将棋と柔術②はやりの戦術と対策(全文無料)
今日も今日とて柔術は楽しい。タブレットと連結できるキーボードを買いました。いままでスマホで気合のフリック入力をしていましたが、これで文章が書きやすくなります。パソコンは古くて重くて起動がめんどくさいです。
今日の投稿は将棋と柔術シリーズ②。戦術の流行りが将棋と柔術で似てるので書いてみました。
1.将棋界における流行の戦術
将棋界には次々に流行の戦術が生まれています。有名なところだと「藤井システム」「ゴキゲン中飛車」など将棋をやったことがない人も名前は聞いたことがあると思います。
2.柔術、格闘技の流行の戦術
MMAだと、ボクシング&レスリングのスタイルが主流になったり、カーフキックが流行ったり、下からの三角絞めが流行ったりしました。柔術では、一昔前にベリンボロが一世を風靡したり、グラップリングで足関が流行ったり。将棋界と同じように流行の戦術があります。
3.将棋と柔術・格闘技の流行の戦術の共通点
いくつか共通点があって面白いのでまとめてみました。
①大革命の話(ベリンボロと藤井システム)
・柔術界のベリンボロ
→今までの「下からスイープ→パス→サイド→バック・マウント→極め」というセオリーから「最短距離でバックを取る」という新たな価値観を生み出した。
・将棋界の藤井システム
→「居玉は避けよ」「玉飛接近すべからず」の格言に反するスタイルで猛威をふるった。権威あるタイトルの竜王戦で藤井先生は4連勝を飾った。
興味のある人はこちらから↓
【藤井システム秘話】藤井猛の竜王三連覇の原動力となった藤井システムを解説 | ブラジルから王手飛車取り (shogi-oute.com)
競技のパワーバランスをぶっ壊すくらいの戦法が生まれて、対策が生まれるまではそれで無双できるというのは似ています。ワクチンができるまでは猛威を振るうウィルスみたいなものでしょうか。しかし、競技の歴史の浅い柔術はともかく将棋で大革命が起きたというのは衝撃ですね。
②近年の対策の速さ
これはもう間違いなくネット(スマホ、動画)の影響です。新しい技術も試合動画や棋譜がすぐに広まる現代はすぐに対策されていきます。しかしこれは逆に技術の発展が一気に進んでいるとも捉えられます。
あとは将棋においてはAIの発達で対策が進んだこともあります。
③流行の戦術が落ち着いて、ベーシックな部分で差がつく
今年のムンジアル(ワールド)では、以前ほどベリンボロを見なくなりました。棋界でも藤井システムも以前ほど見られなくなりました。しかし、ベリンボロや藤井システムが廃れたり価値が下がったわけではなくトップクラスの人はそれらを習得しています。いわば標準装備。そのうえでベーシックな部分で勝敗が決まるようになっていきます。
④昔の戦術が見直される
近年の将棋界では「雁木囲い」という戦法が復活しました。古くからあるもののあまり有効な形として見られていなかったのですが、細かいアップデートをしたことでトッププロ棋士の間で指されるようになりました。
MMAでは、初期のころはノゲイラの三角絞めが最強の必殺技でしたが三角絞めのディフェンスが知れ渡ると、下になるのは不利だからトップを取れるレスリングが強い、という風潮に変わりました。しかし近年再びボンサイ柔術のサトシ先生、クレベル先生の活躍で下からの攻めと柔術が評価されるようになりました。
昔の技術から学べることがあるのは共通しています。
⑤革命は起きないけど、日々小さな技術革新が起こっている
ゲームバランスが変わるほどの大革命はなかなか起きませんが、日々新しい技術が生まれています。この小さな技術革新はマニアックですが面白い。柔術でいうと近年のサドルロックやボディロックパス、ラペラ技術などでしょうか。いや、これはけっこう大きい技術革新ですね。それよりももっと小さな「ニースライスは、腰切らないほうがいいっぽい」くらいの細かい技術の進化が日々進んでいます。やることが沢山あるのは大変ですがそこが面白い。
まとめ 「新手一生」のマインド
盤上でも盤外でも数々の伝説を残した升田幸三先生という方がいらっしゃいます。そんな升田先生の言葉に「新手一生」という言葉があります。「定跡にとらわれない新しい将棋の指し手の創造に、自分の一生を賭ける」という意味です。
定跡の進歩に貢献した者に与えられる将棋大賞の升田幸三賞は、「新手一生」の升田にちなんでいます。升田先生は「将棋というゲームに寿命があるなら、その寿命を300年縮めた男」と評されました。この表現めちゃくちゃ好きです。
升田先生は魅せる将棋をモットーとしていて、常に新しい戦術や差し手を見つけていました。柔術でもこの「新手一生」のマインドを持ちたいですね。升田先生が新手を求めたように、我々柔術家も貪欲に技術を求めて楽しみましょう。
2023/11/3 アンディ
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