外国人にとって居心地のいい場所を作りたい
こんにちは。あんでぃです。
『おもてなし産業をかっこよく』
を合言葉に、星野リゾートの働き方や戦略の特徴であったり、
現場で働いていて感じることなどをお伝えしていきます。
旅館にて夕食を提供しているときのこと。
「こんにちはの時に一緒にお辞儀したほうがいいの?」
「こんにちはは誰から言うのが正しいの?」
地方では珍しいヨーロッパからやってきた彼女は僕に尋ねた。
「お辞儀した方がpoliteだよね。どちらからという決まりはないよ。気づいた方がしたらいい。」
そう答えたものの、彼女はなんだか納得していない表情を見せた。
「どうしたの?何かあった?」
そう聞くと、彼女は持っていた箸をテーブルに置いた。
「旅館に来てる人たちに私からこんにちはと挨拶しても、みんなしらんぷり。western peopleが来ることをよく思っていないのかもと感じてしまうわ。」
僕は彼女に同情した。
同じような経験があったからだ。
20年前、大学生の時のこと。
ヨーロッパを旅していた僕は、オランダのユースホステルに2泊した。
部屋はドミトリータイプの6人部屋。
アジア人は僕だけで、周りはヨーロッパ中の同世代の若者だった。
ハローと声をかけると、返事はくれるもののそれだけで、こちらに興味を示す人はいなかった。
同じ部屋にいるのに、空気になったような気分になったのを今でもはっきり覚えている。
アジアを旅している時に出会ったヨーロッパ人は気さくに話してくれた。
「どこからきたんだい?」
「日本?寿司食べてみたい」
「ここまでの旅はどうだった?」
お互いのこと、国のことを理解しようと会話に夢中だった。
そんな期待を勝手に抱いていたから、
ドミトリーにいる自分の存在が薄くふわふわとしたものに感じてしまった。
後からこんなことに気づいた。
オランダにいるヨーロッパ人は旅人ではなく、地元を遊ぶ人。
立場が違うのだ。
アジアにいるヨーロッパ人は旅人。
同じ旅人だから立場が同じなのだ。
そんな話を彼女にしたら、彼女は納得したよう。
箸を持って食事を続けた。
時はすぎて、フィジーという島国に住んだ。
通りすがりの日本人に、
「BULA!(こんにちは)ニホンジンデスカ?」
とこれでもか、と声をかけてくる。
南国の青空のように爽やかな陽気さで。
彼らに地元や旅人という感覚はないのかも知れない。
だから、とても居心地がいいのだ。
今の日本。
外国人が増えてきたとはいえ、まだまだ20年前のオランダと変わらない。
だがいずれフィジーのような国になることだろう。
同じ島国なんだから。
僕はそう願っている。
『おもてなし産業をかっこよく』
あんでぃでした。