随分昔に読んだ書籍「無私の日本人」。
年の暮れにまた読み返し、感銘を受けています。
著者は「武士の家計簿」(2010年映画化)で知られる史家、磯田道史氏。
この本を書かれたきっかけは、磯田氏のもとに、一通の手紙が来たことから始まります。
仙台の近く「吉岡」というところに住む三橋さんという方からの手紙です。
要約しますと “その昔、貧しい町だった吉岡の町を助けた9人の篤志家がいた。吉田勝吉という人がこの話を調べて『国恩記覚』という資料集にまとめている、どうかこの話を本に書いて、後世に伝えてくれないか”
著者の磯田氏は、この古文書を読み、泣いてしまった。そしてこの9人の篤志家の話を書かれました。
なお、この9人の篤志家の実話は、2016年に、阿部サダオさん主演で、松竹にて映画化されました。
日ごろ年貢を取り立てる藩に対して、庶民が藩にお金を貸し金利をとるという逆転の発想で宿場町「吉岡」を救った実話が、コミカルに描かれる様子です。
私は、この本のあとがきにも、感涙してしまいました。
自分の中にも少しある、いまの時代について感じることだったからです。
下記、この本の磯田氏のあとがきです。
この国をつくってきたのは、
浄化の力を宿らせた無名の多くの方々なのでしょう。
磯田先生と素晴らしい先人に、感謝をこめて。