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暮らしを大切にする「民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある」大阪中之島美術館展覧会へ

はじめに

こんにちは、大阪の魔法使いアートマインドコーチギータです。

思いついて大阪中之島美術館のメンバーシップに入りました。
調べてよかった。今年度は企画展無料で観られるようです。年間6000円で。
先週観たのは『民藝』と『並行人生』の2つ。
すでに会費の半分以上のチケット代。
入ってよかった。

民藝とは?

さて、『民藝』はもちろん1926年大正時代に柳宗悦の提唱した運動。
民藝運動をリードしたのは柳宗悦、河合寛次郎、浜田庄司。
職人の手で作られた生活道具を「民藝、民衆的工芸」として美は生活の中にこそあるとした運動。
美とは何かを問い直した運動です。
近代化、西洋化、大量生産に警鐘を鳴らし、豊かな生活とは何か?を追求したのです。
普段の生活を丁寧にということの始まりです。

「私は何より普段使いの品が健全にならずばこの世は美しくならないと思う者です」
柳宗悦民藝の趣旨私家本1933年

第I章: 1941生活展
─ 柳宗悦によるライフスタイル

1941(昭和16)年、柳宗悦は自身が設立した日本民藝館(東京・目黒)で「生活展」をした時の様子
今で言うテーブルコーディネートみたいな展示は新しかったんですね。
見せてもらうとやってみようと思いますからね。
親しく温かみのある展示空間にしたかったそうです。

第Ⅱ章:暮らしのなかの民藝
─ 美しいデザイン

「衣・食・住」に分類した展示

日本のものだけを取り上げたのかと思いきや、朝鮮半島、中国、ヨーロッパ世界あらゆるところから収集していたんですね。
縄文土器まであってびっくりしました。

今回の展示で美しさを再認識したのが信楽焼。
私自身の故郷に近いため、身近な存在なのですが、日常使いのものくらいでそれほど素晴らしいと思ったことがなかったのです。

「焼締黒流茶壺」江戸 信楽焼
深いグレーに黒い流釉。美しくて見惚れてしまいました。
柳宗悦も近江八幡で見つけたときに感動したと書き記しているそうです。
ググると写真が出てきますのでぜひみて下さい。
残念ながら撮影不可でした。

各地の着物も豪華でなく普段着なのですが着てみたいと思うものがたくさんあります。
‟只被る為なら美しさ等どうでもいい。だが美しさは着たい気持をそそる。”
― 柳宗悦『用と美』1941年
確かに、なんでもいいのですが、素敵だと思わないと楽しくないですよね。

展示の中では
江戸時代のリサイクル着物裂織が素敵でした。
色とりどりにいろんなハギレを着物にするのは寒冷地中心に作られたそうです。

琉球のカラフルな着物も目を惹きます。
自称ピラピラ好きの私ならきっとこんなの着ていたかもと思いながら観ました。

この章は下記の柳宗悦の言葉でまとめてもらうことにします。
195110月号栄養と料理
『美しさと女性』
「心の持ち方、美しさへの見方によって充分暮らしを豊にし美しくし
和やかにすることが出来ると思います。」

第Ⅲ章: ひろがる民藝
─ これまでとこれから

日本民藝館は2代目濱田庄司が引き継ぎ、世界の民芸を紹介していきます。
子供の頃、アフリカの飾り物のお土産になんだったかは記憶にないですが色のカラフルさだけは覚えています。
民藝運動のおかげで日本にも流行っていたのでしょうね。

イランの石製ランプは20世紀のものだけど古いものに見えます。
欲しいなと思った1品です。

さらに日本での今に引き継がれている製品・職人の紹介展示。

倉敷のガラス製品のヒントになったメキシコのガラス製品は色も形も美しいもの。
パンチボウルとか素敵でした。

富山の八尾和紙
薬包として発展したんですね。鮮やかな紅柄紙は今でも使いたいもの。
今は傘に使用しているようです。

岩手の竹細工
竹細工は美しいと柳宗悦は絶賛していたんですね。

兵庫の丹波布
江戸末期から明治50年が盛んで座布団、丹前、夜具など使用
大量生産に消えていたのが1954年に復興しています。

滋賀大津絵
鬼の念仏など展示。
17、18世紀に街道の旅人の土産絵
大津絵も消え去っていくところだったんですね。

感想

最後の展示はテリー・エリス/北村恵子(MOGI Folk Art ディレクター)「これからの民藝スタイル」インスタレーション
取り入れ方ですよね。美しく住むには。センスは必要。
バーナード・リーチには行かなかったのも今回の展示もポイントかもとふと思いつきました。
柳と往復書簡を交わしていたり、濱田と行動を共にしたり、民藝の運動にも関わっていたはず。
とすると最後のインスタレーションは必要だったかと疑問はありますが、
日常生活を丁寧に生きたいと改めて認識した1日でした。


◼️記憶しておきたい柳宗悦の言葉

「私は只理論的に美について語るだけに止めたくは無い
私はすすんでその理論を具体化する事に努めたい」

「一つは美と生活とを一つに結ぶことをしたい
それは手近く私自身から出発せねばならない
私は生活に必要な諸々の器物を使うことによって活かしてみたい
見ることから用いることに転じたい」
柳宗悦 私の念願 工芸第27号
洒落舎1933


私物の本

大阪中之島美術館開催
民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある
2023.07.08 – 2023.09.18


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