なんのために

順番に楽にしてあげるから口を開けててって言ってばら撒く錠剤、神様みたいな気分になれて心地いい。きみがラリって口にする「すき」を養分にぼくはまたにせもののぼくを増やす、もう倒すべき敵なんて消えたのにずっと仮想敵と戦っていてばっかみたい。冬の冷たい風がそのまま保存されて、夏のクーラーの風になったらいいのに。全員馬鹿だ、そう思って遠くばかりをみつめているぼくがいちばん馬鹿げているのはぼくがいちばん知っていた。もうきみはあの頃の夢から覚めたんだよ。安心しなよ、この道を歩いて。本棚の写真晒すのって脳みそ晒してるみたいで恥ずかしい。ウケる、って言って笑う娘に踊らされ続けて、死ねと思い続けている。こんな紙切れ一枚でぼくの人生わかられてたまるかっての。たとえすべてが幻覚だったとしても、たしかにあれは現実だった、とぼくは大きな声で言い続けます。すべてはかつてあったはずの愛のために。

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