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イチローが教えてくれたおもてなしの本質

日米野球界で活躍をしたイチロー。
先日、2週に渡って、情熱大陸で特集をされていました。

飛び抜けた成績を残した彼だからこそ、出てくる言葉が含蓄に満ちていまして。
私の胸に染み渡ったと同時に、これはスポーツの世界だけでなく、おもてなしの世界でも通用する考え方だと思ったのです。

その本質とは、『感性』と『思考』こと。

データで見落としているもの

イチローは松井秀喜との対談の中で今の大リーグの状況を危惧していました。
つまらない、と。
それは、現在の野球が「データ重視」になっているから。

ピッチャーであれば、ストレート・カーブ・フォークといった球種それぞれのスピードやコース、打者の空振り率など、あらゆるものが数値として表れます。
打者であれば、自分のスイングの軌道、状況別の打率などがタブレットですぐにチェックできます。
これらのデータを駆使して、次はどのような手を打つのか、簡単に判断することができるのです。

データを重視することは、さまざまな無駄をそぎ落とし、効率的にベターな答えを導き出すには最適かもしれません。

しかし、それは
何かを見落としている
とイチローはいいます。


「感性」をもとに「考える」

50歳を過ぎたイチロー。
未来の野球界のためになれば、と今でも草野球や高校生の指導などを通して、精力的に野球と向き合っています。
その中で、しきりに出てきた言葉が「感性」でした。

イチローは卒業以来初めて出身高校を訪れました。
そこで待ち受けていたもの。
それはデータを重視する野球でした。
最新設備を取り入れ、試行錯誤しながら正解を模索していたのです。

イチローは部員たちを集めて訴えました。

「考えよう」と。

データをもとに思考停止に陥るのではない。
データにはない状況を感じ取る感性を磨く。
そして、そこから最適解を自分で考える。

イチローからなるべく多くのものを吸収したいと願う球児たちは、真剣な面持ちで頷いていました。

高校時代から感性を磨き考えた

寮生活を送った高校時代から、イチローは常日頃考え続けていたようです。
とあるエピソードが印象的でした。

寮では洗濯機が少なく、その争奪戦はとても激しいものでした。
その争いに巻き込まれたくないイチローは考えました。
そして、出した結論。
それは毎朝2時に起きて、深夜に洗濯機を独り占めすることでした。

50名近くの大部屋で生活していた彼は、アラームを2時にセットする。
しかし、そのアラームを「ピピピ」と少しでも鳴らすようならば先輩に怒られる。
そこで、アラームが「ピ」のうちに止めるという緊張感の元生活をしていたようです。

争奪戦になることを思考停止して受け入れるのではなく、いやだ、と感じる感性。
そして、自分のここちよい状態を作るために、考え、実践する意思力。

今までイチローが出してきた結果は、このような感性と思考の蓄積で生まれたものなんだろう、と納得しました。


おもてなしにおける感性の必要性

イチローが語ってくれた言葉は、おもてなしにも活かせるな、と直感的に思いました。
僕らはえてして、データ偏重主義になりすぎで、感覚的な部分や感性を疎かにしがち。

お客様を年代や性別でセグメントし、各層での特徴をチェックする。
その中での最大公約数的な対応をマニュアル化する。
その理由も考えず、思考停止してマニュアル通りに対応する。

感性ではなく、データを用いる。
思考せず、マニュアルを用いる。
大多数の人にはそのようなサービスで通用するかもしれません。
しかし、そこには感動が生まれる要素は少ない気がします。
なぜならそこには、感性によって生じた『心』がないから。

また、たとえ感動が生まれたとしても、サービスを提供した本人に喜びは生まれないのではないでしょうか。

自分が集めた情報を自分なりの感性で分析し、考え、仮説を立てて、実行してみる。
間違えていたら、その仮説を修正していく。
それこそが、もってなす、おもてなしの本質だという気がしてなりません。

データを否定するわけではありません。
しかし、データが唯一の答え、と盲信してしまうことに、私たちの感性が無視され、つまらないサービスにならないことを祈るばかりです。


以上、おもてなし産業をかっこよく。
あんでぃでした。



界 出雲|国譲り神話を神楽で表現。今冬はさらに進化します。


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