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【彼と彼女のものがたり】〜side Y〜
「魂」で繋がる彼と彼女のものがたり
現実の光と闇を行き来しながらも
お互いの存在を意識しながら
共に生きていく。
《依存》〜side Y〜
これまでの「頑張り」とは
別の種類の頑張りが必要な気がしていた。
(根を詰めてスケジュールをこなすのは肉体的にきつかったけれど、
多分、もうそうじゃないんだ。。。)
求められればどこへでも行くし、
そこで自分を発揮することに悦びもある。
……けれど。
(それじゃ、今までの俺と何ら変わらない)
(早絵に繋がれた人生を生きるのは卒業したはずだ、、、)
(ルーティンの中にいるのは俺だ、、
ぬるま湯にいつまでも浸かってるわけにはいかない、、、!)
離れたいと思いながら、離れられずにいるのは
ブレーキとアクセルを同時に踏んでるのと一緒だ、と颯太は思っていた。
★
「バンマス、山さんにお願いしたいと思っているんです。
今回もダメもとで言ってます 笑」
毎年恒例の音楽事務所のフェスのプロデューサーからだ。
おそらく50曲近く、、半日はぶっ通しになる内容
いつも参加してはいたが、
バンドマスターとなるとワケが違う。
リハーサル段階から拘束されてしまうし、
表も裏も見切れる自信がなかったのだ。
いつもは他と被るから、と適当に誤魔化して
逃げてきた役割だった。
「……いいですよ。バンマス、やらせてください。」
「ほんとですか?!いやぁ〜どうせダメだろうな〜って思ってましたけど、
言って良かった!!」
「お手柔らかにお願いします」
「資料と音源は先に送っておきますので!
じゃあ、再来週のミーティング楽しみにしてますから〜」
(言ってしまったもんはやるしかないだろ、、!)
これまでとちがう方向の選択をすることで
颯太はコンフォートゾーンから出ようとしていた。
(慣れ親しんだ今までのやり方のハードルは
自分にしか上げられない。
早百合の面影から抜けたら、
俺は変われるはずだ、、、、!!!)
今の颯太は
そう信じるしかなかった。