【彼と彼女のものがたり】side Y
「魂」で繋がる彼と彼女のものがたり
現実の光と闇を行き来しながらも
お互いの存在を意識しながら
共に生きていく。
《境界線》〜side Y〜
これだ!と信じてきたものが
(なんか、変わった!?、、、)と感じる瞬間がある。
これまでも、そんな「瞬間」は幾度となくあったと思う。
それはゴルフのスコアがのびるのと似ているな、
と颯太は思っていた。
そこに行くまで、必要な努力は前提だが。
無理に頑張るのをやめた時、
気づいたら
自分が設定していた「境界線」を超えていることがある。
それは
キャリア○年だから、、とか
年齢がいくつだから、、、とかいうものではないんじゃないか?
颯太はそう感じるようになっていた。
★
「今度ね、
業務委託で外に出ようと思ってるの」
「、、、ここをやめるってこと?」
「ううん、
隙間に出来ることもあるからねー」
薫もコンフォートゾーンから踏み出すことを決めたようだ。
「端的にいうと、
《御用聞き》みたいな感じかな。
個別訪問してお困りごとのお話をうかがうの。
サロンワークじゃ、聞ききれないことっていっぱいあってさ。
それを《具体的行動》につなげるお仕事なの」
「ここにいると、
話だけで終わりで
何にも出来ないのが辛くてね、、、」
(薫らしいな、、、)と思った。
「美容師だからって、サロンワークに縛られるのはなんかちがうでしょう?」
「ヘアの仕事って
カラダがあれば出来るもん」
「時間のやりくりは薫は得意そうだもんなー。
いいと思うよ!」
「颯太さんの言ってた年表、
私もやってみたの!」
「職務経歴書、生まれて初めて書いたよ 笑
年表、めちゃくちゃ使えたー
ありがとう〜」
同じタイミングで
似たようなことをしているのが可笑しかった。
(薫との関係はおそらく普通に説明しても
誰にも理解はされないだろう。)
恋人でもなく。
友達でもない。
恋愛感情に近い感覚もあるけれど、、、
好きだ嫌いだの範疇にはとても収まるものではない。。。
「それ」を薫に当てはめるのは失礼な気もしていた。
だからこそ。
安易にこの感情を
伝えるのはちがうようにも思っていた。
(、、、、薫はそれをわかっているんじゃないか、、、?)
確証はないし、
わかりやすい形ではなくとも。
颯太はこの繋がりを信じていた。