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「最後は気持ち!フィジカル!」なんだけど。。。思考停止になりがちな振り返り(全文無料)

今日も今日とて柔術は楽しい。こちらの橋本知之先生のYouTubeがとても参考になったので、自身が感じたことをまとめてみました。



1.「最後は気持ち!フィジカル!根性!」は正しい

試合はテクニック(技)だけでなく、気持ち(心)やフィジカル(体)がモノを言う場面がたくさんあります。柔術もそうですし、MMAなどではとくにそれが顕著だと思います。テクニックをもつベテラン選手が勢いのある若手のフィジカルと気持ちに吹っ飛ばされるのはよくあることです。

心技体揃わないと試合では勝てません。

2.振り返りをする上でなんでも「心」「体」のせいにするのは思考停止。技術的な振り返りの放棄

試合のラスト10秒でスイープを取り切れなくて「気持ちで負けてしまった」

終始、プレッシャーをかけられて「フィジカルでやられた」

よく聞く話です。

これは正しいです。でも毎回この振り返りをしているとすべてが「気持ちとフィジカルが足りないから」になってしまいます。その振り返りにあまり意味はありません。

ちゃんと技術的な振り返りをするのは大変ですしストレスのかかる作業です。でもそこで技術的な攻防の振り返りをせずになんでも「気持ちとフィジカルが足りないから」としてしまうのは一種の思考停止です。技術的な振り返りを放棄しているといってもいいでしょう。

3.振り返りをするのは練習の質を上げるため、上達を加速させるため

「最後は気持ちとフィジカル!」は間違っていないですが、そうなると練習でやることが「きつい練習をして、筋トレ頑張る」だけになってしまいます。それは練習の質を上げることや上達につながりません。

毎回振り返りで「最後は気持ちとフィジカル!」というなら、振り返りをしてもしなくてもどうせ「きつい練習をして、筋トレ頑張る」なのでそれなら振り返りをする意味がありません。

「最後は気持ちとフィジカル!」という振り返りに練習の質を上げる効果がないのです。

もし柔術のすべてがフィジカルと根性で解決するなら競技練習ではなくキツいトレーニングをしている人がチャンピオンになりますが、そうはなっていません。強度の高いスパーリングをしてフィジカルを鍛えるのは前提で、「どれだけ考えているか」「どれだけ技術的な振り返りをしているか」という部分で差がつくのだと思います。

・効果的な振り返り
<内容と原因>
「今回パスされてしまった場面、逆側のハーフのプレッシャーパスを止められなくてやられてしまった」
<対策>
「足の裏を当てて距離を取るオープンガードのコントロールを練習する」
「簡単にマクラをとらせてしまったのがよくなかった、組手争いを意識する」
「逆側のハーフのリテンションを練習する」

・効果が低い振り返り
<原因>
「気持ちとフィジカルが足りなかった!」
<対策>
「もっと筋トレとスパー頑張る!」

4.心を鍛えるって?

メンタルのトレーニングにあまり造詣が深くないので、あまりえらそうなことは言えないのですが、、、

こと振り返りにおいては「今回勝てなかったのは気持ちだ」としてしまうとその後の練習の質を上げることにはつながらないと思います。

もちろんメンタルをしっかり作るのは大事なのですが、試合の振り返りでなんでもメンタルのせいにしてはよくないと思います。

・効果的な振り返り
<内容と原因>
「残り10秒、三角絞めで負けた。スパイダーをされたときに足を触れらるのをいやがって頭が下がっていた。」
<対策>
「そんきょベースで頭を下がらないようにする」
「三角に入る瞬間に頭を上げておく、手を入れてディフェンスする」
「三角のエスケープを勉強する、肘を張る、頭を上げる、etc…」

・効果が低い振り返り
<内容と原因>
「最後の10秒、三角絞めを根性で耐えていたら勝っていた」
<対策>
「次はもっと根性を出す」

5.フィジカルもただ鍛えるだけでなく

とはいえ、実際のところ、「パワーがすべてを解決する」ということもあります。

本当に足りない要素がフィジカルであった場合、ウェイトや持久力のトレーニングをすることが正解のこともあります。

練習の5分のスパー1本でバテバテなら、さすがに「頑張ってスパーしてスタミナ付けろ」になるし、組み勝っている場面で階級下にやられているなら「とりあえずしっかり飯食ってガンガンスパーして筋トレしろ」となります。フィジカルを鍛えることで強さに直結するケースもあります。

ただ、なんでもかんでも「フィジカルが足りないから負けた!」としてしまうといいトレーニングにはつながりません。

また、多くの場合、フィジカルを鍛えることで解決しようとするのは技術的な振り返りの放棄になりがちです。

①グリップカットされる
△「握力を鍛える」
〇「グリップカットされにくいグリップ、肘の角度(90度)、持ち手の位置、相手との位置関係といった技術的な部分を見直す」

②クローズドを簡単に割られてしまう、三角絞めが決まらない
△「内転筋を鍛える」
〇「相手のポスチャーブレイク(姿勢を崩すアタック)をする、相手にいい組手を取らせない、相手の力が入る形を作らせない」

③トップですぐベースが崩れてしまう
△~〇「デッドリフトでハムストリングス、尻、太ももの筋肉を鍛える、力の入りやすい形を覚える」
〇「立ち方、相手との位置関係、グリップファイトを見直す、相手に体重をかける感覚を身に付ける」

※肌感覚ですが、③についてはけっこうフィジカルで解決できることも多いかもしれません。それでも筋トレやりこんだ人が白帯の頃は簡単にスイープされたり崩されたりしているのでやっぱり技術的な見直しが重要だと思います。

また、「フィジカルで負けた」と感じるときは

①相手の力が入りづらい形を作るにはどうすればいいか
②自分が力の入りやすい形を作るにはどうすればいいか

この①と②、もしくは両方を考えるのが技術的な上達につながると思います。

6.まとめ 「心技体」が大事。でも振り返りは「技」中心で

なんども言うように、「最後は気持ちとフィジカル!」は正しいです。選手としてやるならフィジカルの強化は必須です。

試合は心技体揃っていないと勝てないのでテクニックばかりではダメなのも事実です。

しかし、こと柔術やスパーリングの振り返りおいては「技」中心で振り返りをした方が効果的です。なぜなら次の練習の効果を上げることにつながるからです。気持ちとフィジカルのせいにすると練習の質向上や上達のための振り返りができません。

上達を目指す方の参考になればうれしいです。

2024/8/26 アンディ

ちなみに結構前に書いた記事で我ながらいいこと書いてある記事がありました。興味ある方はこちらもどうぞ。

【技が決まらない理由】技の精度とタイミング(全文無料)|柔術哲学(アンディ) (note.com


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