非認知能力と小学校受験Part 2
小学校受験を志す方の非認知能力に対する認知度は?
非認知能力の概念が生まれるきっかけとなったのは、60年以上前に発表された「ペリー就学前教育プログラム(ペリー・プレスクール・プロジェクト)」で
幼児教育を受けさせる経済的余裕がない貧困世帯の3〜4歳の未就学児123人からランダムに選ばれた58人を対象に、質の高い就学前教育を2年間実施しました。そして、この就学前教育プログラムに通わなかった子ども65人と比較する、40年に渡る追跡調査を行った結果は。
この研究はその後対象者が40代になるまで続けられており、とても興味深い結果が得られています。
就学前教育をうけた子どもは留年・休学せずに高校を卒業できた割合が20ポイントほど高く、さらに、14歳時点での基礎学力の達成率ではかなり大きな差が見られました。
一見すると「教育プログラムを受けてIQが上がったからだろう」と思えるこの結果ですが、10歳頃にはIQの差はなくなっているので、「IQでは測れない別の能力の影響があった」と考えられます。
そして40歳になってから行われた調査結果では
所得、持ち家率の差は驚くべきもので、いづれも就学前教育を受けた人とそうでない人の差は一目瞭然となりました。
この調査の結果により、IQや数値にできる認知できる教育の結果ではない、非認知能力の存在とその大切さを知らしめたのでした。
ここからはその非認知能力が幼児期教育の中でどのように大切で、どうすれば身につけられるかをお話ししたいと思います。
非認知能力に対しての文部科学省の取り組み
2020年、約10年ぶりに学習指導要領が改定されました。改定には「これからの社会が、どんなに変化して予測困難になっても、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、判断して行動し、それぞれに思い描く幸せを実現してほしい。そして、明るい未来を、共に創っていきたい。」という思いが込められています。
2020年より小中高と一年ごとに導入されてきています。
指導要領には、学校教育で育みたい能力として「生きる力」や「汎用的能力」を重視し、特に学級活動・生徒会活動・学校行事などを通して、問題解決能力や他者との協働、学校活動に向かう意欲など、非認知能力に当たる能力を向上することを目標に掲げています。
また、教科学習も、生徒主導型の「アクティブ・ラーニング」に変化し、生徒が自ら課題を見出し、他者との対話を通して考えを深め、解答を導き出せることを大切にしています。
ここからが幼児期における非認知能力についてとても大切なところです。
文科省は、幼児期における非認知能力の重要性を指摘し「学びに向かう力(非認知能力)の育ちと、文字・数・思考(認知能力)の育ちには関連がみられる」としています。
小学校に入学した子どもがスムーズに学校生活に適応できるようにするための「スタートカリキュラム」を導入したり、幼小接続を進めるためのポイントを示しています。
これは以前からかなり問題になっている、幼児期に適切な教育環境で様々なことをせず、幼児期には、自由にあるがままが良いというような風潮になってしまい、いきなり小学生になると、
椅子に座っていられない
先生の話が聞けない
1人だけちがうことをしてしまう
お友達と人間関係が築けない
などの小1プロブレムを抱えるお子様が多くなってしまったことです。
この言葉ももうかなり前から言われており、幼小のお子様をお持ちの方はご存じだと思いますが、教育現場ではとても大きな問題になっています。
では、どうすればこの幼児教育から初等教育に移行するときの溝を埋めることができるのでしょうか。
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