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動物医療過誤訴訟の流れ

動物病院で思いがけずに突然のお別れが来た、医療事故かと感じた、動物病院の医療行為に不信感を持った。という場合、どの様な流れになるのでしょうか。


民事訴訟:裁判開始前の流れ

⚫証拠保全(カルテや検査結果等を動物病院へ請求)
   ↓
⚫弁護士探し
   ↓
⚫協力獣医師探し(意見書)
   ↓
⚫弁護士と共に争点整理
   ↓
提訴(訴状を送り裁判開始)

【証拠保全】

まず証拠となるカルテ、レントゲン、CT、MRI、血液検査などの検査結果等被害にあったペットの記録を動物病院に請求します。
出来ればその場で請求する事をオススメします。なぜならカルテは改竄される可能性があるからです。
請求方法としては
①飼い主さん本人が申請をする。
②弁護士に頼んで証拠保全の申し立てをする。

①の申請方法として、カルテ開示の申請書を請求しましょう。
渡してもらえない場合は、以下の内容を伝えましょう。
日本獣医師会が小動物(犬や猫など)医療に従事する獣医師の職業倫理として定めた『小動物医療の指針』には、『飼育者から診療簿の開示を求められた場合には、積極的にこれに応じるよう努めなければならない』と明記されています。
これに反する行動を取ることは、日本獣医師会が定める職業倫理規範に反すると伝えましょう。

また、ペットの医療情報は、飼い主の所有物についての情報、つまり飼い主の『個人情報』との解釈も可能だと考えられます。
※弁護士ドットコムニュース2018/3/11記事参照

この様な方法以外にも、「〇〇(ペットの名前)の思い出として残しておきたいので」などと言って渡してもらうと良いでしょう。

真正面から行くと、相手方は構えて自己保身に走る可能性があるので渡してもらえなかったりカルテ改ざんの可能性があるので慎重に!

※解剖所見があれば動かぬ証拠となります。

【弁護士探し】

弁護士へ依頼する際、起こった出来事を時系列で書面にまとめておく。
かなり辛い作業になるかと思いますが、裁判に挑む最初の第一歩となります。

ペットは命があり感情や意志もありますが法律上は「モノ」扱いとなります。

弁護士に依頼するとなると、着手金や成功報酬諸々がかかってきますので、勝訴や和解をしても損害賠償額より弁護士費用の方が上回る事が多い事、因果関係の立証が難しい事(基本、原告(飼い主)に立証責任があります)などから受任してもらえない事が多いです。

コロナ禍以降、WEB裁判も実施していますので、お住まいの都道府県だけではなく全国の都道府県弁護士会へ電話をし登録されてる弁護士の紹介をお願いしてみる。など諦めずに全国の弁護士を探して下さい。

【協力獣医師探し】

この部分が1番困難で、同業者の過失を主張してくれる方はよっぽどでない限り見つかりにくいです。

ですが、諦めたらその時点で終わりです。
協力獣医師へのコンタクト方法などはDMにてご連絡頂ければお伝えします。

【争点整理】

法的な追求部分を整理します。損害賠償請求事件になります。
『誤診、過失』
『死亡との因果関係』
『損害内容』
をもとに、争点を絞っていきます。

⚫債務不履行または不法行為約束通りに債務を果たさない事
⚫善管注意義務「善良な管理者の注意義務」の略通常要求される程度の注意義務を払うこと
⚫説明義務違反いわゆるインフォームドコンセント説明すべき内容を説明していない
が主な争点ポイントとなる事が多いです。
このあと、提訴(訴状を送り裁判開始)となります。

民事訴訟:裁判開始後の流れ

原告が裁判所に訴状などを提出する
      ↓
裁判所が訴状を受理
      ↓
被告が答弁書を提出
      ↓
このあと準備書面でのやり取りで、お互い証拠を添えて主張をし合います。
この段階でほぼ争点整理をし、口頭弁論が必要ならば実施。
(この最中に和解案が提示される事が多い)
      ↓
判決が下る

※判決が下るまで約1年〜2年程はかかります。

時効について

消滅時効は、民法第709条の不法行為による損害賠償請求権は,
加害者を知ってから3年,事故発生時より20年(2020年3月31日以前)
加害者を知ってから5年,事故発生時より20年(2020年4月1日以降)

民法第415条の債務不履行の場合は,
事故発生時点から10年(2020年3月31日以前)
事故発生時点から権利を行使できると知った時から5年、権利を行使できる時から20年
※日本獣医師会雑誌 第61巻第6号[vol.61 No6(2008)]参照

総 説 : -獣医療現場における危機管理のあり方-獣医療事故そのパラダイム

Instagram 動物病院の医療過誤 被害者の会


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