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6月の読書記録

6月の読書は「ロクス・ソルス」と「十二国記シリーズ」の再読。
十二国記シリーズについては、またそのうち。

ロクス・ソルス

レーモン・ルーセル著
岡谷 公二・訳

あらすじ

パリ郊外にあるロクス・ソルス荘の広大な庭園にて科学者カントレル先生の奇想天外な発明品が客人たちに披露される。延々と発明品の説明、発明の元になった逸話が綴られる珍妙な物語。

BUCK-TICKの「ロクス・ソルスの獣たち」がきっかけで入手するも読み進めらず、思い出したように手にとっては断念…を繰り返して約3年。
「さかしま」を読めた今ならコレもいけそう、という訳の分からぬ自信で何度目かの挑戦。ようやく最後まで読めた!!!長かった!!!

今回も、序盤に登場する「歯でモザイク画を作る発明品」の場面で断念しそうになる。用途も意図もわからぬものの描写を事細かにされても意味がわからない。イメージもわかない。わからないまま読み進めることがこんなに気持ち悪くて苦痛だとは。専門書ならいざ知らず(説明が詳細すぎてもはや専門書レベルだが)小説だろ、これ!!!と歯がゆい思いをするも、唐突に吹っ切れる。

もう、わらなくていいや。
わかろうとすんのやーめた。とりあえず読も。

開き直って読み進めると・・・。
発明品の描写のあとに、ネタバレ的に語られる発明のきっかけとなった逸話や物語が面白い。これだけでも面白いしまぁいいか、などと思い始める。

そして「描写→逸話でネタバレ」のパターンに気づく。ひとつの発明品にまつわる複数の話が並列で語られているため、因果関係を確認しつつ読む。するとカントレル先生の意図や表現されていることの意味が分かって、それなりにイメージが浮かぶではないか。

こうなると俄然読むのが楽しくなるのが単純。
意味不明のものが解き明かされていくって気持ちいい。わからなかったものがわかるって楽しい。(理解できない部分も多いけど)とだんだんわくわくしてくる始末。

なんだろう。もう降参、お手上げです。って本にひれ伏したら、本の世界に入れたあの感じ。初めての感覚だったなぁ。

最初から順番に読む。
理解して次に進む。
本を読めばイメージが浮かぶ。
そんな今までの当たり前もひっくり返った。

アカ=ミカンスと呼ばれるきらきら光る水中でたゆたい、優雅に髪を振って音を奏でる踊り子。死者の人生における最も印象的な場面、その記憶を繰り返し再現するからくり人形。グロテスクなんだけれど、美しい。

とことん『モノ』にこだわった「さかしまの主人公とは対照的に、カントレル先生は人間が好きなのか。と思ったのだけれど。
脳や肉体、記憶、そいういう人間が備える「モノ」を使って物語を再現することへの興味がすごいんだな。と思い直す。人間=表現のためのパーツって感じ。生きてる人間と関わることが好き、って感じじゃないよね。

自分の世界を内に内に突き詰めて閉じこもった結果、神経症が悪化した「さかしま」のデ・ゼッサント。
突き詰めたものを他者(外)に披露する「ロクス・ソルス」のカントレル。内向きか外向きかの違いはあれど、どっちもイカれたオタクが自己満足を極める話。でもどっちも嫌いじゃない。←乱暴なまとめ。
デ・ゼッサントも、自分の世界を誰かに披露する社交性があれば何か違ったのかもなぁ、なんて詮無いことを思う。

自分の世界をとことん突き詰めるって、一種の狂気。
そして凡人の私は、その狂気をなんの衒いもなく露わにすることに憧れる。


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