悔しさと期待感と いわきFC 2025シーズン開幕戦
敗戦の悔しさ。しかしそれ以上に残る期待感。
2月15日、2025J2リーグ開幕戦、ジェフ千葉戦が開催されました。
内容やスタッツは相手を圧倒。しかし結果は0−2の敗戦。スコア上は、複数失点かつ無得点と、完敗と言えます。
Jリーグ加入後、初の開幕戦勝利を期待していたため、当然、非常に悔しい敗戦でした。
しかし、積極的なプレーと、接点での強さは「魂の息吹くフットボール」というスローガンを体現していました。
敗戦から数日たち、悔しさよりも、今シーズンへの期待感が、胸の中で大きくなっています。
開幕戦を振り返りつつ、今シーズンの戦い方や、個人的な展望について、書いてみたいと思います。
○千葉戦 基本的な戦い方
【基本システム】
・守備時は4−4−2、攻撃時は3−1−4−2の可変システム
・千葉の4−2−3−1（4−4−2？）には非常によくハマっていたが、開幕前は「今年も3バックがメイン」との報道もあり、今回の形がメインシステムかは不明。大分戦以降の戦い方に注目したい。
【守備】
・相手のビルドアップに対し、マンツーマンで対応し、ゴール前から超積極的にハイプレスを仕掛ける。DFラインは相手攻撃陣と数的同数で対応。
・CBの石田がトップ下（1.5列目？）の横山を担当。相手がGKから繋いできた場合、敵陣まで入って対応するとともに、ロングボールの（主に遠藤）セカンドをケアする動きも見せていた。
・ミドルサードまで侵入された後は、4−4−2のブロックで対応。ただここでも、相手CFや中盤への縦パスに対しては、DFラインから積極的に飛び出してアタック。中盤で前を向かせない意識の高さを感じた。
・相手CFへのロングボールに対し、試合を通して遠藤が素晴らしい対応を見せ、前線でほとんど起点を作らせていなかった。千葉は後半からデリキを投入し、サイドに流れて競わせることで、状況を改善させた。（＋横山を下げる、ロングボールの多用等）
・複数失点したものの、全体が連動したハードな守備により、失点シーン以外でほとんとチャンスを作らせていなかった。今後もこの姿勢を継続していけば、目標とする年間失点数35程度の成績も狙えるはず。
【攻撃】
・左SBの五十嵐が、左WBまで上がる。反対の右SB・堂鼻は、右HV（3バック時、中央ではないDF）に移動するが、偽SBと呼べるほど中盤に近い高い位置どりで、積極的に攻撃参加。
・左SHの鵜木は、五十嵐の上がりに伴い、シャドーとウイングの中間のような位置どり。五十嵐、石田との連携もよく、相手DFのポジションの切れ間でボールを引き出し、サイド突破を図っていた。なお、後半からは、右サイドへ移動。左には山下→久永が入った。
・左右で多少攻撃のデザインが異なってい（るように見え）た。左は、WBの五十嵐、HVの石田がSHを積極的にオーバーラップしていた。左SHはシャドー的な役割を担っていたか？
・一方右は、SHの加瀬→鵜木が大外に張った。中盤の大西やHVの堂鼻と連携はするものの、SHをオーバーラップするような動きはあまりなかった。
・先発は右SHに加瀬、左SHに鵜木と、両者ともサイドアタッカー的な選手だったが、片方は久永、村上、山口など、シャドー的素養のある選手の方が、バランスが良くなりそうだと感じた。
・ボランチ2枚（大西、山下→柴田）はいずれも高い位置どりだが、大西の方がより積極的に攻撃に関与。山下→柴田はバランス重視の対応。ただそれでも、通常のバランサー担当よりは相当高い位置。
・有馬と西川が抜け、攻撃の構築に不安を感じていたが、3バックからの球だしや、SHに入った際のHVや中盤との連携もスムーズだった。
・形は作れている。後は決めるだけだ！
○個人的な評価点と課題点
【チーム全体】
・フィジカルの仕上がりは過去最高と感じる。J2昇格以降初めて、フィジカルが明確な武器になっていると感じた。（特に、前半谷村が相手DFから2回連続でボールを即時奪還して、二次、三次攻撃に繋げたシーン）
・チーム全体が仕上がってくるシーズン中盤以降「魂の息吹くフットボール」「日本のフィジカルスタンダードを変える」のスローガンを、真に体現できる可能性があると期待。
・プレスがハマった時の強度は素晴らしかったが、そこを交わされた後、またはボールロスト直後（いわゆるネガティブトランジション）等、フェーズが変わった直後の対応が緩いと感じた。
・60‘22の高橋→椿のシーンなど、ボールロスト後に相手DFや中盤へのプレスが緩み、余裕を持ったフィードからピンチを招くシーンが散見された。
・スプリントだけでなく、攻守の切り替えや、ポジションの微調整も含めての「90分止まらない」だと思う。真に体現できるよう高めていってほしい。
【遠藤】
・一回りパワーアップして帰ってきたと感じた。相手CFにほとんど起点を作らせていなかった。また前回在籍時よりDFが攻撃に関わるシステムとなっており、持ち前の攻撃センスやフィード能力が生き、より能力が発揮できる状況となっている。
・いわきへの帰還を決めた際、覚悟とともに、キャリア初の所属クラブ・新潟を去ることに対し、忸怩たる思いもあったはず。それを乗り越え、覚悟を決めて戦う彼を、心から応援したいと感じた。
【石田、五十嵐】
・この2名の存在が、3バック・4バックの併用、可変システムの採用を可能としている。
・攻守に貢献度が高く、両サイド、中央どこでもプレーが可能。試合中のポジション変更も厭わず、それにより柔軟な戦いが可能となっている。
・2名とも将来的な適正ポジションはSB、WBだと思うが、CBができるほどの守備強度を有することは、選手としての価値を間違い無く高める。攻撃面でもう一歩向上できれば、J1上位、さらには海外も目指せると感じる。
【大西】
・脅威的なボール奪取力に目が奪われるが、前半の谷村へのクロス、ループ気味のミドルシュート、再三の前線への飛び出しなど、攻撃面での貢献も光った。
【堂鼻】
・攻守に貢献できる選手だが、スピードのある相手への対応に課題を感じた。
・PKを与えたシーンや、前述の60‘22の高橋→椿に渡った後の対応、また昨シーズンH水戸戦での中島大嘉（現J2札幌）への対応など、スピードであっさりと振り切られる場面が散見される。
・スピード面の課題と、持ち前の攻撃センスを踏まえての、ボランチ挑戦なのかなとも感じた。
・中核的な戦力であることは間違いないので、秋本コーチのトレーニングによる改善を期待したい。
○当面の展望
・マンツーマンのハイプレスを採用するのであれば、当面は、既存の主力選手が中心になるはず。
・チーム全体のプレー強度が高く、ポテンシャルのある選手も揃うが、プレーメーカー的な選手が不在。攻撃のさらなる活性化のためには、連携の深化が必要で、そこまでには少し時間を要するかもしれない。
・3月くらいまでは、内容は良いが、決めきれずに…というもどかしい試合もあると予想。そこでどれだけ粘れるか。
・木吹、ネルソンなど、新加入の若手選手も、4月〜GW前後には、フィジカルベースが整い、台頭すると予想。
・その頃には連携も深まり、チームが上向くことは間違いないはず。
・シーズン中盤以降は相当強いチームになると期待。大半のチームに、スタッツ上は優位に戦える強さが出てくるはず。
・その優位を勝利に繋げる勝負強さを身につけられるかが、シーズンのカギになる。
・選手個々とチーム全体の成長を楽しみとしつつ、今シーズンも応援していきたい。
時間ができたので、千葉戦を振り返り視聴しながら書いてみました。
個人的感想のメモのようになってしまいましたが、とにかく、成長と進化への期待は非常に高いチームだと感じました！
今シーズンも応援していきます。