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生産性向上の落とし穴

前回の記事にて、宿泊業界において生産性のフロンティアが押し上がっているというお話をしました。
生産性のフロンティアとは競争のある市場において、より高い価値を提供し、かつ低コストでの生産力を実現した状態のこと。

縦軸の高い価値の提供に関して。
コンセプトがしっかりしたホテルが増えた結果、宿泊料金をより高い価格で訴求できるようになってきました。
過去にはあまりなかったような、1泊○十万円の宿も増えてきましたよね。

また、横軸はコストポジション、つまり効率的に運営できているかということです。
効率化のための具体的な方法はさまざまなノウハウがあると思いますが、ここではあえて違った視点から考察してみます。

効率化をするために何ができるか?
ではなく、
効率化すると何が起こるか?
つまり、効率化における落とし穴についてです。


効率化を進めると起こること

以前こちらの記事で取り上げたケースを振り返ってみます。

旅館をチェックアウトした際に、どんなお見送りをされたか、印象に残っていますか?

どうでしょう?
とても印象的なお見送りでない限り、なんとなくしか覚えていないのではないでしょうか。

先日の社内会議のことです。
『チェックアウトのお見送りをどこまでするか?』
というテーマで議論が繰り広げられました。

私達は以下2点で議論しました。
A お車までお荷物をお持ちし、お別れする
B お車までお荷物をお持ちした後、道路まで出て、車が見えなくなるまで手を振ってお見送りする

このケースの場合、BからAに変えること。
つまり、最後まで手を振ってお見送りをしなければ、
別の作業だったり、
他のお客様の対応ができますね。
つまり、Aだと効率が良くなる、すなわち生産性が上がる
人件費の削減となり、スタッフの身体的な負担も減りますね。
企業の収益力が上がる上に、残業の少ない、よりホワイトな職場になっていく可能性があります。

ただ一方で、お客様の立場からしたら、
車で挨拶をされるよりは、
バックミラーで見えなくなるまで手を振ってもらったほうが、何か心に残る思い出になることでしょう。
つまり、Aを選ぶことでお客様満足度(CS)が下がるかもしれません。

収益を上げるためにCSを下げることを許容するか?
はたまた、CSを下げない工夫をするか?
といった打ち手を考えることになるでしょう。
しかし、果たしてそれだけでいいのでしょうか?

生産性を追い求めた結果の負のスパイラル

こういった生産性を上げる時に、見逃していることがあります。
それは、従業員満足度(ES)です。

お客様との接点を少なくすることで、生産性は上がる。
しかし、その接点自体を仕事のやりがいと感じている従業員はいるわけです。

「お客様のために、なるべく詳しく説明したい。」
「お客様のために、ちょっとしたサービスを付け加えたい。」

喜んでいただきたい、という思いから行う行動は、スタッフにとってはモチベーションの源泉になっていることが多い。

こういった事情を無視して、
収益とCSだけに注目して意思決定していくと、

ESの低下
⇨離職
⇨人材不足による現場の負担
⇨ES低下

といった負のスパイラルに落ち込む可能性があります。


どういった対策をとるべきか?

こちらの記事で紹介した、東京での合宿では、まさにこの問題を考えるきっかけとなりました。

旅館業という業務を全て細かく分類し、それぞれの業務を見直しました。

収益か?
顧客満足か?
といった視点だけではなく、
従業員の満足度はどうか?
ブランディング的にはどうか?
といったさまざまな観点から総合的に判断し、業務を再設計していく。

影響する要素を全て出し切って、
それらの要素全体が最大化できる意思決定とは何か?
と考えていくのです。
決して二元論に陥らずに、さまざまな視点から検討することの大切さを実感した合宿でした。


コスト面は短期・中長期で考える

つまり、まとめますと、、、
生産性のフロンティアにおけるコストパフォーマンス、つまりコスト意識については、中長期的に考えましょうということです。

短期的にコスト削減につながっても、
従業員満足度が下がれば、長期的にはコスト増につながる危険があります。

意思決定をする際には、影響しそうな要素は何か?
という点に関して意見を出し合い、良き選択ができるような組織でありたいものですね。


本日はコスト削減の落とし穴というテーマで綴りました。

おもてなし産業をかっこよく。
あんでぃでした。




本日のピックアップ施設は、、、

OMO7 大阪「ほれたまうわ、なにわ」

船の帆で覆われたようなホテルからは、大阪の街が見え隠れ。木立や芝生が広がるエリアは人々で賑わい、湯屋で寛ぐひとときも。ここは大阪の新天地。定番のおいしいもんは鮮やかな料理に仕立て、千客万来お待ちします。ディープな街・新世界や水の都大阪を知れば実におもろい。知ってるようで知らない、なにわにほれてまうこと間違いなし。


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