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人工股関節置換手術のあとさき17 面会時の楽しみ

術後10日。

今日(土曜日)と明日(日曜日)はリハビリがない。
天国である 笑
(自主トレのメニューは渡されている)

今日は夫が休みだったので面会に来てくれた。
面会時間は、平日は15時〜なのだが、土日は13時〜。

夫は、病棟の前で並んで待っていたのかと思うほど13時になるとすぐにやってきた。

わたしが頼んでいた細々としたもの(予備のマスク、イヤホンの充電コード、ハチミツ用の小さなスプーン等)と、家を出る直前に淹れた熱々のコーヒーの入ったマグボトル、そして、甘いもの少し。

このコーヒーが嬉しい。

我が家の朝は、夫の淹れるコーヒーから始まる。
わたしたちは、暮らし自体にそれほどこだわりはないけれど、コーヒー豆だけはおいしいものを選んでいる。現在は、もう10年くらい岡山県のお店から取り寄せているコーヒー豆がお気に入り。二人とも苦いコーヒーが苦手なので、今飲んでいる 苦味の少ない 花やフルーツの香りのするようなナチュラル製法の浅煎り豆がすごく気に入っている。

当たり前だが入院中はそのコーヒーが飲めないので、面会の時に夫が持ってきてくれるコーヒーは、今のわたしにはものすごく貴重だし嬉しい。

二人部屋のベットを仕切るカーテンの内側で、夫と他愛のない話をしながら、ちょっとした甘いもの(この日はスイートポテト)といっしょにコーヒーを飲むのは至福の時だ。(なんかちょっと背徳感がある)

今日は、退院後に向けて、家の中に手すりを設置する話も少しした。

人工股関節置換手術は、もちろん、術前より痛みが軽くなり、もっと動きやすくなり、生活の質が上がることを目的としている。

だがしかし、退院直後すぐにサクサク歩けるようになるかというとそうではない。
退院後もリハビリに通いながら、
家の中で家事というリハビリをすることで少しずつもとの暮らし、いやそれ以上の暮らしを目指す。

経験者の話を聞くと、だいたい半年くらいで「もう何をしてもいいですよ」ということになるらしい。

‥ということで退院直後は手すりが必要になる。その手すりも退院までに、夫が手配してくれることになった。
少しずつ退院に向けて動き始めている。

きっかり30分の面会を終えて夫は帰って行った。

夫を看護師の詰所前まで見送って、自分の部屋に帰ってくると、なんだかとても気持ちが落ち着いて、柔らかな心地よさに包まれていることに気づく。

若い頃はこんなこと(入院手術)が自分に待っているなんて想像もつかなかった。
身体は自由に動くし、やろうと思えばなんでもできた。
あの頃は、それでもなお現状に満足できず、もっともっとといろんなことを求めていたと思う。
夫にも求めていた。

だけど。

いまはもう、夫がコーヒーの入ったマグボトルを持って、30分だけわたしに会いに来てくれるだけで充分すぎるほど幸せだ。

若かった二人が出会って結ばれて、結婚してかれこれ40年。いろんなことがありながら、不器用に時間を重ねてきたその重み、というより深みが、今のこのやわらかであたたかなやさしい時間を感じさせてくれているんだと思う。

マグボトルのコーヒーの味は、わたしたちの幸せの象徴かもしれない。


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