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マルチタスクって本当に効率的なのだろうか?【星野リゾートの働き方】
星野リゾートの特徴的な働き方といえば、マルチタスクによるサービスチーム。
その働き方が果たして効率的なのかどうか?について本日は考えていきます。
そもそもサービスチームとは?
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過去の記事でもご紹介してきましたが、そもそもサービスチームの概念はただのマルチタスクの業務とは違います。
経営戦略の中で紹介されている通り、
サービスチームは、運営に関わるすべての業務を分断せず、商品開発(構想)から商品提供(実行)まで一貫して担当することを特徴としています。
基本業務は、フロントサービス、レストランサービス、客室清掃、調理であり、これらをマルチタスクで行うことで、多くの顧客接点を持つことができます。
「マルチタスクに全ての業務を同時にこなしてくださいね!」
と言うのではありません。
あくまで目的は顧客接点を多く持つことであるというのがサービスチームの考え方です。
それはなぜか?
常に顧客側の立場に立って、物事を考える癖をつけるためです。
そして、より心地よい滞在をどう演出するか?という視点を養っているのです。
「私の担当範囲はここまでです。他は知らないからあっちに聞いて!」
なんてことは全くない。
顧客の滞在演出に対して全方位的に考えていくのがサービスチームの特徴です。
マルチタスクとは、一度に二つのことをやるわけではない
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突然ですが、あなたはテレビを見ながらご飯を食べますか?
これぞまさに一般的なマルチタスク。
一度に二つ以上のことを行う一般的なマルチタスクと、星野リゾートのマルチタスク(=サービスチーム)は意味合いが違います。
脳科学的にも、人間は一度に二つのことはできないそうです。
つまり、一般的なマルチタスクでは同時にやっているように見えて、頭の中で短時間で意識の切り替えを忙しく行なっているそうです。
もしくは、一方に集中して、片方は無意識に任せている。
確かに、テレビを見ながら食べたご飯って、思い出すことが難しかったりしますよね。
それは、食べる行為を無意識に行なっているからに他なりません。
つまり、一般的なマルチタスクでは片方のタスクを犠牲にしているかもしれない。
私はそのことを知って以来、食事の時にはテレビを見ない。スマホも見ない。ということを意識するようになりました。
すると、なるべく時間を無駄にしないように!
と効率的に考えていた頃の自分よりも、幸福度が増してきているように感じています。
って、話がそれましたね。
話を戻して、星野リゾートのマルチタスク(=サービスチーム)について。
こちらは一度に二つの業務をするわけではありません。
客室清掃や調理業務、料理のサービスなどは、時間ごとにシフトで決まっていて、その時間に他のことをするわけではありません。
各時間で一つの業務に集中しています。
もちろん、1日に清掃のユニフォームや厨房服に着替えたりと、切り替えの手間はあります。
ただ、そこは全スタッフのシフトを設計するシフターが効率的な運営のために頭を日々捻っております。
(シフター業務を10年以上してきて、様々な試行錯誤をしてきましたので、おいおい体験談を語っていきます)
こと旅館業に関して言えば効率的だろう!
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主題に戻ります。
果たして、マルチタスクは効率的でしょうか?
一方を犠牲にする一般的なマルチタスクは正直非効率だと思います。
ただ、星野リゾートのマルチタスク(=サービスチーム)は様々な視点から見て、効率的だと思います。
①短期的に見れば、宿泊業は業務が集中する時間帯が決まっているから。
宿泊業では、チェックインの時間帯、清掃の時間帯、夕食の時間帯など、各時間帯で人的負荷の波があります。
そこで、全ての業務をこなせるスタッフがいることは、とても効率的に施設運営ができます。
②長期的に見れば、改善や新しい企画の発案に繋がる。
商品開発をする際に現場発想のアイデアが生まれやすくなります。
顧客と接点を持つことで、
「そういえば、顧客があのことを気にしていたな。」
などと、市場調査の時間をスタッフが担うことができる。
それは、人的な効率化にかなり影響すると思われます。
③星野リゾート的に言えば、フラットな関係が生まれる
効率化と少しずれるかもしれませんが、スタッフごとに行なっている業務が違うと、情報量が違います。
つまり、対等な関係で議論することが難しくなります。
サービスチーム化によって、みなが同じ情報量を持つことができるため、常に職場内ではフラットな関係が醸成されます。
これは、議論を進める上で効率的といえるでしょう。
以上、星野リゾートの働き方シリーズ、本日はマルチタスクが効率的かどうかについて綴りました。
星野リゾートの重要な戦略の中でも根幹をなすのが、マルチタスクによるサービスチーム。
フラットで、独自の魅力作り、ブランディング、運営特化といった他の重要な戦略にも大きく寄与しているのだと思います。
おもてなし産業をかっこよく。
あんでぃでした。