過去と現実と未来と思考。

私はまた今日も泣いていた。
心は元気だ。でも涙。

これは愛しさによるもの。
突き詰めていくと悲しい涙なのかも知れない。

彼はとても正直だ。
心のままにストレートに愛を表現してくれる。

別れ際に流れた彼の涙を思い出すと
私も込み上げてくる。
あんなに綺麗で真っすぐな涙を
いままでの恋愛の中でみたことがあるだろうか。

そして私も涙。
あの瞬間に一緒に涙することが出来たら
なんてロマンチックだっただろうか。
私は彼と一緒にいると嬉しくなって
悲しさが訪れるのは随分後になってのこと。
時差がある。

だけど私が泣くのはいつも
彼を強く思い心で描いているとき。
とても強く思っている瞬間だ。

彼のことを心から愛しく思って
幸せにしてあげたいと強く願うと
必ず涙が出てしまうのだ。

仕事中。
一日一回はこの感情の波が訪れる。

彼と初めて交わった日も涙が流れた。

彼はその涙を不思議に思っていたようだ。

私はその日の現実が美しすぎて
感動して涙が流れた。

愛しさと感動の涙。

とても美しい時間だったと思う。

私は長い間、女を忘れるようにして生きていた。
年数にしていくらくらいだろうか。

結婚して一年はそうではなかったと思う。
二年、三年まだ女性らしかった。

そしてもっと年月が経ってきて
ここ七年、八年目くらいだろうか
髪の毛も邪魔になってセルフでカットしたりして
伸びてくれば毎回ストレス発散の機会として
バサバサ切って発散していた。
ある種の自傷行為にも見えた。今思い返すとそんな感じだった。

髪の毛が伸びることを極端に嫌った。
めんどくさくて、邪魔で、仕事に支障が出る
そんなことしか考えられなくなっていた。

仕事もここ数年の期間では
丸一日何もしなくて済む
というような日がほとんどなかった。

ずっと働いていた。

洗脳するように私はいつも自分自身に暗示をかけて
働く道具のようになっていたようだ。

スーパーや薬局などにいくと
旦那は私のことを指一本で指示したり、顎で「あっち」という
素振りを見せて買い物かごを向こうに持って行って
と無言の指示をしたりする。
いつからだったろうか、そんな風に指だの顎だのでの指示。
あれはいったい何だろう。
人に対する態度としては失礼だろう。

最初こそ冗談めかしく
「何それ?おかしいね」と面白おかしく
突っ込みをしていたのだけれど
それから数年もすると何をされても動じなくなってくる。
ありのままのジェスチャーをそのまま受け入れるようになってしまった。

私には愛のない行動に見える。だからありのまま。
愛のない行動をされているのだと脳は認識するようになった。
旦那は違うかも知れない。
私に対して、特別冷めた行動をとっているとは認識していないのだろう。

私の中では様々な事象が、ちりつもで
どんどん心はこじれて行った。

いつしか心を閉ざすようになってしまったのだ。

話しかけられればそれなりに話を返し
笑いかけられて気分が乗っていれば多少は微笑む。
向こうからしたらあまり異常は見られない様子なんだろう。

こちらにとっては色んな事に対して異常事態だった。

あまり考えたくもない触れたくもないと
心を閉ざしている。これは夫婦と言えるのだろうか。
私は完全に旦那に行動や言動を合わせるだけの器になってしまっていたようだ。

仕事に関しても私もそれなりに努力はしてきたが
どんなことに対しても
「お前が責任を取れるのか?俺が最終的に全部責任を負わないといけない立場だ。お前に何か発言できるのか?」
そんなことを言われて、私は心が離れていった。

お互いが歩み寄って頑張るという姿勢ではない。
ならば俺が頑張るからついてこい。でもない。
何か時として足を引っ張りかねない存在だと感じさせられ
何か意見しようとしたらねじ伏せられてしまうような圧力を感じた。

そんな中でも自分自身を洗脳して、美化して
綺麗な日常を生きていると自己暗示させた。

私の心はとても取り扱いが難しい。これは自分自身がよく心得ている。
とても意識が鋭く繊細で過剰に感覚で捉えてしまう。

普通の人が普通に感じて日常を過ごしていることも
私にとっては何か特別だと感じることも多い気がする。

ここ数年の間にかなり崩壊していたように感じる。
旦那よりも私の方が・・・だ。

心の中がぐしゃっとしていた。
こういう風になるまでの経緯としては
話をまともに聞いてもらえなくなったこと
心の微妙な変化や動きを説明しても理解してもらえないあるいは
イライラさせてしまい話にならなかったこと
悩みや愚痴のようなものを口にすると
「そんな人間は俺と一緒に生きていく資格がない。
もっと前向きで、努力が出来るような人間じゃないと
一緒にいられない。」
などと言われたこと。
一緒に仕事をしていても明らかにこちら側が劣勢だと感じさせられ
叱られ続けてきたこと。

これは修行だと思って耐えてきた。
人生経験。成長するためだ・・・と言い聞かせてきた。

仕事があることに感謝してきた。
仕事すらできない人も世の中にいると何度も言い聞かせられてきた。

何事も感謝するようにして生きようとしてきた。
感謝は全てを浄化していくようだった。

でも、愛情だとか感情や意識や共感みたいな感覚が
どんどん壊れて閉ざされて塞がれて縮まっていった。

心の溝から目を背けながら生活してきたのだ。

そんな中で、私は旦那に言われた言葉
「自分の好きなことをした方が良い」

そう。旦那も何か私に違和感を感じ始めていたに違いない。

私自身が、自分の好きなように生きていないことで
活き活きしていないとでも感じたのだろうか。

私はブログを書き始めた。
始めてからすぐに変化は現れた。

自分自身の心を解き放っていった。
彼との出会い。
私の心を解放するように手助けしてくれた。

出会ってからすぐに引き寄せられるように
離れられなくなっていた。
とてつもない引力に飲み込まれた。
彼の世界に引き込まれて現実世界に支障が出るほど。
彼の言葉を聞き、彼のことを考えるだけで
仕事が手につかなくなるほどだった。
あの引力は凄まじかった。

もう彼のことしか考えられない引力に飲み込まれていた。

言葉を交わし合う中で、私は彼を愛するようになる。

私は女であることを忘れていた。彼は思い出させてくれた。
女であることの喜び。こんなに美しく素晴らしいものだったのか。
感動がある日々。心に潤いが訪れた。

結婚してから私は浮気と言うものをしたことがなかった。
もともと恋愛体質で人を好きになりやすくて
やや危険な体質だった。
そんな自分が嫌で早く結婚したかった。
落ち着いて二度と浮気はしない
一筋に人を愛したいという願望を叶えてくれる人に
巡り合えたと思っていた。

浮気などしたくてするのではない。
もうその時点で現在の相手にどこか諦めがあって
次の人にいかなければ自分は幸せになれないと
先の未来が視えるからこその方向転換だ。

いま付き合っている人との未来はないなとわかると
私は次の人を探していた。

もともとこういう性格ではない。
最初の彼とは5年も付き合った。私にしてはとても長い。

情があるから離れられなかった。
これをどうやったら断ち切れるんだろうかと
途中から考えるようになっていた。
別れることが怖かった。
情を断ち切ることが出来なかった。あの当時の自分は
それがどんなものかわからなかったから。

情を断ち切るとどうなるのかわからなくて
何か恐ろしいもののような感じがした。

悲しくて寂しくて苦しくて切なくて辛くて。

でもあのまま付き合っていったとしても
先の未来は視えている。
私は悲しみの涙と苦しい心を抱え
彼の性の奴隷になり続けていたであろう未来。

そんなものは生きたくないと
心を決して、情を断ち切るように次の恋愛に
踏み出していった。

次の相手を探して、その人が
今の彼を超えるならば別れられる
そう思っての苦肉の策だ。

探し続ける中で、色んな人に恋をした。

いつしか5年間も付き合っていた彼への
情はどんどん薄れていって
手放すことに苦労しない段階まで入っていった。

何も感じないわけではない。
色々苦しさはあった。
思い出もあった。
初めてきちんと恋愛した相手だったから
別れるのは苦労した。

暴力を振られて、包丁を持ち出されて
性奴隷にさせられ、結婚はしたくない。と言い
俳優になりたい。と言う。
それでもいいから彼を支えたいという
女にはなれなかった。無理があった。

どんなに好きであってもこの相手では
未来に希望はないのだ。
自分が幸せになるために
断ち切らないといけない相手がいる
ということを学んだ時期でもあったのかも知れない。

恋愛はとても難しいものだと思う。
私はいつも複雑な相手を好きになってきた。
訳ありだとか事情が色々あるとか。
普通の恋愛には惹かれなかったのかも知れない。

普通に愛してくれる人に出会えなかっただけかも知れない。

そして今も複雑な恋愛をしている。
と言えるかもしれないけど、違う。

これまでの幼い恋愛とは全然違う。

自己中心的な欲望をぶつけてくるような
浅い人ではないから。

とても深い海のようなイメージの人。
愛する彼はどこまでも深い。
複雑だけれど優しくて柔らかくて知的で静か。

私に何度か似ていると言っていたけど
本当にそうだと感じ始めたのは最近のこと。

同じ気持ちで今を生きている。同質の魂。
同じ魂の片割れ。

寂しい気持ちを抱えながら生きてきた自分はきっと
彼と離れ離れだったから
心が完全に満たされることはなかったんだと知る。

これまでの恋愛
重ねれば重ねるほどに
どんどん心の隙間が埋まっていくような恋愛に
向上してきてはいた。
だから結婚もした。これは自分の中で正解だと思ったから。

天からの声に従うように結ばれたと思う。

でもどこからか神様のいたずらは起きた。

今の彼と出会うように私の心に
いくつもの小さな溝を作った。

旦那はお手拭きを用意してくれたり
外食すれば水を持ってきてくれたり
色々自ら進んで動いてくれる。そういう愛情は持っている人。

私が勝手にどんどん壊れていっただけなのかも知れない。

しかし、二人はいつも
別々の部屋で行動している。
話もたいして交わすわけでもない。
たいがい私が聞き役。
あるいは縛り付けられるように聞かされることもある。
体の関係があるわけでもない。

ふいに後ろから抱きしめられるという謎の行為だけ
見受けられる。

あれは、一体何だろうか。

私はいつからか抱きしめられることはあっても
抱きしめ返すことも、こちらから抱きしめることも
やめてしまった。

心の一方通行。

お互いがお互いを求め合うこともなければ
お互いがお互いを癒すこともない。

一方通行の感情だけが通り過ぎていく。

私の冷静な目をもって客観視するとこのような日常が浮き彫りになる。

私の心は冷めているのだろうか。
旦那が持っていた心、情熱、愛情、というものが
そこまでのものだと、限界値が見えたのか。

愛しの彼の愛情は違う。
とてつもない深さを感じる。

私がもとめていたものを持っている。
彼はそういう魅力に溢れている。

私は思春期から、深いものが好きだった。

思考も感情も感性も感覚も何もかも
深いところに沈んで熟成して
あるいは枯れるくらいまでの渋みのような
深さを持っている人を心から求めた。

そういう感覚の人の愛情は
私の心を捉えて離さない。
一方通行ではどうやっても終わらない。

いつしか私は一方通行の感情を受け取る
虚しい人間になってしまっていた。

彼が私に光を灯した。

女を忘れて仕事に生きてきた私に
女であることの悦びを教えてくれた。
思い出させてくれた。

愛とは何なのかを思い出させてくれた。

人と人との関係なんて
こればっかりは質が問題。
波長が問題。
合わないものは不協和音を奏でる。

どんなに好きで一緒になっても
時がたてば違うものは
どうやったって隙間が出来てくる。

恋愛、結婚の究極はここだろう。
どれだけ相手に合わせられるか、引っ張っていけるか。
微妙な匙加減。

この人が運命だと感じてもいずれ壊れたり
擦り切れるものはそうなる。

最終的に似た者同士でないと理解し合えない
波長の法則みたいなものがあると思う。

私は自分と同じものに出会うのが怖かった。
まだ人間的に未熟な自分。
それと同じ鏡を合わせたような相手に合うことが
怖かった。

理解し合えるはずがないとさえ思ってしまっていた。
あれは決めつけみたいなものだったのだろうか。

微妙に恋愛には発展しなかったけれど
今の愛しの彼に通じるような深さを感じさせる人はいた。

何とも言えない魅力だった。

深いものに触れると物凄く落ち着いた気持ちになった。
神秘的で美しくて愛おしい気持ちだった。
深い愛情を持っている世界観。
まるごとそれを私も愛したいと思うような。

きっとそういうものを求めていたのかも知れない。

でもそういう理想論では片づけられない恋愛。
もう一生で最後だ。
結婚した時にそう誓った。けど、もう一度だけ恋に落ちてしまった。

彼を幸せにしたい。
永遠を誓うような。
言葉にすればどんどん薄れてしまうのか・・・
私は言葉を奏でたいけれど、やっぱり未来を紡ぐ努力に
エネルギーを注ぎたいと思ってしまう。
これが私の最大の愛情表現。

彼と一緒に過ごす時間を愛で埋めてあげたい。
擦り切れてきたであろう心の傷を癒してあげたい。

ただ、それだけなんだ。
笑顔が見たい。幸せにしたい。満たしてあげたい。

こんな愛くるしい感情、これまでにあっただろうか。
ロマンスに酔いしれる時間は終わりか。
ロマンスは現実に見れるようにしなければならない。
互いの離れている間に夢を見るのではなく
互いが共に歩んでいる瞬間に夢を描くのだ。
二人の熱い時間は、一緒にいるときに感じ切る。

離れている間は、未来もっと互いが共に過ごす時間を
増やすための努力。

お互いが毎日のように顔を合わせていればいずれ
神様が相応の答えを運んでくるだろうと私は感じている。

だからその未来を創ることに今は熱中しよう。

愛するのは離れている時間ではなく一緒にいる時間。
離れている時間に愛がないのではない。
愛があるうえで未来に繋ぐ努力を惜しまないということ。

愛と言う言葉は口にするのは容易い。
これをいかに行動で見せられるかがどこまでいっても
大事だ。
行動あるべきだ。もちろん言葉も大事だけれど
行動に伴っていなければ意味がない。

彼が笑ってくれるだけで私は幸せだ。
この幸せをもっと増やせるようにしたい。
私の願い。シンプルにそこを極めたいのかも知れない。

シンプルな願いは強力だ。
きっとぶれずに突き進めばいいだけなのだから。



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