日々、インバウンドゲストと接していて思うこと
星野リゾートではサービスチームと言う働き方をしています。
旅館運営に欠かせない、清掃、調理、サービス、フロントといった様々な業務を全てのスタッフが担当します。
界 玉造の施設内には、島根の地酒を40種取り揃えた日本酒バーがあります。
もちろん日本酒バーも様々なスタッフが担当します。
本日は、外国人のお客様を接客した時のお話しをば。
上海からお越しで、日本酒バーに来店したご家族。
英語が得意な御子息と酒談義に花を咲かせることとなった。
今までの日本酒の体験を聞いてみると、獺祭(山口県のお酒)は有名でよく飲むのだが、他のお酒はあまり知らない、とのことだった。
ご自身の好みもわからないご様子。
そこで、日本酒の基礎知識でもある、酒米、精米歩合、日本酒度を解説すると大きく笑顔で頷いておられた。
また、島根の地酒の特徴をお伝えすると、ついには身を乗り出してきた。
最後に私の持論、
『神社が多いところは酒蔵が多い』
には、なるほどー!と頷かれた。
日本酒の歴史を聞かれた。
そこで、まずは神話のお話をお伝えした。
界 玉造で神楽の演目で披露している『八岐大蛇神話』に登場する八塩折の酒について詳しくお伝えした。
また、古代の酒作りの方法である、口噛み酒のことを語ると、
はて?
という反応だった。
しかし、程なくして映画『君の名は』の口噛み酒のシーンを思い出したようで、
「あぁ、あれね!」
と納得できたよう。
御子息とだいぶ盛り上がっていた一方で、ご両親は英語も得意ではないようで、始めはつまらなそうな顔をしていた。
しかし、時間が経つにつれ、御子息の笑顔を見て安心したのだろうか。
席を立つ時に、おちょこを指差して、
『ナイス!』
と微笑みながらお伝えしてくれた。
なんだか心がほんわか和らいだ。
観光で文化が壊される なんていう説を耳にする。
観光立国なんて、後進国の進む道だ、と。
過去の歴史を見たらそのような事実はあったかもしれない。
そして、今でも少なからず観光客が増えることによる問題もあるかもしれない。
しかし、それだけではないのでは?
観光によって心が繋がり合って生まれる新しい世界があるのでは?
ということを、日々インバウンドゲストと接して思うのだ。
私はこれからも、
『観光=平和外交』
だと思って、毎日接客をしていきます。
おもてなし産業をかっこよく。
あんでぃでした。
▼星野佳路
「世界の人たちを友人として結んでいく、それは他の産業にはできない『旅の魔法』なのです。」