本物の日本刀を構えてみた
突然ですが、「たたら製鉄」という言葉をご存知でしょうか?
宮崎駿監督「もののけ姫」で話題となったたたらばのことですが、そのたたらばは島根県の施設がモデルになったと言われています。
しかしながら、いまだに”たたら”の実態の認知は低いのではないでしょうか。
たたら製鉄とは?
日本では古代から製鉄が行われていました。
鉄砲や刀などの需要が高まり、大量に鉄が生産されるようになった”近代たたら”。
盛んになったのは江戸時代に入ってからのことです。
このたたら製鉄、良質な砂鉄と木炭の材料となる豊富な木材資源が必要となるのですが、その二つの条件が見事にマッチした中国山地・特に島根県南部で隆盛を極めました。
たたら製鉄で作られる究極の鉄「玉鋼」はその強度としなやかさから、世界で他に作ることができない日本刀を生み出しました。
驚くべきはこの地域での生産量。
幕末から明治初頭にかけて、なんと国内の鉄生産量の8割~9割のシェアを誇っていたと。。。
ですが、この事実、あまり知られていない。
というか、この地にしばらく住む私も知らなかった(反省)
日本を支えたといっても過言ではないたたら製鉄。
歴史持つ地域の特色を踏まえて、
「たたらをもっと掘り下げていけないか?」
「宿泊者の方々へたたらを体験していただくことはできないか?」
と、たたら製鉄に関わる土地を巡る「たたらツアー」なるものを社内有志で敢行してきました。
それはそれは、とても好奇心を揺さぶる旅でした。
少しづつご紹介していきたいと思います。
「鉄、なんだか気になる〜」
と思ってもらえたら喜びます。⇦島根独特の表現
まずは鉄の芸術品を実体験してみる
いきなり、鉄と言われてもピンと来ないかもしれません。
【島根=たたら製鉄で栄えた】
と知ってはいたものの、私自身、詳しくはわかっておらず、人に語れるレベルまで至っておりませんでした。
そこで、初めに訪れたのが、島根県安来市の「和鋼博物館」
江戸時代以降盛んになった近代たたらの技術や歴史を学べる施設です。
製鉄をする一連の作業、「たたら操業」の流れを、映像で学んだ後、たたらで必要な道具や、最終的な芸術品とも言える「玉鋼」を見学しました。
きらきらと光を放ちながら異様な存在感を見せる玉鋼。
まさに職人達の血と汗と涙の結晶。
これが数百年前に、全国各地で飛ぶように売れた鉄なのです。
和鋼博物館では、
ぼんやりと理解していた「たたら製鉄」のプロセスや歴史を掴むことで、
「なぜここでたたら製鉄が栄えたのか?」
「たたら製鉄がどんなに大変だったのか?」
とここまで浮かんでいた疑問の答えが肚の中にストンと落ちたような感覚に。
そして、見学の最後には、この日一番と言えるクライマックスがありました。
玉鋼によって作られた、日本の芸術品「日本刀」
ここ和鋼博物館では、なんと日本刀の実物を手に持って構える体験ができるのです。
初めて日本刀を持ってみた感想。
とにかく、思ったよりも重い。そして長い。
黒光りする刃は美と狂気を併せ持った不思議な魅力を持っていました。
一振りの刀を作るため、どれだけの汗と涙が流れたのだろうか。
その努力と叡智の結晶である日本刀を持って構えるという体験は、
この芸術を作り出した「たたら文化」とは一体どんなものだったのか?
とさらに好奇心をくすぐられることになりました。
「すごいねぇ〜」
「やばいねぇ〜」
と興奮冷めやらないツアーメンバー。
一行は次なる目的地、金屋子神社へと向かうのでした。(続く)
『おもてなし産業をかっこよく』
あんでぃでした。
▼たたらを感じ、出雲文化を遊ぶ宿「界 玉造」
▼灯台と水平線を望むお詣り支度の宿「界 出雲」
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