【彼と彼女のものがたり】side O
「魂」で繋がる彼と彼女のものがたり
現実の光と闇を行き来しながらも
お互いの存在を意識しながら
共に生きていく。
《仮面》〜side O〜
「薫だって店で仮面つけてるって
知ってるよ??」
(そりゃあそうでしょうよ?
っていうか
じゃなきゃ接客なんてやってらんないし。)
(でも。
そのまんまの自分なら、
どうなるだろう。。?)
確実に売り上げは下がるなぁ。。
離れる客もいそうだし。。
立場的にも示しがつかないかも。。
仮面はもういらないと思いながらも、
顧客管理上のリスクを考えてしまう癖は
なかなか抜けなかった。
でも、このまんまじゃ
中途半端すぎて
気持ち悪い。。
やるか、やらないか
どっちかしかない。
やってだめなら
変えればいい。
★
薫は自分のメニュー価格から
見直しをはじめた。
薫にとっては
ゼロスタートみたいなものだ。
会社に決められたものではなく、
まずは、
自分で自分に
値段をつけようと思ったのだ。
相場やコストも気にしないわけではないが、
薫が優先したかったのは
「自分の仕事の価値」だった。
★
「俺、吉牛なんだよ」
「はい???」
「早い、安い、巧いってやつ」
「なるほどねぇ。。」
颯太とは
かなり
突っ込んだ話題も
話すようになっていた。
★
技術サービス提供は
時間単価がついてまわるものだ。
わかりやすいのが10分 ¥1000
みたいなものだ。
実際のところは
かなりギャップがある部分とも
言われる。
定められたものなど
本来はどこにも存在しない。
ある意味
オープン価格で
自由でもある、と言える。
薫はそこを分解して
組み立て直そうと思っていた。
「薫とは
また違うかもしれないけど。
自分のスタンスを
どこに置きたいのか、かもな
結局は。」
「颯太さんなら、
もっと高くてもいいんじゃない?
素人が聞いても
安くてびっくりする。。」
「ん〜。。
俺10年位、設定変えてないんだよ。
面倒くさくて。
だからオーダーが入りやすいみたいな 笑
お値段以上だよ、俺って 笑」
「それって
自信がないと出来ないでしょう??」
「そこはもう積み重ねなんだろ〜なぁ、、
ちっさい信頼を重ねるしかない
とこじゃない?」
「薫だって
キャリアあるなら
もうカラダで知ってると思うけど?」
「うん、、」
「アタマが邪魔してる気がするの」
「出たよ、理論好きが。」
「薫がしたいこと、してみなよ。
俺はいいと思うよ?」
「薫だからやって欲しい人は必ずいるよ。
俺が生き証人だもん」
★
(今まで、を気にしてたら
何にも出来やしないしな。。)
(とりあえず、
やってみるかぁ。。)
薫は出来るところから
価格変更をはじめた。