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思い出のカメラNikon FM2

むかし、名古屋に着替え詰め込んだボストンバッグとカメラバック1つ持っただけで郷里の島を飛び出して出てきて、写真学校の入学試験を受け合格通知を貰って、いよいよ写真学校生になるという時に、名古屋に来たんだからまずは名古屋城を見に行こうと当時発売されたばかりの新型カメラNikonFM2を肩から提げて見学に行った。大きな門をくぐり城の近くまで来て眺めていると、ライカを首から提げた白髪の初老のお爺さんが、「名古屋城は初めてですか?」と話しかけてきた。私が「そうです」と答えると、その人は「私も一人で来たから一緒に見学しましょう」と言って下さり、色々と話をしながら見学し、たまに立ち止まってシャッターを押して、「私も写真が好きでして、あなたは良いカメラ持っているけど写真が趣味ですか?」と聞かれ、「自分はこの春から写真学校に入学するんです。プロを目指しています!」とハッキリと言うと、その人はニコニコしながら、「私は今日この後、夜に大須のギャラリーで開かれている写真展に行くんです。あなたも良かったら一緒に行きませんか?」と誘っていただき、まだ時間があるから、名古屋城を出て一度下宿に戻ってからギャラリーに行きますと約束しました。
夜7時くらいだっただろうか...
ギャラリーに行くと沢山の人が集まっていて、風景写真の巨匠 緑川洋一先生の作品が展示されていた。写真展の作品を見ているとアナウンスが有り、今から講演会が始まるから席についてと言われ、係の人に案内されて一番前の席に座ると、名古屋城で会った初老のお爺さんが隣に座り「良く来て下さいました。貴方のような写真家を目指している人が来てくれて嬉しいです」といって直ぐ、司会者に紹介されて登壇したのは、何とその人!!
巨匠 緑川洋一先生でした。
もうね、ビックリして、自分が今日失礼な事してなかったかと焦りまくりました。
帰る時に「たくさん勉強して良いカメラマンになって下さい」と激励して戴き、本格的にプロへの第一歩を踏み出しました。
今から38年前の出来事...
いまでもその時のFM2は大切にしていて、現役で動いています。

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