『夢』(日向子)

夢を見ている暇はなかった

私たちはただ朝起きて、空洞の頭蓋で朝の支度をして


夢を見ている暇はなかった

数字とにらめっこする、その数は 私が毎日心の数を減らすことで、やっとのことで手に入る


朝起きるという健やかな生活

すべては明日いきていくための

明日 同じ夢をみないための


この夜 あなたと一緒におなじ夢を見ること それだけが私の夢だった


あちらの世界で 喜びは この夢が私に隠された本当だといった

貴方のほんとうの姿を一生見ることはない

私のほんとうの姿を貴方が見ることはない

この私を

この地平を あなたはご存知でしょうか


手に入ることはないあなたの夢

一千万の夢は今夜、一斉に現れる。

 

ほんとうの貴方を知るまもなく、私はやがて死ぬだろう

貴方の願いはあなただけの

夢はやがて墓で眠る

そのはずなのです


ほんとうの貴方と墓では語りあえるだろうか

貴方の夢をともにみてもいいと

そういうなら 骨を混ぜて

いつかほんとうの貴方と





(4月テーマ : 夢)

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