俺の恋人 2
湊さんが認知症になって、ガスコンロからIHに変えた。
火を消さずにトイレに入り、そのまま料理していたことを忘れてしまうという出来事があった。
勉強をしていた俺は、夕飯を作っていたはずの湊さんがTVを見始めたことに疑問を抱き、キッチンを覗いた。
そこで放置されてる料理に気付いた。
「俺、何作ろうとしてたんだっけ?」
見る限り、豚肉の野菜炒めを作ろうとしていたんだろう。
「.……ごめんなシン。また迷惑かけちまった」
「全然大丈夫ですよ。俺は何も迷惑だなんて思っていません」
湊さんは静かに涙を流していた。
なんて言葉をかけるのが正解か分からず、黙って湊さんを抱きしめた。
俺はこの時まだ、認知症との付き合い方を分かっていなかった。
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