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なんとなく旅行したいわ、というぼんやりさんのお話し

先月、4月にリニューアルした星野リゾートのコーポレートサイト。

ここに、星野リゾートの強い意思を感じました。
そこで私なりの妄想を含めた考察をシェアしたいと思います。


【施設】中心の過去のコーポレートサイト

今回のリニューアル前のコーポレートサイトでは、星野リゾートが運営する【施設】が中心でした。

閲覧者側の視点で言えば、
コーポレートサイトの中から気になる施設をチェックし、
その施設へのアクセス、客室やお食事、アクティビティーといった基本情報に触れ合う。
またその施設周辺の観光情報をチェックする。
といった流れでした。

(今度の旅行で、どんな旅に彩ってくれるんだろう?)
そんな思いを持つ【行き先や目的が定まっている】閲覧者には、より深い情報が提供できるといった仕様でした。

しかしながら、
(ちょっと旅行行きたいな。)
なんてぼんやりと考えている「ぼんやりさん」にとっては、それぞれの施設をチェックしながらこう思ったのではないでしょうか?

「いろいろな施設があって面白そうだな。
 でも、どこに行こうか余計悩んじゃうな…


ジャムの法則

私の尊敬する方でシーナアイエンガーさんというコロンビア大学の教授がいます。
人間の意思選択について研究されている方。

彼女は興味深い実験を行っています。

ジャムの試食コーナーを
A.24種類のジャムが置いたコーナー
B.6種類のジャムが置いたコーナー

の2種類に分けて、どちらがより売れるのか調べました。

結果、
1.人が多く集まったのは、24種類のジャムが置いてあるコーナー
2.24種類のジャムが置いてあるコーナーは訪れた人の3%が購入
3.6種類のジャムが置いてあるコーナーは訪れた人の30%が購入

簡潔にまとめると、
実際に多く売れたのは、選択肢が少ない方だったという結果でした。
ここから導き出される仮説。
それは、選択肢が多いほど、人は悩んでしまい決定しないということです。

このジャムの法則は、過去の星野リゾートのコーポレートサイトに当てはまるのではないだろうか、と思ったのです。
施設は多いけど、いろんな施設を知るが故、明確な目的意識がない方は決断できずに諦めてしまい、お互いにとって機会損失に繋がっていたのでは?と。

そして、リニューアルしたコーポレートサイトは今までのものとは大幅にコンセプトが変わりました。
どう変わったか?
(なんとなく旅行に行きたいな〜)
というぼんやりさんの気持ちになってリニューアルしたコーポレートサイトを訪れてみましょう。


【妄想】ぼんやりさんのサイト閲覧体験

来月に連休がとれることが決まったぼんやりさん。
夫は仕事に忙しく、なかなか一緒にでかけることができていなかったので、久々にご褒美旅行をしてみたいな、と思いました。
最近、友人から星野リゾートの界を巡っている、という話を聞いていました。
気になって星野リゾートを検索してみることに。

公式サイトを開くと、一番初めに聞かれます。

「どんな滞在をお探しですか?」

ぼんやりさん、少しフリーズします。
『あれ、私は主人とどんな時間を過ごしたいのかしら?
 最近は仕事で疲れて帰ってきた主人とあまり会話もできていない。
 休日も仕事の疲れがあまり抜けずにリラックスできていないようだし。
 非日常を味わえる体験があったらいいわ。』

サイトをスクロールしているとさまざまな提案が目に飛び込んできます。

『緑が眩しい季節に行く長野旅』

九州で春を愉しむ温泉旅

ワクワクに出合う!動物園・水族館の旅

穏やかに時を過ごせる親孝行旅

新茶の季節に訪れたい宿


その中で、ぼんやりさんはふと思いつきます。
(そういえば、うちの主人、昔お茶にハマっていたわ。)
主人と付き合ったばかりの頃。
お酒があまり得意ではない彼は、茶器を集めることに熱中していた。
一緒に陶器屋さん巡りをしたのも今となっては懐かしい思い出…

(新茶の季節に訪れたい宿なんて、面白そう。
 なになに?
 旅館の中に茶畑があるの?
 お茶の浴場?)

気になったぼんやりさんは界 遠州の施設サイトをチェックします。
そして、新茶の利き茶体験に思いを馳せます。
(あの頃の気持ちに戻れるかしら?)

ぼんやりさんは決意します。
(うん、今晩主人が仕事から帰ってきたら相談してみよう。)


リニューアルしたコーポレートサイトの狙い

ぼんやりさんの体験からわかる通り、今までのサイトとは大きく異なっていることがあります。
それは、閲覧者にとって、
「こんな体験をしてみたい」
が中心になっているということ。
ぼんやりさんのように、なんとなくサイトを開いた人にとってもなんとなく興味が惹かれるものが見つかり、
「あ、これしてみたいかも。」
なんて発想が生まれる。
そんなサイトになっているのではないか?

もちろん先程の目的を中心にしたものだけでなく、「見つける」のページをチェックしてみると、画像のイメージや地域からも旅のイメージを掴むこともできます。

このように、今回のコーポレートサイトはコンセプト自体が大きく変わっています。
施設中心から旅行者の目的・体験中心へ。
そこには、「旅は魔法」を合言葉にしている星野リゾートの強い意志の表れを私としては強く感じたのです。

私が旅館業に従事している10年ちょっとの期間でも、「旅」の概念が大きく変わってきているように感じています。
個々の目的に寄り添い、さまざまなニーズに対応できるように変化していくことがこれからの僕らに必要なことなんでしょうね。


おもてなし産業をかっこよく。
あんでぃでした。


▼星野リゾート全施設のコンセプトも是非チェックしてみてください。





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