仮面の裏側
昨日の稽古、最後に行われた仮面の受け渡しの儀式が、あまりに尊くて、突き抜けていて鮮烈だった。何重にも生命が重なり合って、織り込まれて、やがて完結し、最後に丁寧にお辞儀をした時には、何かとても大事な意味のある宇宙的秘技が成就した瞬間だったような感覚が押し寄せてきてしばらく震えが止まらなかった。
前任者から仮面を受け取り、ゆっくりと回転させていくと、やがて仮面の裏側に向き合う。そこに宇宙に通じるポータルがあり、そこに顔を入れれば、もう二度と元には戻れないということを直観して戦慄が走った。そうやって代々と受け継がれてきた仮面を「面」として生き、回転して後任者に受け渡すのだ。
後任者を認めて、その「面」を託す時には少なからず時間が必要だった。離れていく仮面とのつながりはすでにとても濃かったので、なかなか顔から離れず、引き裂かれるようだったけれど、その宇宙の営みに参加できた喜びと、役割としてちゃんと受け渡し終えたという安堵感で心からホッとした。
面を受け取り、面をつけるという行為は、自分の番にならなければ、自分で執り行わなければ、その本当の意味は絶対にわからないのだと思った。経験は我が身体をもってなさねばならない。そして一度顔をそこに入れたならば、二度と同じ自分には戻れないのだ。
その経験があるからこそ、他者の営みを見て愛おしく思えるのだと思った。