考えていることをそのままにしておくと流れは停滞し、水は濁るみたいだと思った
土曜のよる
夕ごはんを食べ終えてお会計の列に並ぶ
首につかまるようにしながら抱っこされた
女の子は後ろに並ぶ私の顔を見る
目が合ったので微笑み返すと、同じように
笑い返してくれる
マスクをしたままでも笑ってるのが
分かるんだね、よかった私は笑えてるね
嬉しくなって手を振ったら、ぎこちなく
振り返してくれるから、またかわいい
お父さんに内緒でやり取りしてるみたいなのも
失礼なので『手を振り返してくれてありがとう、
かわいいね』と親娘に向かって言うと
『最近手を振れるようになったんですよ』と
お父さんが声を返してくれた
Tシャツの袖口から刺青が見えてたって
私は気にしない、時代は変わってゆくのだから
何より我が娘のことを嬉しそうに話す
お父さんの表情は誰よりも柔和に見えた
胸がいっぱいになる
☆
日曜のひる
レターパックを投函しに行く
昨日、3人の方に向けてお手紙を書いていた
のだけれど、結局書き上げたのはお一人分だけで
途中でやめてしまった
営業さんから『その後ご検討いかがですか』と
連絡が来たけれど、返せていない
PCもノートも閉じたまま、考えているっぽい
時間が流れ続けている
同時にいくつものことをやるのは苦手じゃない
だけど、いくつかのことが進まないでいるのは
実は至極かんたんなこと
優先順位が分かっているから
にも関わらず進まないのは難題だから
仕事というか自分自身に関わることで
期限の決まっているものをやらねばならない
向き合うしかないのだ
☆
ひるがえって日曜の午前
そう、早めにやるべきことをやろうと眠い目を
こすり倒して無理矢理起きたのに気づけばテレビに
釘付けになっていた
里見女流四冠の一戦に感動しきりだった
終局後のがっくりと肩を落とす姿が印象的だった
私自身が本当の本当に本気でいる瞬間て
どれくらいあるのだろうか、と考えてしまう
乗り越えることと、やり過ごすことは違う
必死になって手繰り寄せることと
目の前のことを一生懸命になりつつも
やり過ごしたり、こなそうとするのは違う
怠けたり、不真面目なわけじゃないからこそ
余計に私は中途半端なのだろうな
自己評価や自分自身への期待が大きすぎて
まるで自分を中心に世界が回っているかのように
自己矛盾もなんのそので、放言してる人のことを
軽蔑してしまっている私だけど
自己評価は高くないのに、自分自身というか
これから先の生きていく道のりに全部失望する
ようなことは出来ない
自己矛盾も放言もしたくないから気をつけてても
中途半端な自分自身も大概だなあと冷静に思った
☆
さらにひるがえって金曜のよる
ふとした瞬間に痣を見つける
肘の内側がうっ血していた
きっかけになった動作をまるで覚えていないし
痛みすらない、
いつから出来ていたのかも分からない
痛みとはその瞬間に何かがあったと
教えてくれるものなのだ
傷痕はその瞬間に何かがあったことを
忘れさせないもの
消えて良い傷痕と消えてはいけない傷痕
痛みが消えて、傷跡が消えてゆくにしたがい
新しく何かが得られるということ
癒しも赦しも喜びもまた
乗り換える、あるいは忘れてゆくということ
微かに残る別の傷
見えないまま残る内側の傷や後悔
それらすら愛おしい私自身である
とは、完全には思えていないなあ、まだ
騒がしいひとのこえや動きに
目と耳を動かしながら、また考える
たんなるにっき(その45)
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