母と、私の反撃日記 12
『やはり、病んでますよ!』
(えー。病んでるのどっちよ。あなたのせいで、病んだんですけど。)
私は、そんなことが聞きたいんじゃなくて、私の言葉を信じるのか信じないのかを聞きたかったのだが、理解ができなかったことが、私に理解できた。とりあえず、母親失格と言われたくないから私に話をし続けるのかどうかを聞いてみた。
『母親失格と言われるのは覚悟の上で、時期を見て私から親戚に話すので、あなたは余計な事をしないでください。話を続けるのは、親戚関係なく、ただただあなたに目を覚まして欲しいから!それだけです。』
「目を覚ますってのが、まずおかしくてさ。私のこと信頼してないんですか?答えは?
目を覚まさせるってことはさ、今の私の頭がおかしいってこと?それは、何のせい?病気?周りの影響でどうおかしいって?
精神科でもないあなたがどうして判断できるの?」
私の怒りは最高潮であった。信頼してないことは明らかであった。それでも自覚して欲しかった。信頼していないからこそ、ずっと子どもとして扱い続け、家族、ひいては自分がいないと生きていけないと刷り込ませているのだから。
私は、本気で戦ってやろうと思っていた。覚悟を決めてしまったから。
『今のあなたに対しては、はい、です。私は精神科医ではない。でも、あなたの成長をずっとみてきたから言える!精神科医よりもあなたを理解している!誰よりもあなたの事が分かる!』
吐きそうだった。気持ち悪さしかない。こんな母親から、自分という人間が生まれてきたことにも嫌悪感を抱き、死にたくなる、いや、自分自身を殺したくなるほど、気持ち悪さの塊しかなかった。
”あなたの事が分かる!”など、どこぞのDV男が言いそうな言葉だ。彼氏彼女ごっこをこれ以上続ける気もさらさらないし、勘弁して欲しいくらいだ。
相変わらず、自分以外の人間を完全に理解することはできないという観点がないらしい。ため息を付いている場合でもない状況。
「それが間違いですよ。他人である以上、完全に理解することなど出来ません。」
『大学3年までは、あなたの事は信頼していた。大学院のセミナーに行き出した頃からあなたが分からなくなった!
何とでも言ってください!母の勘をバカにしないでください!』
所詮、勘だろう。馬鹿にしてきているのは、一体どちらなのか。
「でしょ?だったら、理解できてないやん。分かってないのに、よくもそんなこと言えますね。親は子どもの全てを分かるものでは無いと、私は思いますよ。」
『全ては分からなくても、間違っている道に進んでいることは分かります!』
「その考えがおかしいんですよ。」
この時に、それがただの勘だからこそ根拠がなく、信じられないと、もっと理論的に言えばよかったのかも、と今は思うがあとの祭りであった。
『今までも岐路に立った時、いつも一緒に悩んで進んできたはず!今回の就活だって、もう少し慎重に選んでいたら、今こんな言い合わなくても済んだはず!』
まだ、足揃えて何事も進めなきゃいけないなんて、何言ってんだこの人。いくつだと思ってるんだよ。早く子離れしてくれ、お願いだから。
きっと届かないであろう願いを考えながら、返事をする。
「全てわかんないのであれば、口出ししないでもらえますか?もう、20半ばですよ。いつまでもいつまでも親と悩み続けるなんて、アホくさくて私はしたくありません。慎重に行動?会社に連絡を取ると言う、慎重さに欠けた行動に出たのは誰ですか?」
『あなたの考え方が偏っているから、しつこく言い続けるのです!ちゃんとした道に進むのなら口出ししませんよ!』
あー、おわんない。全くおわんない。
私の年が幾つであろうと、いつまでもいつまでもいつまでもいつまでも、永遠に口を出してくる母と、私がいつか結婚するまで仲良しこよししてなくて本当によかったと、ある意味前向きに考える事にした。
それほど、最低な母親だった。