キセルって知ってるかい?無限列車に乗るために伝えておきたいことがある
※この記事は2021年9月27日に有料公開されたものを編集したものです。
昨日は大人気アニメの劇場版が放送されたことで、夜のTwitterのトレンドは関連ワードで埋め尽くされた。
その中にあった「無銭乗車」というキーワード。
人気タイトルのノーカット版の放映ということで、必然的に多くなるCMの量を嘆いたツイ民に対して皮肉を込めたものらしい。
「タダで見ているくせに文句を言うな」
映画のタイトルに掛けているものの、なかなかセンスのあることを言ったものだと笑ってしまった。
その日、タイムラインをざわつかせた「気になる話」
そう、その日にはライター界隈もあるキーワードにちょっとざわついた。
それが「搾取ライター」である。
その発信源がかなり影響力のあった方だったため、個々でツイートをしないまでも、多くの方の心にその言葉は響いていたんではないかと感じている。
そのくらい、誰しもが ”心の中で” 多少なりの嫌悪感を感じていたこと、人。
それを「搾取ライター」としてワーディングされたことで、いっきに多方面へ火種を飛ばすことになったようだ。
じつは私も以前から、そのことは大きな問題としてとらえていた。
営業力(と言っていいのかは定かではないが)があり、いくつかの請け負い先を抱える人が、ライティングの仕事を自身が執筆するという前提で受注し、それをそのまま他のライターへと仕事を卸す。その単価の差分をフィーとして受け取るという儲けの手法だ。
このことは他にも多くのライターさんがしていることも知っているし、そこからお仕事を請けることで恩恵を受けている人も少なくないのだとは思うのですべてを否定する訳ではない。
けれど、その請負金額と外注に出す金額の差額の大きさ、そして当初外注の条件として提示した仕事内容と、実際に投げられた仕事内容の違いなどが、今回の大きな問題の根底にあるんではないだろうかと推測する。
私が過去にくらった「間抜き」による大被害
私が、今回のことをより大きな問題と捉えるのには理由がある。
私はライターとして7年目のキャリアもあるが、本業はディレクター、いわば仕事をライターさんに ”外注する側” にあるからである。
実はわたしは過去に、私はTwitterで知り合ったデザイナー兼プログラマーの個人事業主・山田さんに、クライアントのECサイトのデザインとコーディングを外注したことがある。
私はディレクターとしてクライアントとの折衝や構成づくり、コピーライティングをし、デザインとコーディングはパートナーを組んで一緒につくりあげ、そして納品をする形を以前からとっている。
そのECサイトの納品の日、私の携帯が鳴った。
電話をかけてきたのは、パートナーではなく、請負先の社長さんだった。
「〇〇さんという方から電話があったのですが、お仕事を依頼している方ですか?お支払いいただいた5万円をお返しするのでお仕事をキャンセルしたいとおっしゃっているのですが…」
困惑した声で言われたその名前にまったく聞き覚えもなく、話の内容も的を得ない。
いいえ、私のパートナーは山田さんという方です、おそらくどこかからの間違え電話ではないでしょうか?
それでも怪訝そうな社長さんに対し、わたしが変わりに電話をかけてお話ししますとお伝えした。
下請けから孫請けというからくり
電話をし、その電話の主の素性が明らかになった。
私が信頼をし、育てながら一緒に仕事をしていたつもりの山田さんが、まさかの私からの外注金額の半額以下で、ココナラに同様の内容で再委託をしていたのだ。
実力がなくディレクションもできず、又聞き状態の案件をココナラ出品者へと依頼した山田さん。
当たり前のことながら詳細をも説明できないためにココナラ出品者の方も困惑状態、それなのに「求めるものがあがってこないから」と山田さんは出品者に対して返金請求をしていたという内容。
そしてさらに悪いことに企業のECサイトであるからTOPページに電話番号の記載があったため、困り果てたココナラの出品者が発注者と勘違いをして、クライアントに電話をかけてしまったのだ。
もう終わったことであるし、その社長さんとはそれ以外の信頼関係を築けていたのでこれ以上多くは語るつもりはない。
それでも、ここまでで、この事の大きさをわかっていただけると思う。
自身の行動の信号機をもつこと
わたしが何か事をおこすとき、いつも一歩立ち止まって自分自身を第三者の目で俯瞰することにしている。そして ”私” に問いかける。
「それ、自分の息子が同じことをされてもなんとも思わないか」と。
わたしの物差しで恐縮ではあるけれど、私はこれを自身の行動の信号機としている。
進めなのか。注意なのか。止まれなのか。
山田さんがしたことは、間違いなく赤信号。もうまっかっかである。
そんなことを赤の他人が自分の大切な者にした日には、わたしは般若になり殴り込みに行ってしまうかもしれない。
依頼した仕事を勝手に他に投げ、なにもせずにお金を生み出そうとする行為は、わたしからしたらそのくらい、許しがたい行動なのだ。
言葉巧みに心の隙間に入り込む「魔抜きライター」とは
間抜き、あえて「魔抜き」と呼ばせてもらうが
特にこの業界は大変な子育てをしながら仕事をする主婦ライターの方、また、私と同じように外での関わりが得意でない繊細さんが多くいる。
そうした方々が、魔抜きライターに狙われやすい。
その方たちは私のように強い心をもっているとは限らない、もしその方たちがそんな人に掴まってしまったら、と思うだけで心臓がぎゅっとなる。
乗車だけする。きちんと目的地で下車もする。
でもその間に関しては、何をしているかもわからず、そしてお金もきちんと相当分を支払っているのかもわからない。
それはまるで「キセル乗車」のようだと、私は感じるんだ。
違うという意見の人がいるかもしれない。
わたしはいつでも発言が偏りがちであることは認識しているし、だからと言って自身を偽るつもりもない。
50年生きてきた路が作り上げたものは、そう簡単には曲げられないし、人それぞれの思考と言霊と生き方があると思っているから。
それでも今回このように文章にしたためたのには理由がある。
大切なその人たちがそろって、泣いていたからだ。
パートナーとして貴方に伝えたいこと
わたしはディレクターとして一緒に働いてくれるライターを探す為に、昨年の12月からちょことしてTwitterを再開し今に至る。
その間には、一緒にお仕事をした方も、そうでない方もたくさんの方との交流があった。
最初はそんなビジネスライクなはじまりだったのが、いつしか温かなこの場所が、自身の居場所に変わっていき。
140文字の世界を超えた、なにものにも替えがたい宝島になった。
残念ながら、親しくしていたにも関わらずある日突然、ブロックというかたちの拒絶をされた人も何人かいる。
その中のひとりに、いわゆる「搾取ライター」が含まれてもいた。
それでもいまがあり、青信号の先に新しい道が続いている。
ライターという仕事を何故選んだのか、それはその人それぞれ、だけれどその肩書を胸をはって自分の子供に自慢できるのなら。
きっと、貴方が乗った列車は目的地まで連れて行ってくれると思うし、できる限り私もお手伝いをしたい。
長い旅なら同乗者として一緒に楽しい話をしましょう。辛くてしんどければ途中下車して薬を買いに走りましょう。
わたしは旅はそういうものだと思っている。
乗車チケットと下車のチケットだけを手配するだけでは、途中で倒れてしまっても誰も気づいてくれない。
格安チケットはもう捨てて。一緒に無限列車に乗りましょう。
ちょこ改め
株式会社ジュエルコミュニケーションズ
赤羽根 長子
[チケット販売先]
akabane@jewel-communication.com
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?