って「いろんなボードゲームがどんなデザインの工夫をしているか?」を確認してみるのも一つの方法です。先人の知恵はどんどん活用しましょう。
説明書
説明書が読みづらいとそもそもゲームができない!けど情報量がとにかく多い!
わかりやすく、読みやすい説明書を作るために試行錯誤しました。ちなみにルールライティングについてはレグルスくんが担当してくれたので、鮃はその配置と図の作成などを担当した形になります。
説明書の構成はだいたい決まっています。
・タイトル(人数/時間/対象年齢)
・世界観
・コンポーネント
・ゲームの概要
・準備
・進行
・ゲームの終了・勝利条件
・その他細則
・クレジット/連絡先
大雑把にこんな感じで、『ギリ、義理チョコ』もこれに倣っています。「世界観→ゲームの概要→コンポーネント→準備」も見かける気がします。後者のパターンのいいところはコンポーネントの説明と一緒に準備の説明もできちゃうところですね。
さて、この説明書の構成ですが、時系列順になってます。ゲームのプレイの流れがつかみやすい構成ということですね。あと、多くの説明書がこの構成で書かれているということは、この構成の説明書を読み慣れている人が多いということです。読む側に負担をかけないためにも時系列順の構成は意識した方がいいです。
それから、時系列順を意識するときに重要なのが、数字の使い方です。
数字は順番を表すことができます。箇条書きする項目があるとき、それぞれに数字を振ることでそれに順序をつけることができます。逆に、数字をつけることで順序があるように思えてしまいます。
『ギリ、義理チョコ』の(1週間の流れ)は、順番に進行してほしい部分なので数字を振ってあります。逆に、[配置ルール]は順序は特に関係ないため、何も振っていません。
ちなみに、何かしら振っておきたいと思ったら、アルファベットなどを振っておくと、後から「Aのルール」「Bの部分」などと呼び出しやすくなります。
説明書はとても多い文章量を、限りある用紙の中に収めないといけません。だからと言って文字のサイズが小さすぎたり、字間・行間がほとんどなかったり、図が少なかったりすると、分かりづらいです。
目安として、本文をだいたい8〜10ptくらいにすると読める文字のサイズかなあと思います。見出しは色やフォントを変えたり、太字にすることで強調できるので、文字サイズはそこまで大きくしなくても目立たせることができます。
図については、準備の様子、進行中の盤面、勝利条件の得点計算例などはあると分かりやすいと思います。
『ギリ、義理チョコ』ではカードのみだったので準備の図はつけなかったのですが、コンポーネントが多くなるほど準備は複雑になるので、図の必要性は高くなります。
また、図については実際の盤面に近いほどいいのですが、『ギリ、義理チョコ』の進行中の盤面の図では、プレゼントカードを実際のもので作ったところ見づらくなってしまったため、別のデザインを使って図を作っています。
あと、用紙に構成する時のポイントなのですが、一つの項目を段やページをまたいで構成するのは読みづらくなります。『ギリ、義理チョコ』の説明書でも段のはじめ、ページのはじめは見出しになっています。
箱
箱のデザインはめちゃくちゃ悩んで、一番時間をかけて制作しました。ボツ案が数え切れないくらいあります。それくらい重要です。
パッケージはゲームを買う決め手になります。店頭にはゲームのコンポーネントが並ぶことはなく箱だけが見える状態です。
つまり箱は、買おうと思っている人にゲームの中身を予感させるものでなくてはなりません。
『ギリ、義理チョコ』の箱のオモテは、お菓子のパッケージのようなポップな印象、タイトルをなるべく大きくして店頭で探しやすいデザインを目指しました。そしてウラ面に、ゲームの盤面の様子、ゲームの世界観などを書いて、ゲームのプレイが想像できるようにしています。
箱に書くのはまとめると以下の要素があります。
・タイトルロゴ→一番重要。見やすい大きさ、見やすい位置に配置してあるといいと思います。箱オモテと側面に配置してあると棚にしまった時も見つけやすいです。お店とかで同人ゲームの棚を見てると側面に題名がなくて、「なんだろう?」ってなるゲーム、割と見かける気がします(特に小箱)。
・ゲームの説明→キャッチコピーやゲームのフレーバー、盤面の画像など。手に取った人にゲームの内容を想像してもらうために重要です。
・人数/時間/対象年齢のアイコン→特に人数は重要です。「家族で二人で遊びたい」も「友達と大人数でワイワイ遊びたい」も需要としてあるので、何人で遊べるのか?を見る人は多いです。箱のオモテかウラには必ずあったほうがいいのですが、なるべくなら側面にも配置しましょう。これも題名と同じでボードゲームを棚にしまうときに箱の側面しか見えなくなってしまうことが多いためです。
・内容物→絶対に書きましょう。不備があった場合、ゲームができなくなってしまうので、それがすぐに気づけるようにするためです。それから、内容物でどのくらいの重さのゲームなのか?が分かるので買う際に検討材料の一つにもなります。
・サークルロゴ→なるべくならツイッターなどの連絡先をつけておくと、気になった人を吸収できる気がします。
広告物のデザインの役割
実はボードゲームを作って売るためには、コンポーネントだけデザインすればOK!という訳ではありません!
ゲムマに出展するならカタログ原稿や、宣伝のためにポスターやフライヤーも欲しい!
当たり前といえば、当たり前なんですけどね……意外と忘れがちです。それにボードゲームのアートワーク論、コンポーネントのデザインの話みたいなのはたまに見かけるのですが、ゲムマに向けての広告物については、どんな風に作ればいいか?というような話もあんまり聞きません……鮃の情報の集め方が下手なだけなんでしょうか?
自分も手探りで作ったのであんまりちゃんとしたお話はできないかもしれないですが、参考になれば幸いです。
ゲムマカタログ原稿
ゲムマに当選し、出展料を入金するとゲームマーケット事務局からカタログのフォーマットがメールで届きます。このフォーマットに従ってモノクロでカタログ掲載原稿を作成します。締め切りはだいたいゲムマ当日から2〜3ヶ月前くらいです。
実はゲムマカタログを買ったことがなかったので、サークルメンバーに過去のものを見せてもらい参考にしました。
ゲムマカタログでは「ゲームを買うかどうか決める時にどんな情報を見たいか?」を考えて、要素を入れていきました。
・題名
・人数・時間・年齢
・どんなゲームか?→世界観・ゲームシステム・画像(箱と同様)
・価格
あと、サークル名は一応カタログに書いてくれていますが名前をしっかり覚えてもらいたいと思うなら入れてもいいと思いますし、TwitterのQRコードなどを入れておくとそこからフォローしてくれる人もいるはずなので、長期的なファンを獲得するためには有用かも?
それから、ゲムマカタログで注意しないといけないのはモノクロであるという点です。カラーで作ってからモノクロにすると意外と見にくくなったりしてしまうので、最初からモノクロで構成しておくと失敗しにくいです。
ポスター・フライヤー
さて、ゲーム本体のデータの入稿が終わったら、当日ブースに貼るポスターや、配布するフライヤーの制作です。
まず気をつけたのが、ポスターとフライヤーの統一感です。特に遠くからでも似ていると感じさせるためには配色が重要です!
上がポスター、下がフライヤー(オモテ)の画像です。
フライヤーはゲムマ当日、自分のブースとコラボしてくださったサークルさんのブースに置く予定のものとして作りました。
例えばコラボサークルさんから『ギリ、義理チョコ』のフライヤーをもらったお客さんが、アニマルウィップのブースに行こうとした時に、お客さんはもちろんブースの位置を知りません。そんな時、ポスターはブースの目印になります。フライヤーと同じような雰囲気のポスターが貼ってあれば、お客さんは「ここがあのブースかな?」と思ってくれます。
これは他の宣伝するコンテンツでも一緒で例えばTwitterで宣伝するときの画像なども、なるべくなら「ポスター準拠」で「統一感」のあるものを用意した方がいいです(更に言えば、ポスターは箱と統一感のあるデザインの方が見つけやすい気がします)。
というのが、パッと見の、外見のこと。まあ、中身についてはゲムマカタログとほぼおんなじです。
あと、フライヤーにはブースの位置を入れておくとブースを探しやすいです。今回作ったフライヤーでは、これが小さくて探しにくかったようなので反省……今回はコラボ企画もしていたということで会場マップもウラ面に入れることができました。
最後に
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
ボードゲーム制作の参考になればとっても嬉しいです。
アニマルウィップがゲムマ春21で頒布した『ギリ、義理チョコ』は今後通販などで販売を予定しています。最新の情報はTwitterなどでお知らせされますので気になった方はぜひフォローをお願いします!
それからアニマルウィップでは今年のゲムマ秋に向けても鋭意制作中です。応援よろしくお願いします!
執筆 鮃
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