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柔術家の筋トレ 落としどころの話(全文無料)

 今日も今日とて柔術は楽しい。育児は大変で楽しい。娘が夜よく寝てくれるので寝かしつけが終わった後に練習に行けてます。妻と娘に感謝。

 今日は筋トレの話。具体的なトレーニングというよりも考え方の話。自分の考えをまとめました。はっきりとした結論もないくせに長いですが、トレーニングをどうやるべきか考えている人の参考になったら嬉しいです。


1.柔術家にトレーニングは必要か

 実家にあった1980年代の野球選手の本に「ボクは筋トレはやらない、不要な筋肉がついて可動域が狭くなる、野球の動作を通して実戦的な筋肉をつける」みたいなことが書いてありました。その主張の是非はおいといて、何十年も前から語られ続けるトピックスだと思います。

 なぜずっと語られるかというと、答えのないというか、答えが「人による」としか言いようのないものだからでしょう。だから議論が起こります。

 格闘技における筋トレも同じです。絶対の正解はありません。

 それでも最近の格闘技の筋トレの主流の考え方があるので、とりあえずまとめます。

・筋トレはできるならやった方がいい。
・競技練習が最優先。
・階級制競技である格闘技は基本的に筋肥大よりも筋力を優先
・ケガ予防、コンディショニングとしての効果が大きい
・トップ選手は技術で差がつかないときにフィジカルで差がつく
・コンパウンド種目(複合関節種目)であるスクワット、デッドリフト、ベンチプレス、懸垂をメインにするのが効率がいい。アイソレート種目(短関節種目)は補助的に行うことが多い
・年齢が上の世代は強度を上げすぎない
・回復や疲労の管理も大事にする

2.「人による」とは?

 トレーニングをやった方がいいかどうかは人によります。それを掘り下げます。一言でいうと心技体+環境によるって感じです

2-1 体(体格、体型、ケガの有無)による

 体重、階級、元々の筋力、柔軟性、関節の強さ、ケガの有無、柔術のスタイルなどの身体的要素によってトレーニングが必要かどうかが決まります

2-2 心(メンタル、やる気)による

 プロ選手なら必要であればやりたくなくともやらなくてはいけませんが、趣味の柔術家が筋トレ嫌いなのに無理してやる必要はありません。これも大事な要素です。無理にやってストレスを抱えたり柔術が嫌になるのは最悪です。

2-3 技術、スタイルによる

 パワーを必要とするスタイルなのか、テクニック重視なのか、一概にはいえませんがスタイルによっては筋トレが必要かどうか変わってきます。

2-4「生活習慣=練習時間&休息時間」による

 これが一番大きいかもしれません。

「生活習慣=どれだけ練習時間と休息時間がとれるか」

 家庭や仕事等により練習時間と休息時間(≒睡眠時間)がどれだけ取れるかが変わってきます。それによって筋トレをするべきかどうか変わってきます。

 十分な練習時間や睡眠時間が取れない柔術家ならば柔術の練習に充てたほうがよいです。しかし学生や時間に余裕のある人の場合、競技練習に加えて筋トレした方が効果的なことがほとんどです。

2-5 年齢による

 「2-1体による」「2-2 心による」とも相関関係がありますが、年齢が上がると体力、回復力、関節、骨の強さ、モチベーションが落ちます。それらも考慮しなくてはなりません

2-6 トレーニングのレベルによる

 例えばですが、ベンチプレス30キロしか上がらない人が50キロに伸ばすのは簡単でコスパ良くパフォーマンスアップが狙えます。しかし、すでに100キロ上がる人が120キロに伸ばすのは時間も労力も体力も精神力も大きく消耗します。これに注ぐエネルギーを柔術の競技練習に費やした方が伸びるかもしれません。

2-7 競技練習とのバランスによる

 先にも書いたように競技練習が最優先です(時期によりますが)。競技練習の時間と質を確保したうえで筋トレに使える時間を考えます。

3.注意点 

 自分もやりがちですが、「他人を(必要以上に)参考にしない」というのも大事です。何事も「人による」です。生き方、仕事論、筋トレのやり方、柔術のスタイル、食の好み、家事のやり方、人付き合いの仕方etc.. なんでも成功した人のものを見て「チャンピオンがやっているんだから正しい」とするのは危険です。トップに行く人は才能があります。体やメンタル等が並外れて強いことがほとんどです。その人のやり方を参考にしたら痛い目に合います。

 そして参考にするといいのはチャンピオンクラスやよりも、身近な人だったりします。オッサン趣味柔術家が空き時間でどうトレーニングしてるのか、道場の似た体格の強い人がケガ予防のために取り組んでいるトレーニングの内容、体格は小柄だけど黒帯のめちゃ強い道場の先生のトレーニングなど、そういう人のやり方が取り入れやすいかもしれません。もちろんプロの意見が一番大事ですが身近な人の意見も参考になります。

 UFC選手の一週間のトレーニングと練習メニューとかあんまりマネできないことが多いですよね。それよりも「練習終わりに3分で50回懸垂やるようにしたら引きが強くなった」「家族がいて時間ないから、家の近くのジムで15分で済ませるメニューをやってる」みたいなのが参考になったりします。

 トップレベルに行く人があまり筋トレをやらない場合もあります。トップレベルに行く人がいろいろ試した結果、筋トレは自分には不要と結論付けることはあるかもしれませんが、トレーニングをまともにやったことない人がやる前から「チャンピオンがやっていないから不要」というのは違うと思います。

 SNSでやたらの例のイチローの言葉を引用して筋トレ否定するやつは黙っててほしいですね。お前はイチローでもライオンでもねえよ。

 個人的には「UFCチャンピオンやムンジアル王者も筋トレやってるから筋トレ大事」はあるような気がします。どうなんでしょうか。「参考にしてもいいけど、自分に合うとは限らない」って感じです。

 何でも自分で考えて勉強して試すしかないです。だれにでも当てはまる万能のトレーニングはありません。

4.アンディ流筋トレ

 あくまで参考程度に。。。プロに聞くのが一番ですが参考になれば幸いです。

4-1 できることならパーソナル

 効率が良いのでできるなら間違いなくやった方がいいです。自分も以前はお願いしていました。特にスクワットとデッドリフトはフォームが難しいので見てもらった方が効果的ですしケガのリスクも減ります。独学でアホなフォームで腰をやることありますからね。自分が数十時間かけないと得られない知識を数千円で提供してくれます。安くはないですがオススメです。オススメの詳しい理由はこちら↓

パーソナルトレーニングのすすめ。|柔術哲学(アンディ) (note.com)

 名古屋のグッドサンプラスさんはオススメです。いいトレーニングができました。また子育て落ち着いたら行きたいと思っています。

4-2 とりあえず 空き時間で

 1分あれば腕立て30回できます。練習終わりとか家でもやろうと思えばできます。とりあえず腕立て、スクワット、腹筋あたりを。できたら公園で懸垂とかオススメです。できる範囲でやる。

4-3 ジムは通いやすさ(継続のしやすさ)が一番大事

 レベルの高いトレーニングをするならゴールドジムがいいですが、大半の人にそのレベルは必要ないと思います。継続することが一番大事なのでジム選びの基準は「近い」でとりあえずはいいと思います。あとは安全性と治安とか。最初のうちは器具の質にそこまでこだわらなくてもいいと思います。やりこんでいくうちに意識が変わることもあると思います。そうなったら移籍しましょう。

4-4 とりあえずビッグ3+懸垂

 ベンチプレス、スクワット、デッドリフト、懸垂。とりあえずこれやっておけば安心的な。自重なら、腕立て、スクワット、懸垂。これですべてをカバーできませんが、限られた時間の中で効率よく鍛えるならとりあえずこれでいいでしょう。上半身+下半身の全身を鍛えられるし、引く動作も押す動作も鍛えられます。

5.まとめ

 多くの場合、トレーニングはやった方がいいです。しかしだれもが100点満点のトレーニングメニューを組めるとは限りません。

 自分の体、心、技術、生活習慣、年齢、トレーニングのレベル等を考慮して現状の自分のベスト(落としどころ)を探っていきましょう。

 「これ以上はやるのは厳しい(ケガするな、時間がとれないな、精神的にきついな、関節へのダメージが大きいな、競技練習に影響が出るな)」のラインがあるのでそのラインまではとりあえずやってみましょう。それ以降はガンガンやるのか、強度や強度を落とすのか、いろんな要素のバランスを見ながら考えます。このライン(臨界点)は人によります。

 ものすごい情熱や丈夫な体、回復に時間を充てられる生活スタイルなどがあればラインは引きあがります。

 時間が全然なければ、家で腕立てとスクワットを丁寧にやるだけでもいいし、しっかり時間が取れるならジムでしっかりとメニューを組んだ方がいいし、最低限の時間しか取れないとなればビッグ3+懸垂を週1で取り入れてもいいです。

 誰もがビッグ3の高重量を伸ばすようなトレーニングをする必要はありません(やった方がいいことがほとんどですが)。自分のベストを見つけましょう。

できるときに
できることを
できるだけ

2024/4/16 アンディ

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