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【サービスチーム#4】マルチタスクを行う上での弊害を考えてみる
こんにちは。あんでぃです。
『おもてなし産業をかっこよく』
を合言葉に、星野リゾートの働き方の特徴であったり、
現場で働いていて感じることなどをお伝えしていきます。
記事TOPにはリゾナーレ八ヶ岳のマルシェの様子。
以前、友人と音楽イベントの帰りに宿泊。
のんびりとした休日を過ごさせていただきました!
さて、ここまで星野リゾートの独特な働き方「サービスチーム」というマルチタスクな働き方について語ってきました。
サービスチームというマルチタスクの戦略を取り入れることで、さまざまな顧客からしてみても、スタッフからしてみても、メリットがあるように感じられたかもしれません。
ただしかし、もちろんデメリットといいますか、失うものもたくさんあります。
今回は具体的なデメリットと、私が個人的にどのように乗り越えているのかをご紹介していきます。
サービスチームによって失うもの
ここまで3記事を読んでいただいた方には、サービスチームの本質をご理解いただけたと信じています。
そこで今一度、考えてみてください。
マルチタスクによるサービスチーム化を進めるにあたって、失っているものはなんだと思いますか?
物事は表裏一体。
表(メリット)だけみるでなく、裏(デメリット)も理解しておく必要があります。
おそらく、メリット同様デメリットはいくつも考えられますが、ここでは大きく2つご紹介してみます。
それは、
生産性が落ちてしまうこと
スタッフの業務負荷が大きく大変であること
企業にとって死活問題となる生産性の低下、そして、従業員にとって不安要素となる業務負荷の増加。
そりゃ当たり前でしょ!他にもあるよ!
って方は是非コメントいただければ嬉しいです。
生産性が落ちてしまう
こちらの記事でも触れたのですが、それぞれのスタッフが一つの業務に集中し、習熟度を高めればそれだけ作業効率は上がっていきます。
お部屋の清掃をするとき、
初めての時は一部屋90分かかっていても、
2回目には80分、
3回目には70分、
次第に平均値である60分に近づいていく、
といったようにどんどん時間は短縮されていきます。
それが、例えば3ヶ月ぶりに清掃をすると、また80分に戻ったりします…
時間短縮して生産を上げるためには、極端な話し、毎日同じ業務をこなしていればいいと言えます。
スタッフの業務負荷が大きく大変
いくつもの業務をこなすようになるためには、それぞれの業務を習得しなければなりません。
例年、新入社員の皆さんは、入社して数ヶ月間は毎日なにかしらの業務のトレーニング期間となっており、必死になって頑張っている姿を見てきました。
覚えることの大変さ。
30代で転職した私はその大変さが肌身にしみるほど感じました。
もともと、デスクワーク中心でややメタボ気味だった私の体重も、入社して3ヶ月で体重が15kg以上落ちていきました。
(あの時は大変だった。。。)
また、オペレーションの変更があった場合など、情報のキャッチアップも必要です。
シングルタスクならば、自分に関わる情報だけでいいかもしれません。
マルチタスクであるならば、全ての情報に常にアンテナを立てておく必要があります。
1日のメール受信件数は他のホテル業界に比べたら圧倒的に多いのではないかと思います。
生産性が低下することに対してどうするか?
「生産性が低い=効率が悪い」
利益を追求する企業であるならば、避けたい状態でしょう。
しかし、これは短期的に一部しかみていないからこそ出てくる考えだと思います。
マルチタスクを推進し、強いサービスチームを作り出すことは、未来への投資です。
サービスチームの旅館に宿泊するゲストは何を感じているのか?
サービスチームというマルチタスクの環境で働くスタッフが得ているものって?
これらの記事で紹介した通り、サービスチームによるメリットはたくさんあります。
生産性が一時的に下がったとしても、長い目で見たら、顧客やスタッフのメリットが大きく上回るのです。
というよりも、生産性がなるべく下がらないように、そしてメリットがより大きくなるように試行錯誤します。
その試行錯誤の中にスタッフの思考力という成長の種も生まれるのです。
スタッフの業務負荷が増えますが、、、
さまざまな業務を覚えていくのは、苦しくもあり、楽しくもあります。
プライベートでは自分にとって心地よいことだけやっていればいいですが、仕事となると、問答無用でさまざまな業務をすることになります。
そうすると、見えない自分が見えてくる。
「自分って思ったより、清掃作業が好きなんだ。」
「自分って物事を効率化することばっか考えているな。」
「整理整頓、本当に苦手だな。」
「人とのコミュニケーション、もうちょっとうまくできないかな。。。」
さまざまな業務という刺激を自分に与える。
すると、自分のうちから出てくる感情や反応から自分を理解する。
このようにサービスチームは自分と向き合う機会をより多く与えてくれます。
自己理解を深めることで、より自分らしい長期的なキャリアプランを築くきっかけになることも。
情報のキャッチアップについて。
これは、メールだけでなく、定例の全体会議や毎日のミーティングでの情報共有がキモになります。
一方で、この情報をしっかり抑えておけば、全体を把握して、サービスの幅が広がったり、お客様からの質問や要望にスムーズに解決できます。
お客様の感謝と笑顔という報酬を得ることができる。
サービス業の醍醐味といえるでしょう。
マルチタスクの弊害を乗り越えて。。。
マルチタスクによるサービスチームの導入は、大変な障壁がいくつも出てきます。
しかしそれらの障壁を乗り越えた先に、
個人を成長させ、
チームを成長させ、
会社が成長していく、、、
そんな果実を得られるのだと思います。
『おもてなし産業をかっこよく』
あんでぃでした。