教える機会が多いのは星野リゾートの戦略の一部かも?
こんにちはあんでぃです。
神在祭も近づき、神様たちの足音が聞こえてきそうな島根県。
我が旅館、界 玉造では神様に喜んでいただこうと、神楽を毎日演じております。
つい最近、大切な後輩たちが、神楽デビューを果たしました。
デビューしたのはどちらも女性スタッフです。
演技初日とは思えない堂々とした舞っぷりに、なんだか親目線で目頭が熱くなってしまいました。
かつては女人禁制の神楽も多かったようです。
男性が女性役をいかに女性らしく舞うか、というのが神楽の醍醐味でもあったわけですが、今では女性が舞うことも一般的になってきました。
界 玉造では、出演する3役全てが女性ということもあります。
しかも、3役こなす女性スタッフもいます。
まさにマルチタスクの極みと言えるでしょう。
(私も姫役をやれれば3役コンプリートなのですが、流石に身長的に厳しいかな。。。)
さて、伝統芸能とも言われる神楽。
難しいのは、指導するにも教科書がないことです。
伝統芸能とはそういうものなのでしょう。
基本は、師匠の動きを見て覚える。
これがまた難しい。
私たちは自主練習以外にも、石見神楽の先生に毎月指導を受けています。
この道60年以上、神楽に身を捧げてきた方ですから、所作が自然すぎて、ご本人も当たり前にしている動きです。
それだけに、見るだけで覚えるというのはかなりハードルが高いです。
動画で撮って、何度も見て、所作をチェックする。
これは、言うなれば、暗黙知を形式知に変換する作業とも言えます。
私は今までたくさんのスタッフの神楽指導をしてきましたが、教えるということ自体にとても意味があると感じています。
いざ教えるとなると、暗黙知になっている部分に気づく。
そして、必死に形式知に変化させようと動画を何度も見返してみる。
すると、自分で気づいていなかった、重心の位置、扇子の動かし方、首の位置など微妙な違いに気づいていくのです。
人に指導するということは、自分の無意識の行動に気づき、言語化して伝えること。
それは自分のスキルを上げることに他ならないと実感しています。
思えば、星野リゾートの働き方では、教える機会がとても多い。
なぜかというと、サービスチームというマルチタスクの特殊な働き方をするから。
また、教える機会が増えるのは、サービスチームで働くからだけではありません。
フラットな組織として、上司部下の関係はなく、それぞれのスタッフがさまざまな役割を担います。
戦略立案をする役割、設備管理の役割、人事的なサポートの役割、労務的な役割などなど…
それは、誰かがいなくても、周りの人がフォローできる体制。
その体制を作るためには、教え合うということが必要不可欠です。
直接指導したり、
マニュアルを作ったり、
動画を作成したり、、、
これらはとっても時間がかかる作業。
つまり、人件費がかさみます。
それでも、星野リゾートではスタッフの役割を固定化せず、さまざまな業務に取り組んでいます。
戦略上、重要に考えているマイケル・ポーターの教えである「トレードオフを伴う選択」と言えますね。
他が真似しづらい戦略を打ち続け、独自の姿を描いていく。
そうすることで、競争力を磨いていくのです。
後輩の神楽デビューを目の当たりにして、そんな星野リゾートの戦略を感じていたあんでぃなのでした。
おもてなし産業をかっこよく。
あんでぃでした。
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