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子どもの行動にイライラしてしまう ・・・

自然のプログラム

自分の感情に振り回されて、子どもの行動にイライラしてしまう

そう、自分を責めてしまう人が多いのではないでしょうか。

でもそれは、私も含めて、子育てに関わる人なら、誰もが思ったことがある感情だと思います。叱らずに済むならそうしたいですよね。

子どもの行動には、必ず理由があります

これを知っているだけでも、イライラが少しマシになったり、感情的になってしまう回数が減るかもしれません。

大人は、何かの目的を達成するために行動することが多いと思いますが、子どもは内から湧き出る生命エネルギーの働きによって、成長するために行動します。

そこには自然のプログラムが組み込まれていて、生まれてきた世界を知るために全身を使って感じたり運動しようとします。

脳科学と子育て

毎日忙しい生活の中で大人に余裕がないと、つい「触っちゃっだめ!」「どうしてそんなことするの!」などと否定的な言葉を子どもに投げてしまいがちです。

そんな、大人がうっかり感情に任せて言った何気ない言葉でも、子どもの脳に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

(テレビ番組『サイエンスZERO “子どもの脳”を守れ 脳科学が子育てを変える』」参照)

子どもは大人から暴力的な言葉のシャワーを浴びせられると、意味がわからないままただ怖い経験だけが脳の深い部分に刻み込まれます。そして、大人になった時にその傷がこころやからだに現れ

生き辛さを抱えることにつながります

また、子どもは大人からの否定的な言葉や態度を全身で吸収し、自分の存在自体を否定されたように感じて、自尊心がひどく傷ついてしまうことになります。

私たち自身、子どもの頃を思い出してみると、大人の理不尽な言動に傷ついた経験が少なからずあるのではないでしょうか。

とはいえ、毎日の子育てで心身共に疲れてしまっていたり、心配事があったりすると、感情のコントロールが難しい時もありますね。

かつての私もそうでした。子どもの寝顔に向かって「ごめんね…今日も優しくしてあげられなくて」と、ひとりで泣いていた夜が何回もありました。

そんな頃、モンテッソーリ教育第一人者であり、私の恩師である相良敦子先生にポロッと弱音を吐いたことがあります。先生の

「昨日より今日は怒る回数が減ったな〜と思ったら、それでいいのよ!」

とおっしゃった一言に救われました。


理解は皆を救う!(勝手に作った標語)


子どもの困った行動の中に、どんな理由があるのか?

そこには、大人には思いつかない

子どもなりの理由

があります。そのいくつかをご紹介しましょう。

【エピソード1】
石を端から下に落とす、おもちゃをベランダから下に落とすなど、ともすれば人に怪我をさせてしまうような危ない行動をする子がいました。

もちろん、人に危害を加えようとか、ものを壊そうというつもりはありません。

ものが下に落ちる様子を見るのを楽しんでいたというのも理由としてあると思いますが、もう一つ、成長過程に関わる理由があります。

それは、「握る」動きができるようになった子どもは、次に「手放す」動きを習得しようとするのです。

赤ちゃんはなかなか握った手を放すことができませんが、少し成長すると、子どもは毎日の環境の中で手を開いて力を抜く動きができるものや場所を無意識に探しています。

ですからこのような場合、家の中でポスト遊びのようなおもちゃを置いたり、長い筒の中をボールが落ちていくような装置を作ったり、能力に応じてですが、つまようじを調味料の瓶の穴に入れる遊びを用意すると、子供は手放す動きを習得するまで繰り返し遊び、外で危ない落とし方をしなくても済むようになるでしょう。

エピソード2
あるお母さんが近所の親子を家に招いて遊んでいる時、我が子が勝手にママ友の大きなカバンを引きずるように持ってきました。

この子は大きくなったら万引きするようになるのではないかと、お母さんはとても心配になりました。

親は、子どもの個性や才能を伸ばしてやりたい、社会性を身に付けてほしいと願うものですね。

でも、だいじょうぶ。

この子は、カバンの中身が欲しかったのではありません。実は、重たいものを運びたかっただけなんです。

ですから、丈夫なカバンに米袋を入れたり、段ボールで作った貨物列車にたくさんおもちゃを入れて引っ張れるようにしたり、重いものを運ぶお手伝いをしてもらうと、いつでも全身運動ができることに満足して、人のカバンに気持ちが向かないようになるでしょう。

これらの子どもの行動は、モンテッソーリ教育で言うところの「敏感期」が関係しています。

敏感期

敏感期とは、子どもが自然の成長プログラムの中でさまざまな動きを獲得するために、ある特定のものや動きに対して感受性が敏感になってくる一定期間のことです。

例えばものすごく小さいものに興味を持つ時期、つるつるとした感触のものを触りたがる時期、お風呂に入る順番や体を洗う順番など秩序にこだわる時期など、他にも様々な敏感期があります。


こんなふうに、一見困った子供のように思えた行動ですが、子どもは大人に反抗しているわけではなく、実は、自然の成長プログラムにつき動かされて自立へ向けてすくすくと育っているのだということがわかります。

敏感期について詳しく知りたい方は、ぜひ、モンテッソーリ教育に関する著者や雑誌『クーヨン』のモンテッソーリ教育特集号をご覧ください。

特に、家庭でのモンテッソーリ教育について優しくわかりやすく解説されている、相良敦子先生の著書をお勧めします。

また、手作りおもちゃの紹介がイラスト付きで豊富に載っている『ひとりで、できた!』も、楽しく読める一冊だと思います。

梅雨のシーズン、体調管理に気をつけて元気に過ごしたいですね。

今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

また次回も、愛あふれる子ども目線でお届けしまーす!


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