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金網の向こう側

キラキラと光るもの
緑色の苔が高架下でこんもり育っている
アスファルトの黒い海で浮かぶ島のよう
青々としげり
朝日を浴びて光っている

高架下の箱庭
金網で囲まれた敷地の片隅にある世界

金網の向こう側は
フードコートでカレーライスを食べながら
同期と話す
わたしが発見する真実

金網の向こう側に広がる世界には
ベッドがきしむ様な激しさはなく
頭が痛くなるほどの甘さもない
風はそよそよ
波も凪いだ
ジオラマ世界

人通りの少ない駅のコンコース
金網の向こうから見つめる瞳は
電車の中でまばらな人影に対し
寸分の狂いなく叫ぶ
キラキラのキメラがいいと

金網の向こう側に広がる世界を
川底から見つめれば
どん底流れる血液とは異なる
凪いだジオラマ世界は
切り取ったラボラトリー

境界線を超え
真空の世界へ降り立つことを
いとも簡単にやってのける
鳩たちは楽園を土足で歩く

あぁ、わたしには超えられない
行き着けない世界
暗闇でゆっくり速度を落とす
車輪の音は間延びしていき
ガタンと止まる

扉を閉め、静かに重なり合う
呼吸器から流れ出る暖かい気流は
全て手作業で組み立てられた
エアー・コンプレッサーよりはるかに
性能がよいし
わたしをあたためてくれる

#詩
#ポエトリーリーディング

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