多分もうすぐアニメ化されるであろう「SPY×FAMILY」について書く。
「少年ジャンプ+」に連載されている「SPY×FAMILY」にハマっている。
2020年12月に発売された単行本第6巻の初版発行部数はジャンプ+連載作品として初めて100万部を突破、電子版も含め累計発行部数800万部も突破するなど、文字通り今大ヒットしているマンガである。
なぜこの記事を書こうと思ったかというと、2021年4月15日放送の「アメトーーク!」で行われた「マンガ大好き芸人」という企画を見たときに感じた違和感からである。
ケンドーコバヤシ、川島明(麒麟)、バカリズム、かまいたち、太田博久(ジャングルポケット)、広瀬アリスといったマンガを愛する芸能人がそれぞれのオススメの作品を熱く紹介しあっていた。
「呪術廻戦」「葬送のフリーレン」「終末のワルキューレ」「北北西に雲と往け」など様々な作品が紹介され、自分の知らなかった作品を含めて、たくさんのマンガの魅力を知ることができた。
だが、ここでそれぞれがフリップにて紹介していた作品の一覧を見て気になったことがあった。
誰も「SPY×FAMILY」は挙げないのか。
あれだけ売れていて、「次にくるマンガ大賞2019・1位」「このマンガがすごい!2020・オトコ編1位」「マンガ大賞2020・2位」に輝くなど賞の実績も十分な作品なので、誰かが挙げるだろうと勝手に思っていた。
気になって調べていると、番組を観ていた人のTwitterでのつぶやきで、「SPY×FAMILY」は大衆向けの作品だから漫画マニアはあまり好きな作品として挙げないだろう、と書いてあるものがあった。
自分もそんなにたくさん漫画を読んでいる人間ではなかったため、「そうなんだ」という感想を持ったが、同時に「結構マニアにもウケる作品だと思うんだけどな」とも思った。だから記事を書いてみよう、となった。
もう1つ、多分この漫画は近いうちにアニメ化が発表されると思う。(今年中とか?)
むしろまだ決まっていないのか、という驚きもある。
なのでアニメ化が発表される前に記事を書いておいて、いざアニメ化になったときに「自分は前から注目していましたよ~」とドヤ顔(古い)したい、という下心もある。
うん、どうでもいいや。では本題へ。2つほど魅力を紹介する。
あらすじ
凄腕スパイ<黄昏>は、より良き世界のため日々、諜報任務にあたっていた。ある日、新たな困難な司令が下る——…。任務のため、仮初めの家族をつくり、新生活が始まるのだが!?スパイ×アクション×特殊家族コメディ!
「少年ジャンプ+」より
1.メインキャラクター全員秘密持ち
最初はやはりここに触れないことには始まらない。
このマンガには主人公が3人いる。
そして3人が3人とも自分の素性を隠している、という点がポイントである。
主人公3人とその素性は以下の通り。
ロイド・フォージャー(通称:黄昏)・・・敏腕スパイ
ヨル・フォージャー(通称:いばら姫)・・・暗殺者
アーニャ・フォージャー・・・テレパシー能力保持者
「スパイ」と「暗殺者」と「テレパシー能力者」。
お互いの素性を知らずに家族を演じることになった3人。
ポイントは娘役アーニャが「テレパシー」を持っている点である。
人の心を読めるということなので、アーニャは2人の素性を知っている。
アーニャが2人とその周囲の人の素性、思惑を知ることができるからこそおもしろいことが起こる。
リアクションである。
スパイと暗殺者が頭の中で考えていることは基本、物騒なことばかりである。国家を揺るがす機密情報、ターゲットについて、殺し方、など。
それらが含まれるロイドとヨルのモノローグがアーニャにだけは伝わってしまい、さらにアーニャは子どもであるためリアクションがもろ顔に出てしまう。
「SPY×FAMILY」第3話より
アーニャの顔芸ショーはアクション・シリアスシーンが比較的多いこのマンガの貴重なギャグパートとして、物語の効果的なスパイスとなっていると思う(それこそ手塚治虫「ブラック・ジャック」のピノコのような役割を持つ)。
そして主人公・ロイド(多分CV:中村悠一)のパパ具合である。
超優秀なスパイであり、任務達成のために時に冷徹な顔を見せることもあるが、結構序盤からしっかりパパしている。
任務のためなのだから当然なのかもしれないが、それを踏まえてもしっかりパパしている。
偽の娘であるアーニャを侮辱されたら、任務に支障が出ることがわかっていようと相手をぶん殴る。
アーニャがスパイごっこをしたいと言ったら、お城を貸し切り、スパイ仲間を総動員して望みを叶える。
回を増すごとにまあまあ親バカ度が増していくロイドのパパ具合は読んでてほほえましい。本屋のマンガコーナーだけでなく、育児コーナーにでも置いたらいいのではないだろうか。
2.危険と隣り合わせな日常描写
この作品には2つの「危険」がある。
1つは物語の背景には、舞台となっている「東国」と「西国」の戦争があり、ロイドはスパイとして常に「死」と隣り合わせになりながら任務を遂行する。(暗殺者であるヨルも同様)
もう1つは、3人の間で"正体がバレないか"どうかの「危険」である。
ロイドとヨルに関してはお互いの正体を知らない状態なのだが、時折バレそうなシチュエーションが発生する。特にヨルに。
というか、ヨルに関してはこれで怪しまれないのおかしくない?というくらい日常生活で暗殺者の片鱗を見せまくっている場面が多い。
そしてその際のヨルの目。普段の自信なさげでオドオドしたものとは180度違う冷徹で鋭い目に変化する。この変わり様は初めて見た人もゾクッとすること間違いなしである。
「SPY×FAMILY」第4話より
終わりに
駆け足になってしまったが、「SPY×FAMILY」は絵柄や舞台設定に反して想像以上に笑える作品である。
戦闘描写などもマイルド(グロ要素は第6巻までであまりない)なので、たしかに大衆向け要素が強い作品かもしれないが、バトル・シリアス・ほっこり・笑いといった多くの要素が奇跡的なバランスで含まれているからそう呼ばれるのかもしれない。
これからも隔週月曜日に更新される「少年ジャンプ+」が楽しみである。