約2年間の婚外に終止符
“今なら終わらせられるかもしれない”
通勤中の車内で、ふと思った。
今朝、夢から目を覚まし、
重たい体と全く回らない頭の中で
あの人の存在だけが徐々に鮮明になり、
より憂鬱な朝を迎えた。
そして、連絡のないあの人とのトーク画面を見て
小さく溜息をついた。
自分が既読無視をしているにも関わらず。
最後に会ったのは3日前の夜。
あの人の仕事終わり、
お馴染みの駐車場で待ち合わせをして
コンビニに寄り、常連になったホテルへ直行。
お互いにシャワーを済ませた後、
たくさん重なり合った。
たくさん愛したし、たくさん愛された。
“この時間が永遠に続けばいいのに”
願っても叶わないことを知っているから
いつからか、諦めていた。
だけど、
少しでも多くの時間を一緒に過ごしたかった。
自分のものになった気がするだけの唯一の時間。
それでも心まで満たされることは
一度もなかった。
帰りの車はいつでも苦しかった。
“家族の元へ帰る”
一番大切な家族の元へ。
耐え切れずに泣いてしまい、
困らせてしまったこともあった。
自分には本来、
あの人のことで泣く権利も
悲しむ権利もないのに。
この日も、寂しさを抱えたまま、
だけど笑顔で「じゃあね」ってお別れした。
これが彼と交わす最後の会話になった。
何が私に決断させるキッカケになったのか
は分からない。
だけどきっと、終わりのない関係、
次いつ会えるか分からない不安を抱える日常に
限界が来たのだと思う。
『おはよう。突然だけど、
もう会わないことにします。
今まで本当にありがとう。大好きだったよ。
家族とお幸せにね。さようなら。』
職場の駐車場に着き、私は淡々と文字を打ち、
ほとんど躊躇うことなく送信してブロックした。
あの人がこのメッセージを読むのは
いつか分からない。
読んだ時どんな感情になるのか。
悲しんでくれるのか。
そんなことを考えるのも、もう終わりにする。
もう、待たなくていい。
あの人のことで悩まなくていい。
そう思うと、どこか心が軽くなった気がした。
もちろん寂しさや辛さもある。たくさんある。
一緒に行きたかったところ、したかったこと、
あげればキリがない。
当たり前のように、
毎日あの人と顔を合わせられる奥様は
どれだけ幸せ者なのか、私に分かる日は来ない。
だけど、この感情は
不倫に手を出した代償でしかないと思う。
その十字架を背負いながら、
私は正しい幸せに向かって生きていく。