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第14夜 Life with ネコ展から考えたネコと人とのかかわり

2023年最初の通常会は、ネコが主役!
いつもよりゆるめに、ゆっくり時間を設けて、参加者のみなさんとネコについてお話しました。

1.Life with ネコ展について

最初に、昨年の夏に港区立郷土歴史館で開催された「Life with ネコ展」の紹介をしました。

出土資料・絵巻・文学・浮世絵などを通して、人とネコがどんなかかわりを築いてきたのか、また、貴族から庶民までネコが愛されてきた軌跡を知ることができた企画展でした。

2.ネコって、どんな動物?

そもそもネコはどんな動物で、どんな役割を担ってきたのでしょうか?

私たちが身近に接しているネコは、「家畜のネコ」「イエネコ」と言います。
ネコはイヌと比べると人との歴史が浅い動物ですが、まだよくわかっていないことも多いです。

イエネコが日本にやってきた理由としては、大切な書物(経典など)をネズミから守るためとされています。

ネズミは、米や蚕などの重要な生産物をかじることから、人々は頭を悩ませていました。また、蔵に収められている文化財や書物にもその被害は及んでいました。

ネコは、そういったネズミを捕ることで益獣としての地位を獲得していきます。

ネズミ捕りとしての役割から外れつつある現代でも、私たち人間はネコに魅了され、愛し続けています。最近では、ネコ独特の声である「ゴロゴロ音」と振動を利用したクッションが作られ、介護現場で活用する研究もされています。

3.あなたが思う、ネコの魅力って?

このパートでは、参加者のみなさんと一緒に、ネコの魅力についてお話しました!

参加者のみなさんからは、その特徴的な瞳や人に媚びず服従しないところが人間の本性の一部につながるのでは、といったコメントが寄せられました。

4.ネコを科学的に見てみると?

みなさんとネコの魅力をお話したところで、今度はネコを科学的にみた研究を紹介しました。

まずは「鳴き声」です。

ネコの「ミャー」という鳴き声は、本来母子間で使われますが、成獣になったあとも人に使い続けます。これは、人の気を引くためと言われています。
しかもこの鳴き声は、音響学的にみると人にとって心地よい音とされています。

また、イエネコの祖先であるリビアヤマネコと比べても、イエネコの方がより心地よい音になっているそうです。

このことから、ネコの鳴き声は、人に気に入られる音が残っていったということがわかります。

鳴き声といえば、ネコが「ゴロゴロ」と喉を鳴らすのを聞いたことがある方も多いでしょう。

この「ゴロゴロ」は、仔猫が母親からミルクをもらっているときに発する音で、成獣同士では身体接触を促すものとして使われるとのことです。

人に対しては、接触を催促する意味で使われているとされています。
この要求の「ゴロゴロ」は、人にとって不快で急かされる印象を与えることが分かっています。

ネコは、人と接するときに「ミャー」と「ゴロゴロ」をうまく使い分けているんですね。

鳴き声で人を魅了するネコですが、飼い主を認識して態度を変えることも分かってきています。

ネコは人の表情や姿勢、行動を手がかりにして飼い主の状態を理解し、行動を変えているとのことです。

また、人のジェスチャーをある程度理解できることが示唆されていたり、真似まではいかないですが、人を観察して学習しているといった研究報告もあります。

ネコは、人と関わるなかで様々な能力を身につけながら進化しているのです。

ネコ達は、ネコ同士のコミュニケーションだけでなく、人との関係の中でうまく生きていけるよう発達していきました。これは、牛や豚といった人の手で飼育しやすい特徴を残す「家畜化」ではなく、ネコ自らが特徴を選択した「自己家畜化」の結果であるとされています。

ネコは、生き残るために人に気に入られ、うまく懐に入る進化をしていった動物なのかもしれません。
ネコは人に愛されるために進化した動物なのでしょう。

5.みなさんのネコに関するエピソードをシェアしました

後半は、ざっくばらんにネコに関するエピソードなどをゆっくりお話ししました。

こんなお話をしましたよ!

・ネコとイヌでは、作られるグッズの傾向や目的がちがう?!
・猫耳はかわいさのシンボル
・みなさんはネコを飼ったことがある?(可愛いエピソードがさまざま寄せられました!)
・ネコはアザラシの性格に似ている?!
・ペットのお葬式

6.まとめ:私たち人間は、大昔からネコの魅力にはまり続けているのかも

今回はネコの魅力について、歴史や科学的研究、そしてみなさんとのお話の中で考えていきました。
これからも人々を魅了し続けていくであろうネコ達。
今後もさらに注目していきたいですね。

7.次回の掲載予告

次回は
『第15夜 動物園の「ふれあい」について考えよう!』の内容を掲載します。

どうぞお楽しみに!

参考文献
・なぜネコは伴侶動物になりえたのか 比較認知科学的視点からのネコの家畜化の考察 斎藤慈子
・Life with ネコ展図録
・ネコにおけるヒトから向けられた視線の認識
https://www.jstage.jst.go.jp/article/janip/advpub/0/advpub_69.2.3/_pdf
・ネコの社会性知性はいかに研究されるべきか
https://www.jstage.jst.go.jp/article/janip/59/2/59_59.2.1/_pdf
・ネコの動物学 大石孝雄著
・東京大学広報誌 淡青37号「猫と東大。」
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/z1304_00039.html
・座位姿勢をサポートするネコのゴロゴロ・クッションの開発 瀬戸眞弓・横倉三郎


ネコ科は、別テーマで取り上げました!
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