父の愛を胸に
父の大変さが少しでもわかっていたなら、私がもうちょっと大人だったなら、すべてを父に背負わせずに済んだかもしれないのにと思う。
もっと長生きしてくれていたかもしれないと思ってしまったりする。
養ってもらうのは当たり前で、家族を養う大変さなんて考えもしなかった。
愛情をたっぷり注いでもらえて、何不自由なく、寂しい思いをすることなく、過保護なほどに大切に育ててもらったことも、当たり前のように思っていた。
父が亡くなってから、ずっと、父の思いを辿っていた。
いつも、「お前達の声を聞きながら寝るのが最高なんだ」と言って、居間で私達がテレビを見ながら、きゃきゃあ話しているのを聞いて、しばらくうとうとしてから布団に入っていたこと、
時々、私達のことを「第一王女、第二王女、第三王女」って呼んでいたこと、私達を見ながら幸せそうに笑っていたこと、今でも思い出す。
親の苦労も全然わからないくらい、私は子どもだった。
今でもあまり変わっていないかもしれない。
父からたくさんもらった愛情が、一番の宝物だと思っている。
そんな父にできる恩返しはなんだろうと考える。
それはきっと、自分を責めることではなく、幸せになることなのではないだろうか。
子の幸せを願わない親なんていないのだから。
苦労してほしいなんて、きっと父は思っていない。
自分を責めるのはもうやめて、幸せになろう、私を愛してくれた父のためにも。