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11月6日

人は1年のうちに何日くらい意識する日があるのだろう?
誕生日だったりクリスマスだったり結婚記念日だったり…
私は11月6日になると少し感傷的になる。
それは中学生だった頃に片想いした娘の誕生日だから…ではなく金子正次と松田優作の命日だからだ。
金子正次…彼を知ったのは1987年に公開された『ちょうちん』という作品でパンフレットに彼の写真と生前のインタビューが掲載されていた。(あとで『チ・ン・ピ・ラ』にも脚本に名があったのを知った。『チ・ン・ピ・ラ』は好きな作品だったが金子正次のオリジナル『チンピラ』を読んでからは観る度に複雑な気持ちになる)
『ちょうちん』は彼が執筆した5本の脚本の5作目の作品で中堅ヤクザが堕ちてゆき最期は胃癌で死ぬ話だった。
彼は自らが主役をやる為に脚本を書いていたが『竜二』はその3作目の脚本で彼が主演し公開直後の1983年11月6日に亡くなってしまったがもし生きていたら次作は『ちょうちん』に主演していたかもしれない。
私は『ちょうちん』を観て金子正次に興味を持ち6畳の部屋の21型ブラウン管TVでレンタルビデオ店で『竜二』を借りた。
なんか低予算臭がプンプンする画だったが『ちょうちん』とは比べ物にならないオーラを放っていた。それは金子正次という男の存在感だ。
決して台詞は上手い役者ではないのだけど惹きつける魅力が唯一無二でした。
その金子正次を松田優作は『天才』と評してました。〜一瞬で駆け抜けていった天才〜…
金子正次と松田優作は共通の友人である吉田豊を通じて知り合ったのかなぁ?
金子正次は多分、松田優作に憧れもありライバル視もしていたみたいで友人でありながらも複雑だったと思います。
ただ彼は『ロッキー』のシナリオを書き主演しスターになったシルベスター・スタローンと同じく『竜二』で伝説になりました。
ジェームス・ディーンは3本、ブルース・リーは5作品を残し伝説になったけど金子正次はたった1本で伝説になりました。
その盟友松田優作は6年後の1989年11月6日に亡くなりました。
『ブラック・レイン』日本公開から1ヶ月後でした。彼にとってリドリー・スコット監督に評価されこれからハリウッドへって時でした。
彼の死は当時本当に驚きました。
やはり彼が持つイメージがそうさせたのでしょうね。強靭な肉体を持つアクションスター…ただ私は遊戯シリーズやTVドラマ『太陽にほえろ』のジーパン刑事や『探偵物語』は好きじゃなくショーケンのが好きでした。
松田優作というがアクションスターの持つ粗野な雰囲気が生理的に苦手だったのです。
ただ『野獣死すべし』を観て私が抱いていた松田優作像は崩れましたね。
指先までに緊張感の孕んだ繊細かつ狂気の演技は今まで観た事のない松田優作だったし『野獣死すべし』以降の松田優作は本当に魅力溢れる役者でした。ただアクションは封印(『ア・ホーマンス』はアクション?ではないかな)
をしていた彼が『ブラック・レイン』で原点回帰したようなアクションに挑んだのはなんか強烈な皮肉にも感じました。
『ブラック・レイン』はリドリー・スコット作品でもつまらない作品だと思ったし今観ても松田優作の演技はそれほど良く思わないけどただ『竜二』の金子正次同様『ブラック・レイン』の松田優作は病に蝕まれなからも作品を作りあげたと思うと普通には観られないですね。

11月6日は毎年少しだけ感傷的になります。
そして彼達が残した作品を観たくなります。

金子正次は5本の脚本
『チンピラ』
『獅子王たちの夏』
『竜二』
『盆踊り』
『ちょうちん』
を遺しました。
『盆踊り』以外は映像化されてます。
『チンピラ』は『チ・ン・ピ・ラ』(柴田恭兵主演)より『チンピラ』(大沢たかお主演)版のが原作に近いです。

松田優作主演作品なら
『野獣死すべし』
『ヨコハマBJブルース』
『家族ゲーム』
『それから』
『華の乱』

あとTVドラマ『あんちゃん』のゲスト回がお薦めです。

なんかダラダラと長文になってしまい申し訳ありません。
秋の夜長に是非観てください。

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