日常に灯る光
私は解放されたのだ。
とりあえず、今、一人の自由時間を満喫している。
結婚してからというもの
これといって一人きりになりたい…という願いは
あまりなかった。
どうしても行きたい場所
食べたいもの
喧嘩をして旦那と一緒にいたくない
タイミングを除いて…。
そういう暮らしをしていたはずなのだが
これにいつしか変化が訪れる。
私はいつからか私ではなくなってしまった。
私ではない誰か。
そう、旦那の精神になぞらえられた私。
常に同じ時間を共有し、全てにおいて
なるべく合わせる生活をしてきた。
捧げる。支える。とは、そういう生活
心遣いだと思っていたのだ。
そう思い込ませて洗脳していた部分もある。
本当の自分、それは、とても感情的であり
感傷的である。
そこに感動的という部分もある。
通り過ぎる人を見ている自分の心に
伸びやかさを感じる。
ああ、そうか、これが自分だったのか…と
驚きが襲う瞬間である。
伸びやかに軽やかに穏やかに爽やかに。
顔はにこやかだろう。
通り過ぎていく人々に和やかな表情を向ける。
口角を上げた微笑だろうか。
私は人混みにいても、カフェにいても
フードコートにいても
心乱されることはない。
戦闘種族ではないのだ。
自分にとって不都合なことがあっても
多少のことなら水に流すだろう。
私にとって「怒り」という感情は
非常に苦手な存在だ。
というのもあって
いつ何時も、私は冷静沈着でいようとする。
怒りの灯火への欲求など
遥か彼方の存在だ。私にとっては。
極力距離を置こう、離れようと思っている存在。
いかに心の平穏が大切かを知っている。
私は怒りの感情に侵入されるのが特別苦手である。
その感情が精神に入り込んだ瞬間に
世界が崩壊するように見える。
とてもまともではいられない。
平静を装える自信はある。
が、私の心のフィルターを通した世界は
穢れてしまうのだ。
それが、とても嫌なのだ。
綺麗なものは何時も、最高値を保って
光り輝いていて欲しいものだ。
私は、日常に灯る光を見つめている。
この世界線の先にある未来に
癒しの道筋を描きたい。
かつて、私がカウンセラーに憧れたように。
かつて、私がヒーラーに憧れたように。
かつて、私が占い師に憧れたように。
世界や人々を癒し導く存在となろう。
愛しの彼は、その道標を私にくれた。
日常に灯った愛の光を
これからもそっと優しく温めたいと思う。