にわか新聞記者
新聞にウキウキする。毎日新しい情報を届けてくれるところも、余白なくびっしり文字が埋まっている紙面の謎も。
テレビのニュースと違って、自分が読みたい記事を選択できるし、禍々しい事件に必要以上に心を痛めることもない。
今日は私と新聞のお話。
新聞社に職場体験
新聞記者というものに漠然と憧れていた幼少期。中学の職場体験では迷うことなく新聞社を選んだ。3日くらい学校には行かず、朝から会社に向かう。印刷工場の見学をしたり、記者の後について取材に行ったり、記者が原稿を書いてから実際に紙面に載るまでの流れを見たりした。皆さん自分の仕事も忙しいのに、中学生2人に丁寧に教えてくれた。
最終日には自分で原稿を書いた。それから真っ赤になって返ってきた文章を推敲する。それが後日、実際に小さな記事になって新聞に載ったことはとても誇らしかった。職場体験の感想という簡単な文章だったけれど、自分の名前が新聞を書いた人として載っているということが特別に思えた。
新聞記者にはなれない
しかしこの体験を通して、私は新聞記者にはなりたくないということがわかってしまった。とにかく忙しくて時間に追われる仕事だったからだ。新聞はやはり鮮度が命。翌日の発行に間に合わせるためには、締め切りがシビアである。私にはできそうにない。毎日締め切りに追われる生活なんて無理だ。読む専門になるしかない。そう悟った3日間だった。
アメリカで新聞記者になる(大袈裟)
読む専になることを決意してから数年後。そんなことはすっかり忘れて、学校新聞の記者になった。当時アメリカの大学に留学していて、編集長が私の友人だった。記者やらない?と声をかけてくれた彼女に思わず「やる!」と返事をしていた。英語のライティングに自信がなかったけれど、編集してくれる人がいるということが私を後押しした。英語力向上の絶好の機会だと思ったのだ。
徹夜で書く
月2回発行の校内新聞。生徒だけでなく、教授や職員、OBやOG、地域の人達も読む新聞だ。結構真面目にジャーナリズムを追求している団体で、毎週のミーティングではアイデア出しと、前回の発行紙に対する批評会があった。編集長は学生だが、監督する教授もいた。英語専攻の生徒が主になって編集していた。
私は当時2つ専攻を持っていたこともあって、すでに寝る間を惜しむほど忙しかった。だから隔週金曜の夜は徹夜で原稿を書くことになった。(本当はもっと効率のいいやり方があったのかもしれない。)
金曜日までに、下調べして情報を集め、取材のアポを取り付けて、実際に取材しておく。
取材中はスマホで録音させてもらう。便利な世の中なので、勝手に文字起こしをしてくれるアプリがある。それを使いながら、アプリが拾いきれなかったところを書き起こし、間違いを正していく。機械の助けがあっても取材の文字起こしには数時間かかった。
それから取材や調べた情報からどこを切り取って使うか考え、文章を組み立てていく。初めは泣きそうなくらい難しくて挫折しそうになった。でもだんだん慣れて書けるようになった。
一応仕事だったから、一つの記事に対して20〜30ドルくらい貰えた。時給に換算したらすごく低いけど、自分が作り上げた作品に対して対価が貰えるという事実が嬉しかった。
ずっと続けたかったのだけれど、次の学期はさらに忙しくなる予定だった。これ以上睡眠を削っては体を壊してしまうと考え、一学期だけで辞めることに。徹夜は世の中の合法なことで”絶対にやらないほうが身の為ランキング”トップ5には君臨していると個人的に思う。ともかく、英語のライティングも向上したのだけれど、新聞記者はこれっきり辞めてしまった。
終わりに
高校の頃、国語の先生が毎日6紙の新聞を読んでいると聞いて、大人になったらそんな人になりたいと憧れていた。今はそんなお金もなくてインターネットで日々の情報を摂取しているだけだ。
最近、無駄使いだよな〜と思いつつずっと欲しかったKindleを注文してしまった。これから英字新聞でも読もうかな。Kindleの有効活用。罪悪感のカルピス割り。考えるだけでワクワクしてきた。
活字中毒だったあの頃に戻れるかしら。