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気づいてもらえた小さな頑張り
私はどこか抜けていて、いつも何かを探しているか、忘れてしまうことがある。例えば、家の鍵を家の中で探し回ることはもちろん、会社の入館証や、履こうと思っていた靴下まで見当たらない。こうして何かを探す時間や、「ごめんなさい」と事情を話して誰かに貸してもらう時間を、すべて合計したらどれほど無駄にしているのだろうと考えると、残念で仕方がない。
大学時代の部活では、先生の指示を譜面に書き込むために必要な4Bの鉛筆を毎回忘れ、いつも友達に借りていた。その友達にはとうとう呆れられ、「なんでいつも忘れるの?しっかりして」と怒られたことを今でも覚えている。
そんな私が母になり、子どもの保育園や幼稚園の準備を忘れ物なしで行うのは至難の業である。お弁当、水筒、おしぼり、タオル、着替えセット、着替え袋、上履き、保護者証…。これらのどれかを忘れれば、子どもが悲しむし、保護者としての信頼も失いかねない。毎日必死に準備しているが、それでも今日は水筒を持たせるのを忘れてしまった。
そんな中、ほとんど話したことのない幼稚園の事務の方に声をかけられた。「○○さん、この前一度保護者証を忘れただけで、いつもちゃんと持ってきてくださってありがとうございます」と言われたのだ。一度保護者証を忘れて借りたことは申し訳ないが、それ以外の日はきちんと持参していることを認識されていたことに驚いた。そして、いつも忘れ物をして謝るばかりだった私が、褒められたことがとても嬉しかった。
誰かが自分を見ていてくれ、その頑張りを認めて褒めてくれる。それがどれほど嬉しいことか、改めて気づかされた。
私の周りにも、さまざまなことを頑張っている人がたくさんいる。私がその人たちを褒めるのはおこがましいかもしれないが、どんな小さなことでも「頑張っているな」「すごいな」と感じたら、それを素直に伝えたいと思う。