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リスボン、ポルト、セビリャ、トレド――。南欧旅行、気になる費用の詳細


 2004年10月17~31日の2週間、南欧の諸都市を巡る旅をしてきました。2019年までは毎年春と秋に欧州へと飛んでいたのですが、コロナのせいで長らく足止めを食らい、ようやく5年ぶりの再訪となったわけです。
 そこで、此の地を訪れる方に少しでも役立てればと思い立ち、交通手段をと物価を軸に最新の情報を紹介していきます。
※1€は約165円。

 ▼今回の旅のコース▼
羽田→フランクフルト(F/m)、F/m→リスボン、リスボン→セビリャ(長距離バス)、セビリャ→マドリード(AVE新幹線)、マドリード→トレド(バス)、トレド→マドリード→バラハス空港、バラハス空港→F/m、F/m→羽田

『旅の勝者』はコイツだ!

本題に入る前、非常に役に立った3つのアプリを紹介します。

Ubigi

 これまでの旅行では、どこの国でも「物理SIM」を購入していましたが、今回初めて「eSIM」を利用しました。UbigiはNTTの関連会社だそうです。通話は出来ずデータ通信のみですが、LINEかWhatsAppがあれば通話が可能となります。
「ヨーロッパ30日間・10GB」を購入。期間中は写真と動画を1000枚撮影、歩行中はGoogle Mapを全開、歩数計も駆使、さらにはネットで日本の情報を見まくっていたにもかかわらず、最後は2GB近く余りました。

 物理SIMとの機能的な差はまったくありません。むしろ差し替えによってSIMカードを紛失するリスクがゼロなので、今後は絶対にeSIMを使うようにします!

アプリを入れて必要な情報を入力。あとはスマホの設定で「モバイルネットワーク」を開き、
データSIMを「eSIM」に変えればよいだけ。スマホ初心者でも超簡単に出来ます。

②UBER

 早朝でも深夜でも近くの個人タクシーを探して配車を手配する、まさにネット時代の申し子。リスボンで多用しましたが、非常に便利で快適でした。昼間でも夜でも料金に差はありません。早朝6時に手配したところ、10分でアパートに到着。宿から駅までの料金は5€前後。ただし、事前予約だと高くつきます(下図参照)
 アプリで手配→近隣のクルマをアプリが検索→乗車を確定→迎えに来る→降車。こうした流れです。運転手と車種の情報が出ていて、料金はクレカ払い(事前登録済)。領収書がメールで届きます。また降車後に運転手へのチップを支払うかどうかをアプリが尋ねてきます。0、1€、2€の設定ですが、払わなくても問題ありません。
 すべて日本語で対応可。運転手への連絡も日本語で入力できます。人工知能が相手に英語もしくは現地語に訳して伝えてると思います。凄いなぁ…。

早朝04時に調べた価格。アパートから駅まで2.2km、8分の距離を5~6€と出ました。
しかし「前日に予約」すると、一気に3倍の値段に…(-_-;) 下の写真がその値段です。

Trip.com

 大手の旅行サイト。日本語に完全対応。飛行機をここで予約すると、実にきめ細かくメールを配信してくれます。「出発日は明日です」「出発時間が迫ってます」「飛行機は予定通りに飛びます」「搭乗口は〇〇番です」などなど。極めつけはサイトが自動的にチェックインしてくれたこと。
 同様なサイトにOmioがあります。こちらも完全日本語対応。鉄道とバスの予約はOmio一択ですね。手数料がかかりますが、2~5€と少額です。現地の会社に直接予約するより何倍も楽です。

交通費の細目

①飛行機代

■F/m→リスボン TAP(ポルトガル航空) 3万1910円(円建て決済)
 Trip.comやSkyascannerで調べると「1人2万円」程度の値段が出ますが、安いのは早朝と夜便だけで、希望する時間帯によって相当に値段の差が生じます。また価格はあくまでも「小さなバッグ1個だけ機内に持ち込み」の条件付き。23kgまでのトランク(スーツケース)は別途50~60€/個の追加料金が発生します。そのため、この金額となりました。

■マドリード→F/m LH(ルフトハンザ) 4万260円(円建て決済)
 Air EuropaというLCCが若干安い値段で飛んでますが、遅延した場合の対応が不明であるため、数千円高いLHを選びました。こちらもスーツケース代が別途50€前後追加されての価格です。

う~~む、でもなんだかメチャ高い……(;'∀')
念のため、2019年に利用した飛行機の値段を調べ直しました(ちゃんとパソコンに記録してあるのです♪)
春:ナポリ→マドリード 5096円(!)
秋:ベルガモ(ミラノ郊外)→イスタンブール 119ドル(ペガサス航空)
 イスタンブール→バルセロナ 187ドル(同)、
 バルセロナ→F/m 197€

 どの便も3時間ほどのフライトですが、路線によってなのか航空会社によってなのか、相当な価格差がありますね。
 私はこれまでRyan Air、German Wings、Pegasusなど多数の欧州LCCに乗ってきました。
 基本的にLCCは予約時にきちんと記載しさえすれば問題ありません。ただし、預入荷物の記載を忘れるとエライ目に合います。くれぐれもご注意ください。

②電車代

リスボン~ポルト往復 32.5€(5200円)
 CP(ポルトガル鉄道)のサイトにはなぜか、早朝便が出てきません。仕方ないのでOmioから予約しました。手数料2€追加。
 同路線は格安のバス便が頻繁に走っています。しかしバスタまでの距離が遠いのと、映画「終着駅」の舞台となったサンタ・アポロニア駅の雰囲気を味わうため、あえて鉄道を選択しました。ただCPは往復とも30分ほど遅刻しました。列車が止まっても車内案内は一切なし! 
 Omioの予約では「数週間後の出発」も「明日の出発」も同じ値段です(CPのサイトでは価格差がありました)。また帰りの列車を1便早くしたいと思ってもCP側(鉄道窓口)が受け付けてくれません。

サンタ・アポロニア駅発ポルト・カンパーニャ駅行き。
日本のように立っての乗車は出来ません。席の数しか切符を販売しないからです。
列車は正面入り口からは見えない左奥の番線から出ます。

セビリャ→マドリード 88.26€(14,563円)
 AVE(新幹線)88.26€(2人分、スーツケース代10€含む
 スペイン国鉄renfeの昼の便は130€(同)。格安会社のiryo(イタリア系)は同じ便が88・26€(Omioで予約、手数料5€)。これだけの差があれば当然iryoを選びます。
 ただ、他の方のブログ記事を読むと「出発15分前じゃないと乗り場が判明しない」とあります。さてさて、どうなるかと思ってましたが、30分ほど前に掲示板に案内表示が出て問題なく乗車できました。欧州の高速列車は乗車前に飛行機のような荷物検査(スキャンニング)があります。まぁ、かなりオザナリの検査ですが。
 セビリャ駅には正面入り口のすぐ横の目立つ場所にiryoがオフィスを構えていますので、ここで電車が何番線から出るか聞けば教えてくれます。
 各車両にはスーツケースを置けるスペースががあるものの、あまり広くないので、早めに車両に乗り込んでシッカリと確保しましょう。

セビリャのサンタフスタ駅。7番線からの出発でした。
チケットのQRコードを読んで乗客をプラットフォームへと流します。
車両はフレッチャロッサと同じ。
手前のスキャナーの信用度はどうなんでしょうかねぇ…。

③バス

リスボン→セビリャ 14,748円(2人分。円建て)
 両国の大都市を結ぶ路線だというのに、鉄道は直通しておらず、飛行機にすると2人で10万円もします。そのためバスを選択せざるを得ませんでした。Omioを使い、Redeという有名な会社の便を予約しました。乗車率はほぼ5割。リスボンの乗り場は地下鉄駅と直結するSete Riosです。
 3時間ほど乗って途中のFaroで乗り換えます。小さなバスタですが目の前には数軒のレストランが立ち並び、次の便まで昼食をとることになりました。Faroからセビリャまでは2時間半でした。

リスボン・バスタのチケット売り場に座るババア連中はいつも不機嫌で不親切です。
購入でもたつくと、「だからさっき言ったじゃないの。なんで分からないの! まったくダメだね」みたいにベラベラと喋り、人を馬鹿にした目つきをされました。
お前だってロクに英語が分からんじゃん、愚か者めが!
厄介なやり取りを不憫に思った運転手が付き添ってくれて事なきを得ましたが、
今回の旅で唯一、頭の血が沸点に到達した記憶は消え去らないでしょう。


マドリード→トレド 5.58€(920円)
 ALSAのバスが1時間に2~3本出ています。切符を買えばどの便に乗ってもオッケーで指定席もありません。渋滞がなければ50分の距離。トレドのバスタはちょっと中心街から離れているので、隣接するタクシー乗り場から目的地まで走ることになります。間違ってもスーツケースをゴロゴロやりながら歩いていかないでください。石畳の急坂ばかりの城塞都市なので酷いことになります。

チケットは窓口でも自販機でも買えます。

④地下鉄 マドリード市内→バラハス空港 地下鉄料金+3€(495円)
 ほとんどの旅行者は市内のZone1の範囲内に宿泊すると思いますが、地下鉄で空港駅に到着すると、出口の自動改札に切符をかざしても通してもらえません。赤いバッテンが発色し、「お前を通らせないぜ!」と機械が拒否反応を起こすのです。
 ここでは別途「空港に入るための税金」の支払いが必要になります。出口には数台の自販機のようなものが設置されていて、ここに切符を入れて別途3€を支払わなければ切符が有効化されない仕組みです。

市内交通の回数券
Navegante(リスボン)
 Suicaのポルトガル版です。旅行者には必須のカード。予め空港か地下鉄の自販機で購入します。買い方はこちらを参照してください。
 チャージ(Zapping)は自販機で。3日の滞在であればチャージは10€もあれば十分ですね。

数年前までは「Viva Viagem」だったのですが、Naveganteに統一されました。
必要なチャージ代(カード取得代0.5€は別途)を地下鉄の自販機で購入します。
仕組みは日本のSuicaと全く同じ。ただし1日券との併用は出来ません。
Suica用と1日券とで2枚買う場合はデザインが同じなので間違いやすいのが難点。
旅行者憧れの「E28番」トラム。いつ乗っても満員です。
狙い目は夜の8時過ぎ。乗車率が低く、間違いなく座れます。

おまけ(28番トラムを最も間近で見れるポイント)

Naveganteでトラムも乗車できます。旅行者の憧れはもちろん「E28番」、レトロな車体でゴトゴトと走る姿は旅情を誘います。こちらに詳しく書かれていますが、筆者お薦めのポイントを以下に紹介します。

始発駅から乗ってもよし。地下鉄Intendente駅で下車してIgreja Anjos停留所から乗ってもよし。
同線でもっとも魅力的な区間は、極狭の道路を通り抜けるVoz Operario~Cc.S.Vincente間。
映画のワンシーンみたいにメチャ、ロマンチックな風景に感動必死です。
手を伸ばせば触れる距離! 
極狭道路を交互に車両が行き交います。
Cc.S.Vincente停留所は片側だけに目印があって、反対側にはありません。

TUSSAM(セビリャ)
 こちらも交通系カードです。こちらに詳しく紹介されてます。1枚持ってれば複数人で利用可能。ありがたいことです。

残念ながらトラムには使用できません。

■トランスポート・カード(マドリード)
 これもセビリャ同様、1枚で複数人の利用が可能。地下鉄は自動改札ですので、1人が先に入り、2人目にカードを手渡して入る格好となります。
 こちらに詳しく紹介されてます。
 年内(2024年)は10回券が定価の半額で購入できます。

外食費

空港の値段は衝撃的だった……(◎_◎;)

 外食費は店によって値段がマチマチです。とはいえ、どの大都市もよほどの高級店に入らない限りはそれほど驚く価格設定にはなってません。
 ビール代を例にとると、南欧2か国は200mlのグラスで1.2€(198円)。500mlジョッキで3€(495円)ほど。ワインも似たような値段。コーヒーはグッと安くなり、1€を切る店も多いです。

ポルトガルもスペインもビールの銘柄は少ない。
ワインが主流を占めている国なので、ビールは人気が薄い?
ライトな味わいで、どれだけ飲んでも酔わないかも。
トレドの店
リスボンのスーパーで見つけたワイン。
アパートの家主が薦めるだけあって、「EA」はとても美味しく飲みやすい。
3.49€(575円)はやや高いほうですね。だいたい2€くらいから買えるので。
筆者はバルセロナのスーパーで1.5リットルのパックワインを1€(165円)で買いました。


 旅行者がまず立ち寄る場所といったら空港内の飲食店でしょう。フランクフルト空港に降り立った私は軽く飲食しようと思いましたが、値段を見て腰を抜かしました。
 焼きソーセージ(小さなパン付き) 7.3€(1200円)
 ハム・サンドイッチ 6.9€(1140円)
 コーラ+カレーソーセージのセット 11.5€(1900円)
 500mlビール+ソーセージ・サラダのセット 16.5€(2700円)
 エビアン500ml 5.35€(880円)

硬くて水分の少ないドイツパン。ハッキリ言います。
不味い!

 ドイツだから高いのだな…、と想像しました。しかし帰路のマドリード・バラハス空港でも事情は同じでした。
 イベリコ豚のサンドイッチ 9.95€(1640円)
 スナック菓子 8.95€(1480円) ※2つ買うとなぜか12.5€に…
 ペットボトルの水500ml 2.7€(450円)
 エビアン750ml 4.15€(685円)

 極めつけはコレ。もう、笑うしかないです。
 味噌ラーメンが23.95€(4000円)、寿司(もどき)が22.95€(3800円)って、マジで冗談でしょ?

味噌ラーメン1杯4000円なり。まいどあり~~!


体験的節約方法

 この10年間で会得した私なりの節約方法を紹介します。

①アパートに住む
 いわゆる民泊です。有名なサイトから評価の高い物件を探せば、まずハズレはありません。私は10点満点中、8点以上を選考のミニマムスコアにしてます。
 隣の部屋に家主が寝ているという環境も息苦しいので、プライバシーが保てるアパートをお勧めします。キッチン、冷蔵庫、洗濯機は絶対条件。とくに洗濯機です。コインランドリーはなかなか見つかりません。機械は現地の言語でしか表示されてませんから使い方もよく分かりません。アパートに設置されているのは大体がキッチンと一体化したドラム式。なので簡単な操作で済みます。使い方は家主に教えてもらいましょう。

②なるべく歩く
 トラムもバスも回数を重ねると交通費が嵩みます。その点、徒歩で移動すれば無料です。町の景色もじっくりと見ることができます。さらに土地勘が養えます。これは大きな利点となります。

③無料の施設を探す
 キリスト教会、美術館、博物館――。有料の施設でなく、無料開放しているところを調べて入りましょう。教会は金を払って見学しても大した感動はありません(個人的感想)。内部はどこもほぼ同じですからね。どうしても見学すべき教会はバルセロナのサグラダ・ファミリアくらいでしょう。
 穴場として図書館をお薦めします。本を借りるのではなく、建物を見て回ったり、席に座って読書する(ふり)だけでよいのです。建築美に圧倒される図書館が各都市にあります。静かな空間なので緊張感から解放されます。泥棒やスリの心配もありません。 

④安い食堂を教えてもらう
 ネットで調べるには自ずと限界があります。ここは現地の人々に聞いて回るしかありません。アパートの家主、タクシーの運転手、交通指導員なら喜んで教えてくれます。道行く人を選んで尋ねてみるのも良い方法です。

⑤土産を買わない
 義理で土産を買うのって疲れますよね? だったら最初から買わないことです。自分への土産だけで十分です。

⑥買い物はスーパーで
 アパートに住むとスーパーで買い物をしますが、これがもうメチャ楽しいのです。街中の個人商店と違い商品が豊富で値段も安い。チョコレート・菓子・スープの素・缶詰などは土産代わりにもなります。


いかがだったでしょうか。
 円安と国内の不景気により、以前より海外旅行のハードルが上がっているそうです。実際、今回の旅行では日本人旅行者に会ったのはサッカーのビッグゲームで見かけた男性4人組と、トレドの食堂で出会った巡礼旅の男性1人だけでした。
 海外旅行の経験は人生を豊かにしてくれます。また「井の中の蛙」状態から抜け出す最善の手段でもあります。外国での体験があってこそ日本の良さを改めて発見できるわけですから、行かない手はありません。
「お金がない」「言葉が分からない」は言い訳にすぎません。その気になれば、多少の借金をしてでも行けるのです。お金は天下の回りもの。プラスマイナスはどこかで帳尻が合うようになってます。
 コミュニケーションは身振り手振りで通じます。日本語で勝負しましょう。ダメなら無料の通訳アプリがいくらでもあるじゃないですか。
 思い立ったら吉日。さぁ、行ってみましょう!

 
 

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