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グリップカットのコンセプト・哲学(全文無料)

今日も今日とて柔術は楽しい


1.グリップカットは重要な技術

トップでもボトムでも相手のグリップを切るのは重要な技術です。アタックより先にディフェンス。そのためのグリップカットです。

でも、簡単に切れないよねって。

2.強いグリップとは

逆から考えてみます。強いグリップとは何か。

強いグリップの条件は以下。

強いグリップの条件
①肘が90度
②穴がこちらを向いている
③手首が返っている
④小指側に力が入っている

①肘の角度が90度

文字通り。肘の角度が90度が一番力が入ります。そうすると自然と脇も閉まります。強いグリップを作りたければまずこれを意識しましょう。相手との距離が遠い(肘が伸びてる)と強いグリップは作れません

②穴がこちらを向いている

穴がこちらを向いている、というのはグリップしたときの途切れる部分(穴)が自分側に向いているということです。具体的には親指以外の四指が自分側に向いている形です。

③手首が返っている

手首が返っていると穴がこちらにある状態を維持できるので強いです。

でも必須ではないです。スパイダーの袖グリップ(袋どり)などは手首を返さず指でひっかけるグリップです。手首を返すとリーチが短くなるので襟などを引き付ける時はいいですが、スパイダーで蹴りこむときは手首を返さずひっかけるグリップの方が長くリーチを取れて相手を崩せます。

④小指に力が入っている

小指に力が入ると脇が締まって力が入りやすいので強くグリップできます。力士は小指が命って言いますからね。柔道でもそう習います。

でも実はこれも必須ではないです。場合によっては肘を上げて(脇を開いて)人差し指側に力を入れて崩したりすることもありますし、スパイダーの袖グリップなどのひっかけるグリップも小指に力を入れるわけではないです。

また、ノーギのリストを持つグリップも小指ではなく、中指と薬指の2本で持つ意識の方がコントロールが効きます。

補足。強いグリップを毎回使うとは限らない。万能ではない

グリップカットの説明のために強いグリップを説明しましたが、毎回強いグリップを使うわけではないです。

上記の4つの条件がそろっていると強いグリップになりますが、毎回それを使うわけではないです。強いグリップは切られにくく強く引けますが動きに制限があります。場合によっては肘が伸びることもあるし、手首を返さず指をひっかけるだけのこともあります。

スパイダーガードの袋どりは指でひっかける形だし、シッティングガードの襟持ちは引くだけではなく押すことにも使うので、ずっと手首を返していたり肘を90度にしているわけではありません

3.グリップカットの哲学

「穴が空いている側に切る」というのがグリップカットのコンセプト・哲学です。

どういうことかというと、親指と人差し指で輪っかをつくったとき、それを切るのは人差し指と親指とつなぎ目の穴です。ノーギのグリップカットはこの理屈です。道着のグリップカットでも同じ理屈が使えます。

穴の方向に向かって切る

道着を持つときは親指以外の四指を使います。それと掌底(手首の上の部分)で挟むようなイメージです。実際には挟んでるわけではなく指でひっかけているんですが

穴が自分の方向に向いてないと切れない

相手の手首が返っていると穴が相手側にあるので切ることが難しいです

襟グリップなどで手首を返されるとこの形になります。より穴が遠くなるので切りにくいです

穴が開いていって失敗したユーフォ―キャッチャーのような形になれば切れます。

グリップが切られる直前はこんな感じになります。ユーフォ―キャッチャーみたいな。

この手の形を作るために以下のことをやります。

4.グリップカットの手順

2.強いグリップ の逆をやります。これをやると相手の手の穴がこちらを向くのでグリップカットしやすいです。

①相手の肘を伸ばす(固定する)

肘が伸びると力が入りません。トップなら上体を起こして距離を取ることで肘が伸びるとグリップが切れます。ボトムなら足裏を腰や肩に当ててけることで距離を取って肘を伸ばさせます。

スパイダーのグリップカットで膝で切るテクニックも仕組みは同じです。自分の膝で相手の腕を止めます

②手首の角度を力の入らない向きにする

例えば襟グリップの場合、相手の手首が返ってる(こちらに手の甲が向いている)とグリップカットできません。手首をこちら側に向けさせたら(こちらに手の平を向けさせる)グリップが切れます。

相手の手首を内側から直接押してもいいし、自分の手で四の字を作ってもいいです。なんならモンジバカ(手首固め)を仕掛けてもいいです。それでもグリップを切れます。(IBJJFルールでは白帯以下は手首固めは反則なので注意)大事なのは手首の角度を戻すことです。

③小指側をはがす

相手が小指を締める方向の逆をやります。

相手の小指側の手の平を自分の手の平で押すようにするといい感じに相手の手が戻って力が入らなくなります。指を直接持って反らせると反則なので注意。

②と③は同時にやることが多いです。

④穴がこちらを向く形をつくってカットする

①~③をやると相手のグリップは穴がこちらを向いてる形になるので弱くなります。そこでカットします。

トップの襟グリップなら「胸を張る」+「相手の手首や道着を引っ張る」

トップの袖グリップなら「足や膝で相手の腕を止める」+「自分の手を引く」

ボトムでスソやパンツグリップを取られたら「相手の袖とって固定」+「足伸ばす」

まとめ

グリップしてる側は、自分のグリップの弱点(穴)を隠す形を作れば強いグリップになります

グリップカットする側は、相手のグリップの弱点(穴)を露出させる形を作ればグリップカットできます

ぶっちゃけ、こんなこと考えなくても腕力がある人が強引にひっぱれば自然と相手の肘は伸びるし手首も戻るのでグリップカットできます。でもこの哲学を使うと効率よくグリップカットできると思います。

・肘の角度(腕が伸びてるかどうか)
・穴の開いてる方向(4本指の方向)
・手首の返し
・小指

のポイントを意識するといいと思います。参考になったら嬉しいです。

ちなみに、相手の指を持つのは反則(厳密には持つだけならOK、反対側に曲げると反則)なので指はさわらないようにしましょう。

2024/12/7 アンディ

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